弟から見た姉
時間指定が上手くできておらす上げ直しを致しました。
2021/11/22誤字修正致しました。教えていただきありがとうございます。
2023/04/12誤字修正をおこないました。教えてくださった方ありがとうございます。
姉は自由でありながらも不自由だ。
国随一の魔力を持って生まれた姉の性格は幼子の様に無邪気で、突飛の無い発想をし物を作り上げてしまう。
姉が発案し作り上げた生活魔法道具は貴族世界には留まらず平民にも拡がり人気と注目を集めている。
だが姉はその評価を知らない。
王族、上位貴族が情報規制をしているからだ。
数百年前、姉の同様に魔力が多い女性が産まれた。
当時、戦狂王と言われた王は赤子だった女性を権力と脅迫で親元から離し城へ幽閉する。
一般教養や感情表現など教えず攻撃魔法のみ教え続けその後、最前線に出陣をさせ隣国の陣を魔法でを攻め崩し逃げ回る姿を笑いながら眺め侵略を繰り返した。
人を人とも思わぬ侵略は恐怖と絶望を膨らませる中、転機が訪れる。
戦場へ出た少女が騎士達と共に生活する中で心が育ち感情が芽生え命令に従う自分の行動が人々にどの様な事になるのかを理解した事で、耐え切れなくなり反逆者となり王を倒した事で戦は終わった。
王となった少女は諸外国に魔法での攻撃や侵略は今後一切行わない。
万が一、魔法を使用する場合は人の救出のみ。
と法律を纏め諸外国と終戦を宣言した。
他には、産まれた子の性別関係なく両家や家族が愛情を持って育てる事。
本人の意思に反する魔法の強要はしない事。
道徳教育を怠らぬ事。
少女自身考え法で定めた。
少女は婚儀をする事も子を宿すことなく前王の子供から後継者を選び余生を終えるその時、
権力が絡む宮廷行事や王族、貴族との関わりを断つ事。
その一言を最後付け加え崩御された。
その後は魔力の強い者は生まれること無く現在まできたが、姉の誕生で国内外が一気に緊張状態に入った。
何か間違った事を考えてはいないか、起こしはしないか常に王家の影が着き諸外国へ報告が行われている。
勿論、当家から報告も細かく上げている。
プライバシーなどあって無い状態。
それが僕の姉である。
日々、姉の突拍子の無い行動に振り回されるのは日常でありながらも跨った箒で宙に浮き、バランスを崩し頭部から落下し強打する出来事が起こった。
監視の為、姉の行動を見ていた一同は何が起こったのか瞬時に理解出来ずに居る中、最初に姉のメイドであるマルチダが駆け寄る姿に我に返ることができた。
幸いな事に姉は怪我も後遺症も無く元気な姿だったが、
そこに箒があり跨ったら空を飛べると思った。
姉の言葉で〆た報告書と共に訪れた父の書斎では誰もが理解に苦しんだ。
血縁者である父、生みの親である母、家庭教師に乳母、シャペロンまで頭を抱えるのだ。
報告を受けた魔術省の重役や王家も理解に苦しむだろうし、報告書のみの諸外国の担当者は更に理解出来ないだろう。
姉の行動は基本、思い付きである。
良い言葉で言えば閃きである。
凡人がいくら考えても発想すらできないのだ。
ありのまま、起こった事を受け入れた方が日々悩まずに過ごせると気がついてからは、報告書はペンが滑るように書けるようになった。
そして今日。
昨日とは違い、風に舞い上がる木の葉の様に箒に跨り空へと向かって上がって行く。
館の屋根を超え周りを囲むように植えられている木々を超えると一旦停止したのち、ゆっくりと降り地上へと降り立った。
満足そうに笑い頷く姿に心の中でため息を落とす。
またとんでもない事を。
両親への報告に魔術省への報告書の作成。
作業を思い浮かべ自分の侍者へ視線を向ければ小さく頷き返事を返された。
侍者の報告書の準備も慣れたものである。
高揚し頬を赤らめている姉を眺めていれば、
「もっと練習するからディランも一緒に空を飛ぼうね」
無邪気に笑い、嬉しそうに提案してくる姉に
「その時は落とさないで下さいね」
苦笑しながら返事をした自分も大概姉の事が好きなのだと思い直した。
その後も飛行練習をするが、集中力が切れているのかそれとも閃きが浮かんだのかどう見ても余所事を考えている姉は、左右にふらふらと方向が定まらず、昨日と同じ様な動きに堪らず大声を出し姉を呼び意識を戻させる。
体を揺らし驚いた姉の姿に奥歯を噛み締め、睨みつければ視線に気付いたのか下を向いた姉と目が合うと慌てふためいた雰囲気に怒りを膨らませれば、流石の姉も大人しく降り始め無事た地上へと足を着けた。
何事も無かった安堵が心を占めるが先ずは姉に反省を促す為に目尻を上げ怒っている表現すれば、下を向きながら謝りの言葉を告げてきた。
なぜ自分が怒っているのかの理由を問い、更に反省を促す。
自分だけではなくメイドや騎士達にも詫びと礼を告げた姉にそろそろ良いかと練習の中止を告げ、移動を促す様に腕を出せばマナー通りに手を添えられた。
淑女達が集まる茶会、成人したとしても舞踏会や晩餐会も法があり参加はできないが一般教養として淑女のマナーを習得しているのでエスコートされる事にも慣れている。
向かう場所はサンルーム
当家で家族や親族のみの行事なら問題も無いと判断され姉を貴族籍のある家の娘である自覚と体験をさせる目的で、頻繁に茶会や晩餐会は開かれる。
今日もその1つ
僕の従者であるフレディ案の茶会
姉が発案し開発した生活魔法道具が使われているティーセットを使い姉が好きなレモンケーキに温かなスコーン。ジャムもクロッテットクリームもたっぷり用意もした。
席に座る様椅子を引き座らせ、自分は従者が引いた椅子に座ればメイド達が紅茶を自分達の前に置く。
先ずは自分が1口飲み次に姉が紅茶に飲めば、落ち着いたのかホッと肩から力を抜いように見えた。
サンドイッチを美味しそうに食べ、スコーンには山の様にジャムとクリームを乗せ1口。
すぐ様ミルクティーを飲めば、幸せそうに頬を緩め笑った。
淑女教育は終わっていると聞いていたが。
とても淑女と言えない表情に呆れもあるが姉らしく仕方ないと思い注意の言葉をしない自分も大概姉に甘いのだと呆れた。
そんなむず痒い感情を隠すために、スコーンに程々のジャムとクリームを乗せ姉に倣い口に入れ直ぐにミルクティーを飲む。
ジャムの甘さとクリームの塩気が口の中に拡がる中ミルクティーを飲めば紅茶の香りとミルクの甘さが広がる。
姉好みの甘さだが甘すぎるな。
2口目は少しのクリームだけを乗せ口に入れればバターの塩気が小麦の甘さを引き立て、ミルクティーで口の中をリセットする。
やはり自分にはこの食べ方が合うな。
目を輝かせながら美味しそうに食べている姉の様子を伺いながらレモンケーキを食べていれば、視線をさ迷わせながら様子を伺うように恐る恐る声をかけてきた。
「ねぇディラン。あのね」
続いた言葉は、生活魔法道具の事。
姉にしては回りくどい会話を始めたものだと。
そんなことを思いながらも、思った事を上げていく。
暖かい飲み物が飲める事が日常になるのなら、冷たい飲み物も日常になっても良いはず。
両親が舞踏会や晩餐会にて拾ってくる囁きを伝えるのも役目の1つ。
姉の魔法を恐れる貴族と良好な関係を作るのに必要なのだ。それに
生活魔法道具の収入は姉の資産になる。
税を納めているので1部と言ってもいい。
姉の資産は貴族と結婚できない姉の結婚後の生活費として当てられる予定だ。
平民との婚姻となると少しでも資産は多い方が良い。
姉の作成する生活魔法道具にかかる魔法石も安くは無い。
金はいくらあっても良い。
降嫁しかない姉に何も思わない訳が無い。
結婚などせず生涯、我が家で過ごせば良いのだ。
僕がその条件を受け入れる婚約者を探しだせば良い。
「最近はどう?勉強は難しい?」
優しさと好奇心が混ざった言葉に日常を伝えれば嬉しそうに笑い何処か自慢げな態度に心の中で思う。
やはり姉は笑っている姿が良く似合う。
お読みいただきありがとうございます。
少しですが話の世界観が書けていればと思います。
ブックマークにポイントもいただき嬉しいです。
本当にありがとうございます。
時間指定が上手くできておらず上げ直しをいたしました。
少し手直しが入っております。
ご迷惑をおかし申し訳ありませんでした。
ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。よろしけれお読みください。
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