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姉、もっと甘えて欲しいと言われる

2023/03/15 誤字修正をおこないました。

教えてくださった方、ありがとうございます。



すくすくと育つ小麦の苗を振ってきた雨に身を濡らし屋敷に帰る為に小走りをしていると、フッと


空を飛んだ方が速いのでは?


そんな考えが浮かんだものの、雨に濡れるのはどちらも同じ事なのでこのまま小走りで屋敷に帰る事に決め荒くなる息と重みを感じる体を無理やり動かし、


ようやく辿り着いた扉をノックし帰って来た事を伝えると、扉を開けてくれたフットマンさんが驚きの表情の後すぐさま誰かいたのか布を持ってくる様に告げる言葉に、申し訳なく思いつつ、


「エスメ様、すぐに布をお持ちしますのでお待ちください」


「誰か、ボアさんをこちらへ読んできてくれ」


「エスメ様、よろしければ私のハンカチをお使いください」


パーラーメイドさんから差し出されたハンカチをお礼と共に受け取り、頬を滑り落ちる雨水を拭きとっていると、階段を足早に降り駆けつけてくれたボアさんとハンナさんに、


「ごめんなさい。途中で雨が降り出したもので帰ってきしまいました」


何か仕事を中断させてしまった申し訳なさに謝りと理由を告げれば、


「良い判断ですわ。雨宿りなどしてはお体を冷やし体調を崩してしまいますもの」


ハンナさんからの言葉と


「テアさんが、入浴の準備を進めております。ある程度水分が取れましたら部屋に戻りましよう」


ボアさんから言葉を貰い、小走りにきてくれたフットマンさんから布をお礼の言葉と共に受け取り髪や服の水分をとった後、


濡らしてしまった絨毯を拭く為に手を伸ばすも、


「床は我らが吹きますので」


その言葉に、申し訳なく思うも、


「これも我らの仕事ですのでお気になさらず」


笑顔で告げられた言葉に、


「ありがとうございます。よろしくお願いします」


後の事を任せ、ハンナさんとボアさんと一緒に自室に戻れば、テアさんに出迎えられそのまま入浴へと傾れ込んだ。


暖かなお湯に浸かると、雨で冷えていた事が分かり自分の判断が正しかった事が分かりホッと息を吐くと全身から力が抜け、心までもがほぐれる。


ハーブの良い香りを目一杯吸い込み、香りを楽しんでいると、


風魔法を発動させて雨に当たらない様に帰ってくれば良かったのでは?


そんな発想と


濡れて入るのではなく、いつもみたいに風魔法と火魔法を発動させて乾かせば良かった。


後悔が駆け巡り


つい、皆の優しさに甘えてしまった事へ申し訳なくなり、重い息を吐き出した。


頭の中で反省をし、心配そうに見守ってくれているテアさんに申し訳なく思い、入浴を終わらせワンピースに袖を通し、促されるままドレッサーに座り髪の手入れを受ける。


本当なら自分でしなければならないのに、最近は3人にお任せしているわ。


1つ気がつくと今まで見えてなかった事がどんどん見え始め、髪のケアと共に行われているハンドケアも自分でやるとディランと約束したのに。


気持ちが落ちてゆくのが分かり、仕切りに反省をする中、


「いかがなさいましたか?」


テアさんの言葉にいつの間にか落としていた視線を上げ鏡越しに目を合わせ、


「いえ。本当ならば髪も手も自分でしなければならないのを、皆さんにお任せしているな。と、気づきまして」


1度言葉を切り、


「その。今日の雨もそうなのですが、魔法を発動させれば大事にならずに済んだのに、皆さんの優しさに甘えてしまって申し訳なく思いまして」


心内を言葉に告げれば、テアさんもボアさんも瞬間驚いた表情をしたものの、嬉しそうに微笑み


「もっと甘えてくださって良いのですよ」


「テアさんの言うとおりです。もっと我が儘を言ってください。それを叶える力量を持っていると自負しております」


帰ってきた言葉に驚き、戸惑いつつも頷き返すと


「エスメ様は将来独り立ちをされると目標に頑張っておられ、とても努力家で尊敬をしております。ですが屋敷にいる間は我ら使用人達にもっと甘えてください」


湯気の立つ甘い香りのハーブティーが言葉と共に差し出され、受け取りハンナさんの顔を見ると、


「全員、エスメ様に手伝える事を探すのに必死なんです。甘え頼られているのだと自信がつき嬉いのです」


続けて教えてくれた言葉に、返事を返せずにいると


「急に言われても難しいのは重々承知です。残り僅かですが皆と交流をすると思って実行してみてはいかがですか?」


愛しむ様に見つめてくれるハンナさんにゆっくり頷き


「はい。頑張ってみます」


ゆっくりと頷き、ハーブティーを一口飲み、テアさんのヘアケアとボアさんのハンドケアが終りソファに移動すると、


「エスメ様。何か食べたいお菓子はございますか?」


笑顔で尋ねてくれるボアさんに戸惑いつつ、


「そうですね。えっと、スコーンが食べたいです」


「かしこまりました。クックにお願いしてきますね」


言葉と同時に立ち去るボアさんに、無いなら大丈夫だと伝えたかったが間に合わず追いかけようとソファから立ち上がりかけるも、


「では、甘いミルクティーをご準備しますね。エスメ様こちらでご準備をしてもよろしいですか?」


テアさんの問いかけに、少し浮かした腰を下ろし、


「は、はい。お願いします」


頷き返事をすれば、嬉そうに微笑み部屋から出ていくのを戸惑いながら見送れば、


「エスメ様には心苦しいかもしれませんが、少し私達、使用人の思い出作りにお付き合いいただければ嬉しいです」


ハンナさんの微笑みに、戸惑いながらも頷き返した。



第299話


梅の花が満開を迎え毎日楽しみに眺めております。


ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

お時間ありましたらお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/


フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。


お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!

https://ncode.syosetu.com/n9341hw/

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