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姉、好き嫌いがあって良い

2023/03/05 誤字修正をおこないました。

教えてくださった方、ありがとうございます。


朝の勉強時に外に出れば、木々から新芽が芽吹き色が増えてきた。


釜に火を入れた後、キッチンがあったまるのが早くなった。


朝食時の皆の会話から、雪の話が無くなり、


ランドリーも洗濯する洋服の数が減り終わる時間が早くなり、


街へと続く道中を歩けば鳥の鳴き声が聞こえ、嘴には枝を咥え忙しそうに飛び回っている。


春 到来


暖かな陽気に釣られなんだか楽しい気分になり足取り軽く歩き、出会う人達と挨拶を交わし少しお喋りを楽しみミラを探し歩く。


本の貸し出しは学園が終えてからの着手するという話でまとまったが、


本屋の店主さんからは見るだけの来店でも構わない。


ご厚意をいただけたので、この事を伝えたかった。


噴水広場を探し、路地裏を探し歩いていると


「エスメ様」


聞こえた声に振り返れば、見知った街のご婦人で、互いに挨拶を交わし合った後、


「どちらへ」


そう尋ねられたので


「ミラ達を探しているのです」


正直に伝えると、笑顔で場所を教えてくれた。


お礼を伝え、足早に向かうと遠くからミラの声と楽しそうに笑う女の子の声が聞こえ、好奇心が膨らみ小走りで向かえば、


ミラの指導の元、ダンスの練習が行われており思いつきもしなかった光景に驚きつつも、邪魔をしないように見学に徹していると、


「エスメ。そんな所にいないでこっちに来てよ」


ミラの言葉に従い横に立つと、踊りながらも皆の視線を自分を見ており、


「集中しないと転けちゃうわよ」


少し苦笑いしながら注意をすると、慌て互いの顔を見たり足元を確認したりとダンスに集中したようで、ミラの手を叩くリズムに優雅とは言い難いが、楽しそうに踊る子供達を見守った。


自分がミランダから習った動きでも、楽しそうに笑う子もいれば、恥ずかしそうに視線を足下に落とし手が触れそうで触れない子居て、


微笑ましく、心の奥底で前の人生での自分と重なる部分を思い出し見ないフリをし見守っていると、1曲が終わり、子供達かミラの所に戻ってきた。



楽しかった。


難しかった。


様々な感想を言う子供達の話を笑顔で頷き中が聞いていると、


「エスメ様。僕と一緒に踊ってくれませんか?」


年長である男の子の言葉に、


「私で良ければ、ぜひ」


すぐさま了承し差し出された手を取り少し広い場所へと移動しミラに手を叩いて貰おうと視線を向けると、

何か言いたげな表情に心の中で首を捻るも、聞こえてきた音と共に動き出す。


慣れと回数もあるのでエスコートをしてのダンスは難しいが、足を踏む事なく終えたダンスの内心安堵の息を落とし、


王都へ行くまでにもう少しダンスの練習をしよう。


危なげなく踊れたものの、どこか腑に落ちなかったので頭の中に予定を刻み、男の子とミラの元に戻れば子供達のお褒めの言葉に賞賛を貰え、


嬉しくもあり照れ臭くも感じお礼を伝え、


誘ってくれた男の子にお礼を伝えれば、微笑みお礼の言葉を返してくれた。


少しの雑談と休憩を挟み、子供達から様々な話を聞きく中で、自分の話題になったのを見計らい


「実は、本屋さんの店主さんからご厚意で、本を買わなくても見に来てもいい。とお話をいいただけたの」


ようやく伝えたかった事が言え、周りの反応を見ると皆、驚いた表情の後、


「本屋ってあの本屋だよな?」


「人嫌いの本屋でしょ?」


「父さんが暗い奴だって言ってた」


なんだか良くない話が聞こえたので、


「そんな人では無いわ。本を書いたり、読んだりして下を向いている事は多いけれどお話をすれば沢山教えてくださる、親切で優しい方よ」


自分が感じ思った事を伝えつつ、


「会っても居ない人を、聞いた話だけで全てを知ったと思い込むのは、その人に対して失礼な事よ」


皆も知らない人に嫌な事や、自分がしていない事を言われるの気分が悪いわよね?


少し説教みたいな言葉になってしまったが、視野や交流を狭めてしまう事は控えるべきだと思い、


「なら、今から本屋の店主さんが皆の言う人なのか、私の言う人なのかを確かめに行こう」


ミラの手を掴み、歩き出すと皆、顔を見合わせ戸惑いなからもついてきてくれた。


十人近くの子供達と大通りを歩くと皆の視線が自分達に向けられるも、気にせず歩き続け、


「こんにちは」


目的の本屋の扉を開け、いつもの様に少し大きな声で来店を伝えると、


「こんにちは」


カウンターでは無く本を片手にすぐに姿を見せてくれた事で、用事があったのかと思ったが、


「先日お話しした子供達と一緒に来ました」


ならば早々に目的を済ませてしまおうと、相手の都合を聞かずに話だせば、苦笑と共に


「ようこそ本屋へ」


子供達を向かい入れてくれ、


「せっかくだ、どの種類の本が、どこにあるのかを説明しよう」


時間を惜しむかのように本棚の説明を行われた。


ミラを繋いでいた手を離し、1番後ろで店主さんの説明を聞きつつ子供達の様子を見ていれば、

暗く、ホコリっぽい雰囲気に怖さを感じている子もいれば、興味なさそうにしている子も居るし逆に目を輝かせ店主さんの話を聞いている子も居て、


みんな違って、みんな良い。


会って離して、自分と合わないと思うなら来なくても良い。


得意不得意は誰もある。


それを貶すのではなく認めて、得意な事を伸ばしていけば自然と苦手なものに手を伸ばさなければならない時が来る。


その時に手をつければ、


心に反してやるより、必要だからやる方が覚える速さと理解のしやすさが違う。


その事を子供達に伝えたいな。


自分の思考の海から帰って周りを見渡すと、子供達の次々くる質問に戸惑い困った表情をしながらも答える店主さんを見て、


これで子供達の店主さんの認識が変わればいいな。


双方を微笑ましく思い眺め、気がつけば日が傾きかけており、


「聞きたいことは尽きないけれど、そろそろ帰る時間だよ」


そう提案すると、名残惜しそうにする子供達とどこか安堵の息を落とした店主さんに


「明日、お邪魔してお話の続きを聞こう」


そう伝えると、嬉しがる子供達と反対に驚き身を引いた店主さんには視線で謝りを入れ、


「今日はありがとうございました」


お礼を伝え店から出るとそれぞれが自分の家に向かって走り出した。


見送りにきてくれた店主さんの疲れた表情に苦笑し、


「暫くすると落ち着くかと思います。ご無理言いますがよろしくお願いします」


ただ、本を読むより話を聞く方に興味を持った子が多かったので、減ると言うよりはもしかすると増えるかもしれないと思いながら、言葉にすると、重々しいため息の後、


「自分から言い出した事です。本に悪さをしないならいくらでも付き合いますよ」


返された言葉に微笑み返し改めてお礼を伝え、帰る旨を伝えると、


「間も無く日が落ちる。送るよ」


ぽんと頭を優しく触れた後、先に歩き出した店主さんの後を慌て追いかけ、横に並び店主さんの冒険話を聞き屋敷まで歩いた。




第294話


車が黄色の何かに覆われておりました。いつ洗車するべきが悩む所です。


ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

お時間ありましたらお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/


フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。


お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!

https://ncode.syosetu.com/n9341hw/

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