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姉、辺境伯と朝食の準備


ライリー様を交えた晩餐を終え、食後のお茶の時間はライリー様とお父様との学生時代の思い出話しやお祖父様と剣の練習やお忍びで街へ出て買い物をした話などを聴かせていただき、


お祖母様の淑女の微笑みの中に少し呆れの混じった雰囲気との差が失礼だと思いつつも面白さを膨らませ、夢中で話を聞いて居れば、あっという間に就寝の時間になり


「もっとお話をお聞きしたのですが、残念です」


つい本音をこぼしてしまうと、お祖母様から咎める視線が送られ目礼で詫びをし退出の準備を整えていれば、


「気に入ってくれたなら、いつでも話そう」


ライリー様も笑顔で頷き約束をしてくれた事に


「ありがとうございます」


笑顔でお礼を伝え、退出し自室へと戻り急ぎ就寝の準備を整える。


普段なら寝ている時間だが、来客対応と楽しい時間でかなり過ぎていたものの眠気と一向に来ず、根なかればと思う程に目は冴えてしまい、


微睡始めた事には起床時間となっており、眠気を訴える体に言い聞かせ紺色の仕事服にエプロンをし髪を纏め上げ室内帽の中に入れ、足早に自室からキッチンへと向かった。


普段より動きが鈍く感じるも毎日の業務は体が勝手に動き、釜に火を入れ、両手にバケツを持ち井戸へと向かう。


昨夜は積雪は少なかった様で、雪に気を付けながら井戸に向かえば


「やあ」


なぜかライリー様が井戸の横で立っており、驚きつつも


「おはようございます」


挨拶を交わし、このまま井戸で水を汲んで良いのか迷うも、


「邪魔をしてしまいすまないね」


1歩、井戸から離れてくれたので、遠慮がちに井戸に近づき水を汲みバケツに水を移しつつ、


「ライリー様は朝が早いのですね」


間も無く夜明けと言う時間の出会いを言葉にすれば、


「昨日が楽し過ぎて早く目が覚めてしまってね。皆を起こすのも申し訳ないと散歩をしていたんだ」


そうしたら君の姿が見えたのでね。


嬉しそうに話すライリー様に話に頷きながらも手を止める事なく動かし2つのバケツに水を入れ、


「申し訳ございません。私、水をキッチンへ持って行かねばなりませんので、この場で失礼させていただきます」


礼をし離れようとしたが、


「淑女に持たせるものでは無い。僕が運ぼう」


さらりと両手のバケツを奪われ歩き出してしまったライリー様を慌て追いかけ


「いえ。私の勉強でもありますので」


バケツを返して貰おうと言葉を作るも、


「君は真面目すぎる。時に休んでもいいと思うぞ」


軽く躱され、キッチンの中に足を踏み入れたと思うと迷う事なく瓶に水を移し、2回目の水汲みに行こうとするライリー様を慌て追いかけるも、


「鍛錬になるから気にする事はないさ」


自分か行うより早く水を汲み終え、瓶に水を移してしまい、


「ありがとうございます」


お礼を伝えると、


「昔を思い出して懐かしかったよ」


笑顔で返事をいただくも気になる言葉が聞こえ好奇心が目を覚まし、思わず視線で催促をすれば


「君の勉強が終わったらご褒美として聞かせてあげよう」


ひらりと交わされてしまい、これから忙しくなる現状を思い出し頷き返し


「では、私は勉強に戻ります」


離れる事を伝え短く返事ををいただけたので、ライリー様から離れ釜の火加減とパンの発酵具合を確認後、じゃが芋の皮を剥いてゆく。


普段通りキッチンメイドやクックの挨拶を貰い返すが、壁側にライリー様がいる事に気づくと皆驚きと恐縮する姿に苦笑し、


クックがライリー様の元へ行き退出のお願いをしどろもどろにしているが、


「君の昨夜の料理が美味しくてね。その工程が気になったんだ。僕は居ない者と扱ってくれ」


有無言わさぬ笑顔と言葉でクックを頷かせ、持ち場に戻すライリー様に


お父様、ご苦労なさったのですね。


昨夜楽しく言いた話を思い出しお父様の苦労がほんの少し理解でき心の中で苦笑しつつもナイフを握る手を問えることは無く、


ライリー様から受ける視線を意識しない様に気を引き締めつつ、ハッシュドポテトを全員作る為に集中し手を動かした。


途中、手の空いたクックが手伝いを申し出てくれ、その間に使用済みの調理器具を洗い、出来上がりを盛り付けお祖父様、お祖母様の料理を整え終わり、


「ライリー様、朝食の準備が整いました」


部屋へ戻って貰り朝食を取ってもらう為に声をかけるも


「君はどこで食べるんだい?」


不思議そうに尋ねられた言葉に


「この後も勉強がありますので皆と一緒にいただきます」


返事を返せば、


「なら、僕もそこで君と一緒にいただくとしよう」


帰ってきた言葉に驚き、思わず振り返りクック長を見れば、目が飛び出んとばかりに驚いており、周りの皆に視線を移せば、口を開け驚く者の姿もあり


「あの、ライリー様を使用人部屋で食事は流石に如何なものかと」


皆の反応に反対なのだと理解し、なんとしても部屋に戻って貰おうと言葉を作るも、


「構わないよ。大勢の方が楽しいじゃないか」


昔の騎士団遠征を思い出すなぁ


帰ってきた言葉に無理だと判断し、詫びを込め皆に視線を向けると苦笑され、数人がキッチンから出ていく姿を捉え、


ここに居ない皆に心の中で謝り、


「ご案内させていただきます」


居ない皆の心の準備と食堂を整える為の時間を少しでも取れるようにゆっくりとした歩調で案内をした。



第285話


そろそろ花粉が飛ぶ頃でしょうか?今年も負けられない気持ちで過ごしてゆきます。


ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

お時間ありましたらお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/


フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。


お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!

https://ncode.syosetu.com/n9341hw/


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