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姉、役目を果たす


食事時の時間だからか、少し引いた大通りをライリー様にと手を繋ぎ、後ろにライリー様の従者さんが着きながら教会へと向かうと、顔馴染みになった街の人達が驚きながら自分達を見ているので、


微笑み返しつつ、急く気持ちからか普段よりほんの少し早足で歩いた。


止んでいた雪が再び降り出し、チラリと空に視線を向ければ灰色の雲の覆われており、


今日は止む事は無さそう。


心の中で重い息と共に零し歩き続けるも、ふっと会話が途切れてしまうとどうして良いのかわからず、


「以前行われた、ユキガッセンはいかがでしたか」


思いつくままに会話を進めると、


「中々の良い勝負だったよ」


視線を合わせてくれ、思い出したか出来事が面白かったのか微笑み


「相手方のチームに少年が1人混じっていてね。彼の動きが凄くて面白かったなぁ」


小さく笑うライリー様の言葉にルイの事を話しているのだと分かり、


「少年がですか?」


つい催促をする様に尋ねると、


「そう。みんな良い年下おじさん達の中に1人だけ居てね。若いからか動きが素早い上に反射神経も良くて」


皆、翻弄されてて見応えがあったよ。


楽しかったようで声からも伝わる雰囲気にルイの活躍が聞けて嬉しくなり笑顔で頷き返事を返すと、


「ええ。一見、若さ故の勢いかと思いましたが、自分の動きと反応速度を理解しており、囮だけでは無く先制を取り雰囲気を有利にするなど十分に役割を果たしておりました」


後ろを歩く従者さんがライリー様の言葉を引き継ぎ、さらに詳しく教えてくれた。


中々お祖父様から聞く機会が無かったので、詳しく聞けたことにお礼を伝えると、さらに詳しく教えてくれる中、


「彼とは友達なのだろう。会ってないのかい?」


不思議そうに尋ねてくるライリー様に


「互いに予定が合わず、会えておりません」


微笑みながら返事をすると、瞬きをし、


「そうなのか。それは寂しいね」


眉を下げ自分の事のように悲しんでくれるので、ゆるりと首を振り


「ルイは自分の父親のように強くなりたいと話してくれました。目標を達成できるように応援しております」


微笑みながら返すと、微笑み返され


「彼ならその目標にすぐに到着するだろうね」


「ええ。良い素質を持っておりますし、すぐさま超えるでしょう」


ライリー様と従者さんにお褒めの言葉を貰え嬉しく思っていれば、視界には神殿が見え入口で待ってくれていたらしい神官様が慌てた様にこちらに駆け寄って来てくれ、


「エスメ様。お待ちしておりました」


声をかけてくれたが、隣に居るライリー様の存在に気づくと目が飛び出んとばかりに驚き、


「こ、これは辺境伯様」


驚きと戸惑いを見せる神官様に


「私用だから気にしないでくれ」


微笑み返すものの、


「ノア様のお伝えして参りますので、失礼します」


慌て駆け出してしまい、取り残されてしまいどうするべきかと思うも、


数回と言えどもライリー様より来ている回数が多いもの。


私が案内をするべきだわ。


心の中で判断し、


「ライリー様、中へ」


手を軽く引き神殿の中へと入って行く。


神事を終え街の人がいなくなった部屋は祭壇だけが残されており、どこか神秘的な静けさの中を歩き近くに神官様がいないか視線を彷徨わせ探すと


「これは辺境伯様、ようこそ神殿へ」


ノア様が微笑み出迎えてくれたので繋いでいた手を解こうと動かすも話される事は無く、

戸惑い視線を向ければ、


「君は手を離すと、すぐにどこかに行ってしまうからね」


にこりと微笑まれ告げられて言葉に


「そんな事は」


口籠ながら否定しかけると、


「そのお話は伺っております。が、神殿の中ですのは離していただいてもよろしいかと」


ノア様の言葉にライリー様は名残欲しそうにしながらも手を離してくれ、失礼にならないようにほんの少しだけ離れ、


「ノア様。本日祖父母がこちらに来れなくなり代理として参りました。役不足ですがよろしくお願いいたします」


頭を下げ、祖父母が来れなくなった謝罪と代役としてご迷惑をかける事を伝えると、微笑んでくださり


「子供達を笑顔にしていただくのはエスメ様が得意とする事。そう気を張らずいつも通りで」


移動を促され、玄関へ向かうもライリー様はどうするのかと伺えば、


「邪魔にならない場所で見学をさせてもらうよ」


気にしないようにを告げられ、ノア様を伺う様に顔を向ければ頷き微笑まれた。


ノア様が良いと言うならば良いのだろう。


深い関係性の事はわからないので、ノア様の指示に従い用意されている菓子と共に粉雪が舞い降りる中、子供達の到着を待ち続ける。


遠くに小さな影が見えたと思うと、あっという間に姿が見え出すので、走らない様に注意するべきかと思うもそれよりも先に子供達が到着し、


「こんにちは」


口々に元気に挨拶をくれるので、ノア様と共に挨拶を返し用意したお菓子を1人1人に手渡し言葉を交わしてゆく。


「ミラ」


子供達の中にミラもおり、お菓子を手渡す際になを呼べば嬉しそうに笑ってくれ、


「寒い中、ありがとうございます」


淑女の微笑みと大人の様なお礼を告げられ驚くも、


「どういたしまして」


同じ様に淑女の微笑みと言葉で返すと互いに笑いが溢れた。


その後からはミラが勉強を教えている子供達が続き最後は、


「勉強は進んでいるかしら?」


以前、ミラに質問をし困らせてしまった男の子で


「はい。文字の読み書きと数字と計算もできる様になりました」


真剣な表情で返事を返してくれ、


「解らない事があったらミラや私に聞きに来てね」


お菓子を渡すと同時に伝えれば


「ありがとうございます」


お礼を伝えてくれ、子供達が待つ場所へと戻って行った。


「彼で終わりです」


補佐をしてくれた神官様の言葉に頷き、


「皆、雪が降ってるからこのままどこにも寄らず家に帰るのよ。明日、皆と会えるのを楽しみにしているわ」


最後に言葉をかけたのち


「エスメ様の言う通り、今日は帰りまた明日楽しむといい」


ノア様の言葉に皆が頷き元気よく手を振り街へと帰っていった。


無事役目を終え安堵の息をこぼすと、


「お役目お疲れ様でした」


ノア様のいたわりの言葉に


「無事にできて良かったです」


ポロリと本音をこぼすと、微笑まれ


「お茶でもと言いたいところではありますが子供達にああ言った手前、遅くなるのは良く無いでしょう」


ノア様の言葉に頷き


「はい。このまま屋敷へと帰ろうと思います」


帰宅を伝えると、


「では、私が送ろう」


最後まで見守っていたライリー様の言葉に苦笑しつつもお願いをすると


「間も無く馬車が到着する」


その言葉通りに馬車が到着し、ノア様と補佐をしてくれた神官様にお礼を伝えライリー様のエスコートされ乗り込めば屋敷に向かい走り出した。


車内から祭りを楽しむ人々を眺め、屋敷に戻ればイルさんに出迎えられ


「辺境伯様、お祭りは存分に楽しめましたか」


どこか意味ありげなルイさんの言葉に


「ああ。エスメ嬢に案内して貰い存分に楽しめたよ。」


気にせず返すライリー様に苦笑しながら玄関を潜れば、


「久しぶりですな、ライリー様。エスメもありがとう。お帰り」


お祖父様とお祖母様に出迎えられ、


「エスメ。これから皆で晩餐を行います。準備を行いなさい」


お祖母様の言葉に頷き、お祖父様とライリー様にその場を離れる事を詫び自室へと戻れば、ハンナさん達が出迎えてくれ、手早く洋服を着替え髪を整えて貰い、


ハンナさんを共に晩餐の行われる部屋へ入れば、すでに席についており遅くなった詫びを伝え用意された席に腰を遅せば


「無事、神事が行われた事に感謝をし」


お祖父様の言葉の後、祈りを捧げライリー様を含む4人で食事を楽しんだ。




第284話


雪のニュースを耳にしました。そろそろ落ち着いて欲しいと思う日々です。


ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。

誤字報告をいただきありがとうございます。感謝しております。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

お時間ありましたらお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/


フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。


お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!

https://ncode.syosetu.com/n9341hw/

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