姉、辺境伯と食事をする
大通りから奥に数本入れば、そこには外のテーブルにもお客さんが食事を楽しんでいる姿が見え、
手を繋ぎ隣に居る人物に伺う様に視線を向ければ、
にっこりと微笑まれ、
「少し待つかもしれないな」
お腹の空き具合を違う言葉で尋ねるので
「そうですね。待つ事は気にしません」
淑女の微笑みと共にそれらしく言葉を作り返事を返すと、
今まで後ろを歩いていた従者さんが素早く追い抜いてったと思うと、戸惑う事なくお店の中と入っていったので慌て追いかけようとするも、手を軽く引かれ、
「店内の様子を見に行ってくれているから、少しこの場で待とう」
その言葉に本来なら自分が行くべきだった事に気づき、視線を彷徨わせていると先程の従者さんが戻り
「店奥くのテーブル席を確保できました」
伝えてくれた言葉にお礼を言いかけるも、
「ありがとう。では、行こうか」
先に告げられてしまい、開けた口を閉じ頷き返す。
席についてからお礼を言おう。
なんだったら食事代を払ってもいい。
心の中で今後の動きを決め、案内され従者さんに椅子を引いてくれ着席をした。
当然、店内にいたお客さんの視線を集めてしまい、何とかしなければ動こうとするも、
「食事の手を止めさせてしまい申し訳ない。我々もこの店の評判を聞いて楽しみにきたんだ」
ライリー様の言葉に自分達を見ていた人達が注目しており、
「皆、気にせず食事を楽しんで欲しい」
人良さそうな笑みと共に言葉を終えると、従者の引いた席に腰を下ろしメニューを持ってきた女将さんにも
「騒がせて申し訳ない。どうしても評判の料理を食べてみたくてね」
紳士の笑みと共に差し出されたメニュー表を受け取り、
「エスメ嬢、オススメはあるかい?」
メニューを開きながらの問いかけに、
「肉料理も魚料理も、全部がオススメです」
淑女の笑みで返すと女将さんの緊張が高まってしまい申し訳なく思い、
後でお詫びにこよう。
頭の中に刻み込みメニュー表を眺めていると、
「では、私は肉料理にするとしよう」
ライリー様の判断に
「私も同じ物をお願いします」
合わせた方がいいと判断し、注文をすると従者さんは魚料理を選び
「後、プリンを頼む」
全員のデザートも頼んで注文を終えると、女将さんは必死に微笑み返してキッチンに戻っていった。
女将さん大将さん、周りの皆さん。本当にごめんね!
心の中で必死に誤り、謝罪の気持ちを込め周りを見渡すと、
好奇心に染め上げた視線を向けられ、視線が合うと何故だか小さく頷き返された。
多分、気持ちが伝わったのだわ。
重くなる気持ちが少しだけ軽くなり、対面で座るライリー様の顔を拝見するととても楽しそうにしており
「ここのプリンの評判は僕の領まで聞こえていて。楽しみにしていたんだ」
「お隣まで噂が届いているのですか?」
本当に楽しみにしていたのだと言うライリー様に微笑ましくも店の評判が隣の領まで届いている事に驚き訪ねれば、
「勿論。キャロットケーキの評判も聞いているよ。何でも君の祖父母が美味しいと絶賛したそうじゃないか」
そんな話を聞けば気になるってものさ。
人懐っこい雰囲気の中、気軽にお喋りをするライリー様に気を緩めかけるもフレディとは違う従者の存在に、辺境伯の地位についている方だと思い出し、気を引き締め淑女の対応をし
頭をフル回転させ会話を続けていると、
「大変お待たせいたしました」
聞き慣れた対象の声に安堵し、思わず大将さんに視線を向けると
緊張して強張っている表情と縋るような視線と噛み合った。
第282話
私事で文字数が減っております。大変申し訳ございません。
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ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
https://ncode.syosetu.com/n4082hc/
フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。
お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!
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