姉、何げ無い日常
前回のミラと町の子供たちのやり取りを、お祖父様とお祖母様にお話をすると嬉しそうに微笑んでおり、
「ミラは歳が来たら学園に通わせる予定だけれども、その男の子も勉強に興味があるなら送ってもいいな」
お祖父様の言葉にお祖母様は少しお考えが違うようで、
「確かに学園も良いですが卒業後は王宮での文官での採用となりますわ。本人の意思をきちんと確かめてからですねわ」
短いやり取りの中でも領民のことをしっかりと考えているお祖父様とお祖母様を尊敬し部屋に戻り、ベットに潜り込んだ。
優秀な人材は確保したいのはどの時代もどの国も一緒なのね。
前の人生とよく似た所を見つけ微笑んでると、あっという間に眠気に意識が拐われ目が覚めたら翌朝だった。
週に2回か3回を街へ行く日にし、それ以外は自室に工房の仕事とルイさんを始めハンナさんテアさんボニーさんから勉強を習い、息抜きに魔法石にそれぞれの魔法を入れたりなどし過ごしていれば、
気が付けば、積もっていた雪が半分程の量になり、土が見えている場所からは新芽が顔を出し、太陽が顔を出す時間が増えており、
「街の準備も進みましたね」
気晴らしにとお世話になっていた本屋へと足を運び、手土産を渡した後の挨拶から続けた言葉に
「皆が楽しみにしている神事だからな」
低い声で帰ってきた返事はどこか嬉しさを滲ましており、
「今年は屋台を出すご予定はおありですか?」
初めての神事に参加しディランとフレディと屋台を回った時の事を思い出し尋ねると、
「いや。今年も楽しむ方を優先するつもりだ」
返ってきた言葉、去年の事を思い出し頷きそこで会話は終わり、店主さんは先程まで読んでいた本を開き本の正解に入っていったので、自分も見たかった隣国の言葉で綴られた本を探し表紙を開き読んでゆく。
どうやらミランダとコナーさんが過ごしていた国の歴史書のようで聞きなれた名前の人物が数名出てくると親近感が湧き、難しく感じていた文面が読みやすく感じあっという間に本に書かれている文章に夢中になった。
「長い歴史というのは沢山の失敗と成功が重なったもの。だが、成功も失敗も長い時間をかけなければ答えが分ず、またその人物の立場によって判断は変わるものだ」
書かれている文章を無意識で音読したようで自分の声に驚き本から顔を上げると店主さん本を広げたままで、安堵の息を落とし再び本の文章を黙読し始めた。
様々な国王がおり、趣味を多彩にもつ王もいれば、恋多き王も居る。
生き方で本1冊書けそうな時代を生きた人も居る。
沢山の感情が心と脳に溢れ出すのを大きく息を出す事で落ち着かせ、違う本を探そうと椅子から立ち本棚を彷徨う。
題名が書かれていない本達を1冊1冊手に取り、最初の数行を読み興味を引いた本を手に取り椅子に戻り読んでゆく。
今度の本は自領の反対にある国の説話の様で、はるか昔からおこなられている祭りや伝承などが書かれており夢中で読み込んでゆく。
時折、店主さんの出してくれた紅茶を飲で喉を麗し、夢中で読んでゆけばあっという間に太陽が傾き出し、
「お嬢様」
耳に入った声に顔を上げれば店主さんがこちらお見ており、
「そろそろ帰らないとイルさんに怒られるぞ」
窓から見えた空を指を刺しながらの言葉に釣られ空を見れば、青い空が薄くなっており
「今日は月の出ない日だ。夕闇になるから早く帰ったほうがいい」
続けて告げられた言葉に、慌て本を閉じ
「この本を貸してください」
読んでいた本を借りたい事を告げれば頷かれ
「返却はいつでもいい」
頷きと許可の言葉にお礼を告げ本を片手の店を出れば、街の人達も帰る時間の様で人通りも多くあり、沢山の人に声をかけて貰い、足を動かしたまま微笑みと短い返事で返しつつ足早に屋敷に戻った。
暗くなる前に戻れた事に息を吐き、出迎えてくれたボニーさんに微笑まれ
「イルさんは仕事で部屋にこもっておりますので今の内に戻りましょう」
小さな声で告げられた言葉に慌て頷き、自室へと戻り着替え晩餐と入浴を済ませ、借りた本と共に早々にベットへ行き布団に潜り込み、表紙を捲った。
第277話
雪はいかがでしたか?大寒波が去ってもまだまだ油断できない寒い日が続くそうです、お身体ご自愛ください。
ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。
誤字報告をくださる方、ありがとうございます。感謝しております。
ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
https://ncode.syosetu.com/n4082hc/
フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。
お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!
https://ncode.syosetu.com/n9341hw/




