姉、成長を実感する
久しぶりの井戸での水汲みは周辺の雪が朝日に照らされキラキラと光、幻想的な風景を眺めながら行い冷えた体を釜の火で温めながら、パンの発酵具合や今日の朝食に使用する皿を選び、
今日は粉吹き芋にする為にじゃが芋を大きな鍋で茹で皮を剥き、鍋に入れ粉が吹くまで鍋を揺すり水分を飛ばしてゆく。
ゴロゴロとじゃが芋を鍋に入れ火にかけ水分を飛ばすこと数十回
全員分の粉吹き芋を作り上げ使用した鍋を洗い、キッチンメイド達とテーブルを囲み食事と会話を楽しむ。
休日の過ごし方から恋心まで幅広く会話に花が咲きあっという間に時間が来てしまい、別れの言葉とお礼を告げ今度はランドリーへ。
挨拶と共に部屋に入り、自分の着ていた服を手早く洗い、乾燥室で邪魔にならない隅に干し自室に挨拶をお礼を告げ戻る。
テアさんの出迎いを貰い、入浴を済ませマッサージをして貰い身なりを整えていると
「最近、ウエストが細くなり背中も薄くなった気がします」
着慣れた洋服を着た姿を写した鏡が体の変化を写し、鏡越しにテアさんに話しかければ、
「はい。変化が出ておりますのでお針子達に洋服の手直しをさせております」
鏡越しでの微笑みと視線を合わせての言葉に、改めて自分の体を見つめる。
「身長はそろそろ止まるかもしれませんが、ここ数ヶ月で随分高くなりましたし、身体付きも大人へと変化が出ておりますよ」
生まれてから身長や体重など測った事は無く、前の人生の経験でこれぐらいの身長かな?とぼんやりと思っていたものの、
多分160センチはあると思うけど。
全身鏡に映る自分をまじまじと眺め、変化をしている所を探す。
身長は王都にいる時よりは伸びたし、身体つきも凹凸が出てきたけれどこれはテアさん達が毎日マッサージをしてくれているお陰だし、
後は、どこだろう?
今まで自分の姿を見てこなかったので、どの様に変化が出てきたのか分からないが、子供の丸みが無くなった事は確かなので、
成長してるという事で。
曖昧に納得し鏡の自分と共に頷いていると、
「学園の制服も新しい型紙を送り続けているので、不備はないと思いますが、届き次第試着をしていただき手直しをする予定です」
微笑ましそうに見守ってくれたテアさんの言葉に驚き振り向くと、
「この夏には王都へ出発予定ですので少しづつ準備を整えておりますのでご安心ください」
メイドの顔で告げられた言葉に頷き、
「よろしくお願いします」
お願いを伝え、机に向かい書類を届けにきてくれたイルさんとの雑談の中
「そろそろ紙工房も責任者を作らせねばいけませんね」
告げられた言葉に首を傾げると
「エスメ様が今おこなっている契約書類関係や経理などできる人を雇い、独立をさせるのです」
「独立ですか?」
突然の言葉に不思議に思い聞き返すと
「エスメ様は間も無く王都立学園へ通う為に自領を離れます。距離の関係で指示が遅れては売りの季節を逃してしまう可能性もあります」
ゆっくりと告げられる事に理解を示し頷くと
「エスメ様の仕事ができ信頼できる人を雇い、その人物へ任せるのです」
工房のご婦人達が納得でき従う人。
刺繍の知識があり、センスがあり、計算に帳簿付けに交渉ができる人
条件を挙げられ浮かんだ人がいるが、
「今すぐ返事を返さないといけませんか?」
相手に提案をしていない今、名前を上げる訳にはいかず猶予が欲しくて尋ねると
「構いませんが早ければ早い程良いかと」
ご婦人達に認めて貰うには時間がかかるでしょう。
微笑み告げられた言葉に納得し、
「思い当たる人がいますので聞いてみます」
「畏まりました。奥様へその様にお伝えいたします」
イルさんのと会話も終わり、箒とハズケットを手に持ったテアさんと玄関へと向かい
「行ってきます」
箒とバスケットをテアさんから受け取り街へと歩き出した。
第264話
明けましておめでとう本年も変わらぬご愛顧をよろしくお願いします。
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ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
https://ncode.syosetu.com/n4082hc/
フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。
お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!
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