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殿下は薔薇に思いを馳せる


学園での授業を終え、学友達との座談を少ししたのち、各家の馬車に乗り帰路に着く。


「本日はいかがでしたか?」


正面に座る従者の言葉に微笑み、


「授業は変わらず。だがディランも日々成長といった所だな」


今日の出来事を思い出し含み笑いをすれば、


「いけませんわ。ディラン様も精一杯なのですから」


横に座る婚約者の言葉に、苦笑し


「君良いも中々に言うな」


返事を返すとにっこりと微笑まれ


「ディラン様の一族は貴族社会のやり取りが苦手な方が多いのです。物心着く前から対応をしていた私達とは一緒の対応はできませんわ」


自分の発言を嗜める婚約者に、


「アメリアのいう通りだな」


納得し頷きと言葉で返す。


親友のディランの人の良さに内心息を落としつつも、変わらないで欲しいと思い側近達と手を回す。


ご息女た大事に大切に育て慈しんできたディランをも守るのは当たり前で、


「ルーク様。そろそろ紙刺繍が手に入るようで、私、楽しみにしておりますの」


考え事に集中しかけた時の一言に、


「ああ。聞き及んでいるよ」


昨夜届いた報告書とディランの言葉を思い出し返事をすると


「数があまり無いと聞いておりますので、今から商人と交渉し手に入れようと思っております」


嬉しそうに微笑みながらの言葉に、


「僕から送らせて欲しいと言ったら、アメリアは受け取ってくれるかい?」


少し悪戯心が芽生え告げると、驚いた表情の後に


「お心使い、ありがとうございます。とても嬉しいです」


嬉しそうに笑ってくれ、前に座る従者へ視線を送ると頷き返事が来た。


もし、無理そうならお母様から1枚譲っていただこう。


嬉そに微笑む婚約者を眺めつつ、


そういえばアメリアのご息女の事を気にしていたな。


幼い頃より気心の知れた婚約者は、上位貴族らしく、我儘で上から物を言う事が当たり前だった。


家庭教師とナニーが大変甘やかしたのか、時折嗜める事もしてきたが、ある日を境に少しつづ性格に変化がではしめ、


今では淑女としてのマナーも隙なくこなし、王宮での習わしなどもつまづく事なく覚えて行っている。


先程の礼の言葉もそうだ。


ご息女が良く使う言葉で、弟のディランも良く口にする言葉。


アメリアは少ながらず、ご息女の影響を受けているのだろう。


時折、ご息女が突然姿を見せたお茶会の話題を口にする時がある。


その時の表情は淑女というよりもアメリア自身の感情が表情に出ており憧れと好意を全面に出した表情は大変好ましく、


国王の指示で結ばれた婚約だったが、アメリアで本当に良かった。


そう思い、アメリアの眺めていると、


「ルーク様、何かございましたか?」


視線を合わせ尋ねられた言葉に、


「アメリアが婚約者で良かったと、思っていた所だよ」


素直に言葉にすると、瞼が見開いたもののすぐ様無くなり、


「ありがとうございます。私もルーク様の婚約者になれ嬉しいです」


互いの気持ちを確かめ合い、馬車が王宮に到着するとアメリアとは別れ、自室に戻り着替えを済ませ、机に向かう。


用意された羽ペンにインクをつけ、出された書類を読み込み理解でいた上でサインをしてゆく。


政務というにはほど遠く王宮内での嘆願書を読みつつ、出された資料を読み込んでゆく。


それが終われば、教師が来てあらゆる勉強をしランプに火が灯る頃に終わりを迎えた。


アメリアはもう帰っただろうな。


闇夜に包まれた部屋で一息付くと、飾られているガラスのバラが目に入り、


ゆっくりと手を伸ばす。


ご息女は日々元気に過ごす中、隣国から来た元侯爵令嬢からマナーと勉強を受けていると聞く。


隣国では悪役令嬢と噂された彼女は慎ましく過ごしていると方向も受けている。


王妃教育も終えていた彼女からの教育だ。


ご息女は誰よりも淑女らしく振る舞う事ができるはず。


来年の秋になれば同じ学園で過ごせるが、どんな日々になるのだろう。


「日々、笑顔で過ごして貰えるように対応をせねば」


ポツリとこぼしてしまった言葉に慌て口を紡ぐも幸いに部屋には誰も居らず、ガラスの薔薇を手に取り眺める。


初めて出会いは何年たっても忘れることは無く、心を温かくし優しく包み込んでくれる。


間も無く、会える嬉さと、人々と触れ合うことで表情が曇るのではないかという恐れ。


2つの気持ちに苦笑し薔薇を眺めていると、


「白くなっている?」


今朝見た時は透明で太陽の光で七色に輝いていた薔薇が、すりガラスの様に白く見え慌てランプの光に翳すも、


透明には見えず、


「どういうことだ?」


呆然とする中、入室の許可を求めるノックの音に薔薇を花瓶に戻し、表情を取り繕い許可を出すと、

就寝の時間で準備が整ったとの事で、


気になるものの、従者を連れ寝室へと向かった。


寝付けぬまま一夜を過ごし、何事もない様に舞い従者に指示を出し寝室から自室へと移動し薔薇を手に取り太陽に向けるれば、


いつもの様に透明で七色に輝いており、


「見間違いだった?」


花弁を撫ぜ、じっくり眺めても透明のまま変わることは無く、


ディランに聞けば分かるだろうか?


それとも側近達に聞いた方が早いか?


代々魔法を研究している彼に聞くのが良いだろうか?


七色に輝く薔薇を丁重に花瓶に戻し、学園への準備が整ったと呼びにきた従者を連れ学園にゆく。






第248話


雪の話も聞こえてきました。本格的に冬が来ますね。まずはココアで体を温め体調を整えたいと思います。


ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

お時間ありましたらお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/


フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。


お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!

https://ncode.syosetu.com/n9341hw/


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