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姉、熱意を持って美味しさを伝える


最後は気の緩みで素の自分が出てしまい、馬車の中で小さく息を落とすと


「お見事でございました」


正面に座るイルさんの言葉に、ゆるりと首を振り、


「最後の最後に気を抜いてしまいました」


否定の言葉を出すと、


「いいえ。ありのままのエスメ様を知っているギルト長も感心していた通り、大変お上手でございました」


優しげに微笑見ながらのイルさんの慰めに、


「そうなら良いのですが」


苦笑いをし返事を返すと、


「ええ。おおよその話はギルト長に届いております。伝えた通りで行う。と、一言で終わらせる事もできましたがエスメ様は最初から細かく説明をしました」


イルさんの言葉に当たり前の事だと思いながら頷き返事をすれば、


「ご自身のお考えも述べ、契約内容も細かな箇所も間違い無く把握し、執務応答にも間を置かずご自身の言葉で説明された。これ程の安心材料はありません」


聞けば聞く程、契約事をするなら当たり前の事に戸惑いながら頷けば


「全て、私に説明をさえても良かったのですよ」


告げられた一言に、驚くと、


「そうなさる方も時にはお見えなのです」


柔和な微笑みのまま


「ギルト長は、エスメ様がご説明させるとは思っておりませんでしたでしょうから、内心とても驚いておりました」


さらに驚くべき言葉が聞こえあんぐりと口を上げれば、


「紙刺繍工房は永く繁栄する事でしょう。それにはギルトとの関係を密にする必要があります」


初手でギルト長の信頼を取ることができました。喜ばしい事です。


嬉しそうに微笑むイルさんに、


「すごい事をした実感はありませんが、イルさんから見て成功だったなら良かったです」


落ち込んでいた自分の為に過度な励ましのをくれるイルさんにお礼を込めて伝えれば、馬車が止まり開いた扉からイルさんが降り、差し出されたイルさんの手に自分の手を乗せ馬車から降りると、


「ようこそいらっしゃいました」


以前、お祖父様とお祖母様と街で買い物をした際に来たレストランで、出迎えをしてくれた従業員さんに案内され個室へと入った。


以前と同じ部屋に案内をしてもらい、引かれた椅子に腰掛け、正面に座ったイルさんと視線を合わせると、流れるように料理が運ばれ自分達の前に置かれてゆく。


焼きたての白いパン


野菜のスープ


数種類のハーブと共に焼いた鶏肉


ビーフシチュー


バターでソテーされた白身魚


一通り食べ終え、最後の紅茶の飲む頃にはお腹も膨れ、


「以前いただいた時も思いましたが、大変美味しかったです」


オーナーとクックがご挨拶にと来てくれたので、食事の感想を告げると、


「エスメ様にそう仰っていただけるとは、嬉しい限りでございます」


以前きた時より恐縮した雰囲気に内心首を傾げつつ、


「今日いただいたビーフシチューはとても美味しかったです」


付け加え気持ちを伝えると、


「ええ。シチューに入っていたじゃが芋がとても美味しかったです」


イルさんも感想を言葉に伝えるとクックは嬉しそうに微笑み、


「エスメ様はじゃが芋に関心を持ちご自身でも料理をされると聞き及んでおりました。料理に加えられればと思い入れました」


告げられた言葉に、思い出すとビーフシチューは勿論。


鶏肉にはマッシュされたじゃが芋があり、ソテーされた白身魚には、サイコロ型のじゃが芋が所々に置かれて、バターと魚の旨味がじゃが芋の染みとても美味しかった。


思い出したままを言葉に伝えると、無意識に熱弁していたようで、慌て口を抑え


「すみません」


恥ずかしさと共に謝ると、


「いいえ。そんなの気に入っていただけ、我々も鼻が高いです」


朗らかに微笑みながらのオーナーの言葉を貰いつつ横目でイルさんの様子を伺うと、微笑んだ表情のままだった。


馬車の中であたらめて謝罪をしよう。


紅茶をいただき、化粧直しをし、少し雑談を済ませ部屋を出で馬車へ戻ると白い箱が馬車の運ばれており、


「ご注文をいただきました、焼き菓子もご準備整っております」


オーナーの一言に


「ありがとうございます」


お礼を告げ、イルさんの手を借り馬車へ乗り込む。


見送ってくれるオーナーとクックに笑顔で返し、目的地の紙刺繍工房へ向か為馬車が走り出す。


「すみませんでした」


イルさんの言葉をまたず告げた言葉に、


「大変美味しかったのだと理解いたしました」


微笑んだままだがどこか硬い雰囲気のイルさんの言葉に


「気を付けます」


視線を下げて、伝えると


「よろしくお願いいたします」


終わりの雰囲気に息を落とし、これから行く髪刺繍工房で伝える事を頭の中で整理する事に専念した。




第246話


柊の花が満開を迎えておりました。良い香りもしており楽しみが増えました。


ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

お時間ありましたらお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/


フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。


お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!

https://ncode.syosetu.com/n9341hw/


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