姉、合格点を貰う
複雑なステップを踏み、途中で入るターンに体の中心がぶれない様に気を付ける。
相手がいる様に両腕を上げ形を作っていると、腕の筋肉に限界がきて震え出すのを堪え、なんとかミランダの手拍子に合わせた動きを終えると、
「素晴らしいですわ」
笑顔と共にお褒めの言葉を貰え、
「ありがとう」
お礼を告げると
「エスメさんは本当に覚えが早くて私、つい細かく指導してしまいましたわ」
頬に手を添え嬉しそうに話してくれる姿に、ミランダの期待に応えることができたと微笑むと、
「時折、ダンスの練習をして細かな所を手直しすれば完璧ですわ」
にっこりと微笑まれ、
「そうね。今は覚えていても時間が経つと忘れてしまったり、覚え間違いをしている箇所も出てくるもの」
「ええ。不思議なことですがその通りなのです」
頷き賛同の返事を返すと、深く頷かれ返事か返る。
「屋敷でも時々練習をするわね」
「ご多忙なのは存じ上げておりますが、その様にいていただけるとよろしいかと」
笑顔から申し訳なさそうに微笑むミランダに
「気分転換にもなるし、踊れる様になったからダンスを踊るのも楽しくなってきたから平気よ」
休憩を取るためにミランダに椅子に座って貰い、キッチンへ移動し紅茶とお菓子の準備をする。
「手伝うわ」
ミラの言葉にお菓子の皿を持ち上げ
「ありがとう。これをテーブルにお願いね」
ミラに手渡すと、落とさないように慎重な足取りでミランダの居るテーブルに運ぶ後ろ姿を微笑ましく思い手早く紅茶の準備をし終え、2人の待つテーブルに運び終えると
「良い匂いね」
ティーカップと持ち上げ、香りを楽しむミランダに習う様にミラも同じ動きをし
「花の匂いがする」
こぼした感想に
「お母様からいただいたの。なんでも王都で流行っている茶葉なんだって」
以前、お母様とのお茶会で出た話をすると
「ミラ。花の香りと言いましたが、どの花か分かりるかしら?」
柔らかいながらもどこか真剣な視線でのミランダの問いかけに、
「分からないわ」
しばらく考えた後に出した答えに
「この匂いはバラの香りなのよ」
ミランダは微笑んだまま答えと言葉にした。
カップの中の紅茶を眺めるミラに、そっとスコーンを差し出し、食べるように促すと
「ありがとう」
紅茶から視線を外し、笑いながらお礼を告げてくれたミラに頷き
「最近、ルイと会えてないけど元気にしてるかしら?」
会話が続きそうな話を振ると
「ルイのお父さんと一緒に自衛団の練習に通って手習をしてると言ってたわ」
ミラは少し難しそうな表情をしたので
「ルイに何かあったの?」
心配になり尋ねると、
「時々、怪我をしてるみたいなの。ルイは大丈夫と言ってるけど」
剣の練習をしていると聞いていはいるものの、流石に心配になりつつミランダに視線を向けると、
心配の色を濃くしており
「屋敷の裏庭で練習をしてるとから、今度、皆でルイの様子を見に行こうか」
練習場所に当たりをつけ、提案するも
「こっちに来る様に言ったのよ。それが、強くなるまでミランダに会わない。と言って来ないの」
呆れ半分と怒り半分のミラの言葉に、驚きながらもミランダの顔を見ると
少し頬を染めながらも心配そうに眉を下げる表情に、
思わず緩みそうになる頬に力を入れ、
「そっかぁ。なら、ルイが来てくれるのを待つしかないかなぁ」
少し棒読みだった気がしないでも無いが、気のせいとし、次の話を振る事はせずミランダの心の葛藤が治るのを紅茶とスコーンを食べながら待っていると
「エスメさん。顔がだらしなくなってますわよ」
心の中で楽しんでいた事がバレていたらしく、ミランダの照れ隠しの言葉に
「ごめんねぇ」
一応誤ったものの収まる所か、余りの可愛さに
「ミランダは可愛いねぇ」
収まりきらなかった感情が言葉に出ると、ミランダはさらに顔を赤くし何か言いかけたものの、ティーカップで口元を隠してしまった。
第243話
先日まで蕾だった柊の花が咲き綻んでおりました。満開になるのが楽しみです。
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ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
https://ncode.syosetu.com/n4082hc/
フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。
お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!
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