姉、磨かれる
この数日、ベットから出にくく布団の温かみが離れ難くなるも、なんとかベットから出て身支度を手早く整える朝の勉強をこなし、ランドリーに行けば熱気と湯気で汗が滴る程に暑い。
自室に行けば、暖炉に火を入れるまでは行かないけれど、肌寒く感じる事があり、
「エスメ様。入浴の準備ができております」
テアさんの言葉に首を傾げれば
「この季節は体調が崩しやすく、また気鬱をおこしやすいので気分転換にご準備させていただきました」
にこやかな雰囲気と言葉に頷き、促されるままにカモミールの匂いがするお湯に入った。
「汗をかきそのままでは体が冷えてしまします。ゆっくりとお入りください」
ドレスを着る日以外は1人で入るお風呂を、今日はテアさん入室しており、
「失礼いたします」
髪を1つに纏めたと思ったら濡らし、洗い出した。
「テアさん?」
知らされていない何かがあるのかと思い、呼びかけると
「学園入学までの間に少しづつですがエスメ様の身を整えてゆく事になりました」
笑顔で告げられた言葉に、甘いに頷くと
「入浴の後にはボマッサージを受けていただきます」
ので、この入浴でお体を柔らかくいたしましょうね。
どこかやる気に満ち溢れているテアさんに言われるまま頷くと、細部まで洗われ、洗顔とパックまでされ、その後、言葉通りにマッサージを受ける。
時折、痛みに思わず声が出そうになるも、噛み殺し耐えていると
「座り作業に、ダンスの練習で足と腰に疲れが溜まっておりますね」
痛みを感じた二の足と太腿部分を押し撫ぜられながらの言葉に、
「そうなんですね。全然気が付きませんでした」
あれだけ動いているのに、運動不足なのだと心の中で反省をしていれば、
「ダンス中に体に力が入りすぎているのが原因ですが。動きを覚えれば変に力を入れず踊れますので、その内に解消するかと思もわれます」
その言葉に、思い当たる節があり、
「頑張ります」
苦笑いをしながら返事を返すと
「誰もが初めての事を覚えるのは大変で戸惑い困惑します。そのようにお気になさらなくても。誰も責めたりいたしません」
私もメイドとして初めての仕事は覚える事が多く、先輩やメイド長に沢山のご迷惑をかけましたし、
今も助けて貰っております。
背中へと進み、体を押しながら撫ぜているからか普段聞かない音と言葉に、
「私も皆さんに助けてもらっております」
体が温かくなり眠気がやってくる中、返事を返すと
「お役に立て光栄でございます」
ぼんやりとする意識の中で聞こえた言葉に嬉しくなり微笑んだ所でマッサージは終わり、今度はドレッサーへ行き、
「では御髪を整えて行きますね」
いつもディランから送られてくるラベンダーのヘアーオイルではなく、バラの匂いがするオイルに鼻を鳴らせば、
「奥様からエスメ様へこちらを使い整える様に告げられました」
鏡越しに視線が合い、告げられた言葉に
「お祖母様にお礼を言いに行きたいです」
頷きと共に言葉を返すと
「明日ならお時間があると伺っております」
テアさんの言葉に、驚きまじまじと鏡越しに目を合わせるとにっこりと微笑みで返事をくれた。
仕事ができる人ってこういう人を言うんだろうな。
尊敬の視線を送ると
「出来上がりましたわ」
その言葉で視線が外され、用意された洋服を着て、今度は机に向かい工房からの要望書に目を通す。
要望書への対応策などを書き上げると、集中していたようであっという間に出かける時間となった。
「行ってきます」
テアさんに見送られ、屋敷を出て歩くと風が冷たく
1枚多めに着てきて正解だったわ
コートを着るまでではないものの吹く風は冷たく、よくよく見れば山の頂上はうっすらと白くなっており、
今年も雪が降ってくるのかなぁ
ぼんやりと考え事をしながらミランダのアパートメントへ着くと、
今日もダンスの練習が始まった。
第240話
柊の花の蕾が膨らんでいるのを見つけました。まもなく冬がやってくるのですね。
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ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
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フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。
お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!
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