姉、親友の優しさに嬉しくなる
お祖父様とお祖母様のダンスを見本とし拝見し、イルさんと組んで練習を続けると、今まで習ったステップの理解ができ、1曲踊れる様になってくると楽しくなり、
「次は曲の流れが早い曲を練習いたしますわよ」
ミランダの言葉に頷き、見本と口頭で伝えられた動きを覚えてゆく。
1曲覚えたからと言って2曲目がすぐに踊れるのではなく、曲の速さの違い戸惑い足がもつれだす。
ドレスを着こなし踊る皆さんは凄いなぁ。
ミランダが相手が居ない中でも、流れる様に踊る姿に尊敬の念を込め見ていると、
「さあ、エスメさんの番ですわ」
微笑みながらの言葉に頷き、ダンスの基本立ち方をすると
「エスメさんは覚えるのが早いですね」
嬉しそうに呟く言葉に、
「屋敷のみんなが練習に付き合ってくれるお陰だよ」
帰宅後、疲れ集中力がない中でも怒らず練習に付き合ってくれる事を伝えると、
「良い方々ばかりの様で安心いたしましたわ」
返ってきたミランダの言葉に首を傾げると、
「今まではルイが居たので、夕暮れに帰宅に馬車を使わないのは理解しておりましたが、今はミラを送り届けたらお1人になります」
困った様に微笑みながら教えてくるミランダの話を頷きながら聞くと
「女性を夕暮れ期にお1人で帰るなど、いくら治安の良いこの街でも危ない事には変わりありません」
少し怒っているのか、どことなく普段より早口の言葉に、
「心配してくれてありがとう。箒で飛んで帰っているから大丈夫よ」
嬉しくなりつつも、
「本当はディランと約束をしているので歩いて帰りたいのだけどね」
ディランとの約束を破っている事に罪悪感があるものの、お祖母様に心配をかける訳にもいかずあの日依頼帰りは箒で帰る日々を続けていた。
勿論、手紙で空を飛んで帰っている事への謝罪の手紙はすぐに送ったけれど、返事はいまだに無く、
約束を破るなんて最低な行為だもの。
ディラン、私の事を嫌いになったかも知れないわね。
心の中でため息を落としながらも、ミランダの顔を見ると悲しそうに眉を下げており、助けを求める様にミラを見ると、呆れる様に大きなため息を落とし、
「ディランがエスメの事を嫌うわけ無いじゃない」
どこかツンと尖った様に告げられた言葉と
「ええ。私もそう思いますわ。大切な姉が1人夕暮れに帰宅するのです。約束も大事ですが身の安全の方が大切ですもの」
ミランダの労わるような優しい言葉に、さっきまで考えていた事が2人に知られた事に気が付き、
「そうだよね。ありがとう」
お心使いありがとうと言いかけて慌て言い換えをしお礼を伝えると、
「別に大した事はして無いわ」
そっぽを向きながら返事を返してくれたミラを可愛く思いながら、ミランダを視線を合わせ小さく笑い合えば、
「今はダンスの練習の時間でしょ」
怒らせてしまった様で、大きな声で告げてくるミラにミランダと返事をし再びダンスの練習を再開させた。
何度もミランダの言葉に頷き、告げられるままに足を動かしステップを踏んでゆく。
時に早く、時に遅く。
必死に足を動かし時に息切れのために休憩を挟みながら続けるとあっという間に夕食の時間となり、
「今日はコロッケもどきにしました」
手早く作れるように、細かく刻んだ野菜を炒めて、潰したじゃが芋に混ぜ、グラタン皿に入れパン粉を乗せオーブンで焼いた
前の人生で一時期流行ったコロッケもどきを出すと、驚きながらも
「砕いたパンがサクサクで潰したじゃが芋と良く合いますわね」
「これも美味しいですね」
ミランダとコナーさんの感想と
黙々と食べるミラの姿に嬉しくなり、また作ることを心の中で決め夕食を楽しんだ。
第237話
昨夜の皆既月食と惑星月食はご覧になりましたか?動画と共に外で数時間月の観察をしました。
ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。
ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
https://ncode.syosetu.com/n4082hc/
フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。
お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!
https://ncode.syosetu.com/n9341hw/




