表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

236/752

姉、憧れる


数日前から突然始まったダンス練習は毎日行われ、ミランダのアパートメントで基本を習い、屋敷に帰り復習をしてなんとか身に付けている。


初日に体力が切れかけミラから箒を借りて以来、帰りは箒に跨り飛んで帰る日が多くなった。


「ディランとの約束通り、歩いているのに体力が増えてない」


ポツリとこぼした言葉は誰にも聞かれずに済んだが、最近ぼんやりとする事が多くなり、


「お疲れが溜まっているのかと思われます」


ボニーさんの言葉と共に差し出されたハーブティーを一口飲むと、蜂蜜の甘さと酸っぱい味がとても美味しく


疲れた時はクエン酸がいいって前の人生できたことがあるわぁ


鈍く動く頭と口の中に広がる酸っぱさを味わっていると、


「本日のダンス練習は部屋を変えて行うと様、奥様から言われております」


聞こえて来た言葉に、首を傾げれば


「そろそろステップだければなく動きもつけて覚えるように。との、お話がございました」


ボニーさんの言葉に返事を返し、淹れてもらったハーブティーで少し元気になれたので、案内をされるままに部屋に入ると、


お祖父様とお祖母様に加えイルさんか待っており、


「本日から、エスメ様のダンスの相手をさせていただきます」


1歩前に出て1礼をしながら告げられた言葉に、


「よろしくお願いいたします」


慌て頭を上げれば、


「では、早速始めましょう」


伸ばされたイルさんの手を取り近づくと、イルさんの手が腰に触れた事に驚き顔を上げれば、


「エスメ様、基本の立ち方ができておりませんよ」


微笑まれ告げられた注意に慌て背筋を伸ばしポーズをとった。


そうか。今まで1人で練習をしていたから分からなかったけれど、上げた腕は男性の二の腕に置く位置なのね。


ミランダの指導は1人だった為、言われるままに動いていたがイルさんと踊るだけれ今までの動きに意味があるのだと分かった。


が、うまく体が動ける訳はなく、


身長差もあり初めてと言うことも、動きに自信がない事もあり足の動きから目が離せないでいると、


「エスメ様。踏んでいただいても構いませんので顔を上げてください」


イルさんの言葉に従い顔を上げるとすぐさま足の動きがついて行けずもつれて転けかける。


「イルさん。ごめんなさい」


転けないように無意識に掴んでしまったイルさんに誤りをいれ体制を整え基本の形に戻すと、


「おみ足を痛めてはおりませんか?」


心配そうな表情をし見下ろしながらの言葉に


「イルさんが支えてくれたので、大丈夫です」


お心使いありがとうございます。


思わず握り込んでしまった袖が皺になってしまい、もし訳なさがじんわりと心に出てくる中、


「エスメ、イルお疲れ様。もう良いわ」


お祖母様の言葉に、イルさんのエスコートを受けながら部屋の真ん中から壁に沿って置かれたソファに座っているお祖母様の元へ行くと


「要練習といった所ね」


練習の評価を貰い、頷き返すと


「と、いってもエスメは初めてのダンスでしょうから、今から私と旦那様で見本を見せるわ」


座ってたお祖父様が立ち上がりお祖母様の前で膝を付き、


「1曲踊っていただけますか」


「ええ。喜んで」


嬉しそうに微笑みながら差し出されたお祖父様の手にお祖母様は手を乗せ立ち上がると、流れるようにお祖父様のエスコートを受け部屋の真ん中へ移動をした。


突然の事で驚きながら見ていると、お互い視線を合わせ微笑み合い自然とホールドの形を取り滑る様に踊り出す。


お祖父様もお祖母様も視線を外すことはなくとても楽しそうに微笑み合い、時に会話をしてるのか楽しそうに笑いあっており、


なんだかテレビを見てるみたい。


ダンスを踊っている2人があまりにも優雅で楽しそうにしている姿をぼんやりと眺めていれば、あっという間に終わり、


再びお祖父様のエスコートの元にお祖母様と自分の所へ来てくれ


「雰囲気は掴めたかしら?」


息切れなど無いお祖母様の言葉に曖昧に頷くことしかできず


「とても綺麗でした」


夢心地で感想をこぼせば、お祖父様の大きな笑い声とお祖母様の


「貴方も踊るのよ」


呆れたながらの言葉に


「そうでした。精進します」


自分の為に見本を見せてくれたのだったと思い出し、返事を返すと


「これからはイルと一緒に練習をしなさい」


相手がいると動きがよく分かるでしょう。


お祖母様の言葉に頷き、


「イルさん。これからよろしくお願いします」


付き添ってくれたイルさんに頭を下げると


「こちらこそ、よろしくお願いいたします」


イルさんも頭を下げてくれたが、


「練習は明日からにして今日はもう休みなさい」


お祖母様の言葉と


「疲れている中体を動かすと怪我を作りやすいからな」


お祖父様の言葉に頷き、


「お祖父様。お祖母様。おやすみなさいませ」


就寝の挨拶を交わし差し出してくれたイルさんの手を取り自室へと戻り手早く入浴を済ませベットに潜り込んだ。


自分がお祖母様のように踊れる様になれるのかな?


なれたらいいな。


眠りに誘われ、瞼を閉じながら優雅に踊る自分を想像し眠りについた。



第236話


心地の良い秋晴れが続き、紅葉が見頃になっておりますね。日々の散歩が楽しい季節になってきました。


ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

お時間ありましたらお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/


フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。


お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!

https://ncode.syosetu.com/n9341hw/


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ