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姉、手料理を振る舞う

23/01/28 誤字修正をおこないました。教えてくださった方、ありがとうございます。


足早に向かったキッチンで手早く手を洗い、手渡されたエプロンを身に付け


「急な変更で申し訳く思っているわ」


近く来てくれたクック長へメニューが急遽変更になった事を謝ると、


「いえ。実はお嬢様のお作りする料理に興味がありまして。近くで拝見する事が叶い嬉しく思っております」


大きな体で礼をしながら伝えてくれて言葉に、


「ありがとう」


たいた事ではないのよ。この言葉をグッと飲み込みお礼を伝えると、


「じゃが芋の皮剥きと茹でる所までは終わっておりますので、次の指示をお願いいたします」


にっこりと笑い仕事の顔をしたクックに頷き返し、


「では、茹でたじゃが芋を潰してください。皮を剥いたじゃが芋は薄くスライスをお願いします」


コロッケとじゃが餅に芋チップスにじゃが芋を使ったグラタン。


じゃが芋のパンは間に合わないので持ってきたのを食べるとして後は。


頭をフル回転し手早く晩餐の準備をしてゆく。


フッと頭によぎったのは、前の人生でのただいま。お腹すいた。の声で、


あの時も外で仕事をこなし返って慌てて夕食の準備をしてたわね。


懐かしさに微笑みながら手早くコロッケの形を作りをしていると、


「あ!じゃがバターを忘れていたわ」


作り忘れていた品を思い出し、コロッケの作業を抜けじゃが芋を蒸す準備をする。


じゃがバターは出来上がらの熱々を食べるのが良いかちょうど良かったかしら?


家族の分と使用人の分があるので皆で分担し沢山作り、お父様の帰宅の知らせに来てくれたので


「ごめんなさい。もう少し時間がかかるわ。そう伝えてくれる?」


早口で伝言を頼むと微笑みながら頷いてくれた。


皆で手分けして作ったものの、ふっと思いつき、


塩肉じゃがを作ることにした。


コロッケと材料も似ているので、野菜と肉を手早く切り作り上げてゆく。


まだ、自領では作ったことのない料理にクック長を始め皆が興味津々で手元を見てゆく。


後は味を染み込ませる為に冷やすのだが時間が無いので風魔法と水魔法を発動させ鍋の冷やして味を染み込ませる。


その間に、盛り付けの指示を出し、持ってきたパンとグラタンを温め直し、揚げたての芋チップスと持ってきた芋チップスの食べ比べが出来る様に準備も任せる。


風魔法で圧力をかけ、水魔法で冷やし、火魔法で温め直す。


何度か繰り返し行い様子を見ると、芯までは味が染み込んだように見えたので


「盛り付けを」


勢い良く振り向き言いかけるが、


塩肉じゃがの場合はどの皿に盛り付けるのが正解なのだろう?


よぎった考えに、答えが出せず


「スープ皿?あれ、平皿の方が良い?」


思わず言葉にすれも、盛り付けを思い出し


「平皿よりもスープ皿の方か良いか」


持ち運びを考え家族分を装い、


「残りは皆さんで召し上がってください」


クック長へ伝えると皆、嬉しそうに笑い


「ありがとうございます。頂戴いたします」


クックの言葉に頷き返した後、エプロンを脱ぎ足早に家族の待つ部屋へ向かった。


料理中邪魔にならない場所で控えてくれてたマルチダと共に、足音を立てないように小走りで走っていると、お父様とお母様の声が聞こえてきたので歩きに変え、マルチダの取り継ぎ後


「遅くなり申し訳ございません」


料理と共に部屋に来る事が遅くなったことを謝ると、お父様が立ち上がり


「おかえり」


帰宅の挨拶と共に抱きしめてくれたので、大きな背中に腕を回し


「ただいま帰りました。お父様もお帰りなさい」


挨拶を返しつつ、同じように挨拶を行えば


「ああ。ただいま」


同じ様に返してくれ


「エスメの調理が食べれると聞いて楽しみにしていたんだ」


回していた腕を解いてくれたので、向き合いながらの言葉に


「沢山作りましたので、いっぱい食べてください」


微笑みながら返しつつ、お父様に手を取られ席までエスコートを椅子に座らせてくれた。


「せっかくですもの暖かいうちにいただきましょう」


お父様の話したい雰囲気を悟ったお母様の言葉に、全員で食事前に祈りを捧げ

各自ナイフとフォークを使い気になったものを食べてゆく。


お父様もお母様もポテトサラダが気になったようで一口食べると


「これは、新しい食感だな」


「ええ。潰したじゃが芋と他の野菜が合うとは思いませんでしたわ」


それぞれが感想を伝えてくる中、隣に座るディランが気になり眺めていると、ポテトサラダを食べ


「美味しいですね」


気に入ってくれた様で、手を止めることなく食べ続けてくれたのでホッと安堵の息をを出し、自分もポテトサラダを食べ、その後に揚げたてのコロッケを食べると、


さっくりと音が出たのでこれにも安堵の息を出し、次の塩肉じゃがを食べれる。


醤油と味醂がないので、あるもので作ってみたが美味しく味も染みており


久しぶりに食べる肉じゃが美味しい。


満足げに食べていると、


「姉様は料理上手ですね」


ディランの言葉に


「嬉しい。ありがとう」


飛び上がらんばかりに嬉しくなり、


「どれが美味しかった?」


思わず聞いた言葉に


「全部ですが。特に芋チップスが美味しかったです」


さらりと返ってきた言葉に


解るわ。上げたじゃが芋に塩を振っただけなのに中毒性があるわよね。


心の中で深々と頷きつつ


「クックに作り方を伝えてあるからいつでも食べれるからね」


笑顔で伝えれば、


「ありがとござます。今度のお茶会でお出ししてもよろしいですか?」


「勿論よ。お友達も気に入ってくれたら嬉しいわ」


久しぶりのディランとの会話を楽しみつつ


「では、私もお茶会の手土産に持って行こうかしら」


「ああ。いいね。僕も軽食として職場に持って行こうかな」


お父様とお母様の言葉に嬉しく思い、


「この料理の作り方を本にすることに決めました」


先程のお茶会での会話をすれば


「ああ。良いね。じゃが芋は寒さにも強いし年2回取れる野菜だ。他の寮でも飢饉対策で作っているから広めると良い」


お父様の言葉に頷きつつ、どうもお母様の考えとずれているような気がし


「1冊だけ作る予定です」


冊数の話をすれば、お父様も不思議そうに首を傾け2人で不思議がっていると


「1冊あれば、この料理はエスメが考え作った物だと証明できますわ」


お母様の小さく笑ながらの言葉に、


「ええ、そうですね。では姉様の本が完成するまでお出しするのは控えます」


続けて告げたディラン言葉に、今一よく分からないものの


「なら、急いで書かないとダメね」


楽しみにしてくれたディランの為に優先事項の1番上に持ってゆく。


お父様はコロッケが気に入ってくれ、お母様はじゃが餅を好んで食べてくれた。


勿論、グラタンも好評で出したものは残らず食べ終えて、食後のティータイムに入るも、


「そろそろお祖父様とお祖母様がご心配なさるわ」


お母様の言葉に、頷けずにいると


「秋にはご一緒に学園に通えるとお聞きしております」


ディランの言葉に思わず抱きしめ


「そうなのだけど、ディラン不足が深刻なのよ」


ディランの頭に頬擦りをすると


「エスメはディランの事が好きだからなぁ」


「ですが、お義母様にご心配かける訳にはいきませんわ」


お母様の言葉もわかるが、一緒にいられると思い来たのに触れ合える時間が少なかった事が心残りで

頷けずにいると


「姉様。お気持ちはとても嬉しいですが、戻らないと姉様付きのメイドが休む事ができません」


姉様のお帰りをずっと待っているはずですよ。


その言葉に見送ってくれたハンナさんの事を思い出し、


「そうね」


寂しく思うもハンナさんが部屋で待機していると思うと申し訳なくなり、ディランを抱きしめていた腕を離し


「帰ります」


告げれば、


「また、お会いできるのを楽しみにしております」


ディランから抱きしめてもらい、


「元気に過ごしてちょうだいね」


お母様からも抱きしめてもらい


「いつでも帰っておいで」


お父様からも抱きしめてもら帰る準備をする中、


「エスメ、このお土産を持って帰って頂戴」


大きな平たい箱1つと箱数個を手渡され、


「あなたの先生にお渡ししてね」


お茶会の時の言葉を思い出し頷き、自領の自分の部屋を思い浮かべる。


「また来ます」


見送る家族に別れん言葉を残し、自室へ戻れば


「おかえりなさいませ」


ハンナさんの言葉と出迎えに


「ただいま帰りました」


笑顔で挨拶をした。


第230話


秋ですね。なんてお話していたら夜の気温が一桁だとか。もう冬ですかね?


ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

お時間ありましたらお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/


フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。


お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!

https://ncode.syosetu.com/n9341hw/


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