姉、帰宅する
2022/12/21 22話と23話が重複している箇所を修正いたしました。教えていただいたありがとうございます
お父様の温もりに包まれながら急く心と会える楽しみに心を躍らせていれば、着いたのか馬車が止まり御者からノックが入れられるとお父様に抱き上げられ馬車を降りると見慣れた開いている裏門があり、屋敷へと歩いて行く。
暗闇の中、屋敷の中から漏れる明かりを頼りに止まる事なく歩くお父様の首に腕を回し周りを見渡す様に左右に動かすも力を込め抱き直されたので大人しく肩に頭を預けた。
1歩1歩屋敷に近づく度、嬉しさの懐かしさに謝る事への緊張感と怒られる怖さが混じり緊張し始め思わずお父様に縋り付く様に回していた腕に力を入れれば、あやす様に背中を2度優しく叩かれ深呼吸をする。
まるで人が居るのが解っていたかの様に扉の前に立つ直前に扉が開き、中へと入ればキッチンが見え使用人達が日常に使う扉から入ったのが解った。
初めての知った扉に好奇心が向くも、止まる事なく進むので眺めるだけになってしまったが、
そこからは勝手知ったる我が家だが自分より視界が高く見慣れた廊下でさえ新鮮に見え心躍り、ゆっくりと眺めていれば、
「こちらでお待ちになっております」
聞き慣れたお父様の従者の声に振り向き顔を見れば、驚いたのか目を見開くもすぐ様いつもの穏やかな雰囲気の戻り扉を開けてくれた。
「エスメ」
耳に馴染んだ大好きな優しい音で名前を呼ばれ顔を動かせば、微笑んでいるお母様が立っており
「おかあさま」
こぼれ落ちた言葉と共にお父様から下ろされ近づくも後数歩の距離で止まり、
「あの、お母様」
微笑んだままのお母様見つめるも不安になり振り返りお父様を見れば力強く頷いてくれたので改めてお母様に向き直し、
「ごめんなさい」
いつもの声より小さな声になってしまったけれど、なんとか言えた言葉に無意識に下げて視線のまま居れば布が擦れる音と空気が大きく動いた後暖かな何かに包まれると
「お帰りなさい」
耳元から聞こえたお母様の声に何かが競り上がり
「ごめんなさい。ごめんなさい」
言葉と共に鼻の奥がツンと痛みだし、涙が溢れてくる。
ごめんなさい。心配かけてごめんなさい
何度も何度も同じ言葉を繰り返すと
「貴女が無事で良かったわ」
いつの間にか抱擁が解かれポロポロ溢れる涙をお母様の指が拭続けてくれる。
「冒険をして来たのでしょう?貴女の事だもの沢山の楽しい事や発見したことの話を聞かせてくれるのでしょう?」
微笑みながら告げられた言葉に頷き返し、
「沢山聞いて欲しい事があるの」
鳴き声にように震える声で返事が返せば、
「楽しみにしているわ。でも、もう遅いからゆっくり寝て起きたら聞かせてね」
鼻頭と額にキスを贈られ抱きしめてくれた後、背中を押されお母様のメイドに連れられ自室へと送られた。
「お帰りなさいませ」
自室に入り聞こえて来た声は数時間前に別れたマルチダの声に
「ただいま」
泣き声ではないけれど少し掠れた声で挨拶を返せば、
「湯浴みの準備ができております」
いつも通りの表情と雰囲気で返され頷き返せば
「目を冷やす物と後ほど喉に良い蜂蜜をご準備致しますね」
泣いてしまったことがバレてしまい恥ずかしくなるも
「ありがとう。お願いします」
お礼を告げれば少し雰囲気が柔らかくなり、促されるままお風呂を済ませ、ナイトウェアを着せられベットへ座れば蜂蜜をひと匙差し出され口に含む。
甘い香りと味に思わずもう一口と強請りかけるもマルチダが手早く片付けるので仕方なくベットに潜り
「おやすみなさい」
寝る挨拶を告げると
「おやすみなさいませ」
礼と共に挨拶が返り、部屋の明かりが消された。
明日はディランに謝りに行かなくっちゃ
自然と出てきた欠伸と急に重くなった瞼を閉じればあっという間に夢の中へ入っていった。
第23話
ようやく家に辿り着きました。
姉弟に日常の話に戻ります。
ブックマークと評価に星を押していただきありがとうございます。
誤字脱字報告も感謝しております。本当にありがとうございます。
夜に虫の鳴く声に気づきました。秋なんですね。
美味しい物を沢山食べてたいです。
ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
よろしけれお読みください。
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