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姉、新しい料理を振る舞う


いつの様にミランダのアパートメントにお邪魔をし、他国の言葉とその国の成り立ちや風習を習えば好奇心が抑えきれず、思いつくままに次々と質問をするも


ミランダはつまる事なく答えを返してくれる。


まるで言ったことがある様に情緒を感じ、時に懐かしむ様に教えてくれるので


行った事があるの?


そう言いかけたが、言葉の恥ばしに寂しそうに時に悲しそうにするのを感じ言葉を飲み込んだ。


興味はあるけれどミランダを悲しませたくない。


テンポ良く質問をしていたが不意に途切れた事でミランダが自分の心情に気づいてしまい、


「知り合いがこの国の出身で幼い頃に1度だけ行った事がありますの」


綺麗感情を隠した微笑みに、


「そうなのね」


頷くだけに留め、手早く羽根ペンを持ち


「今度は文字を教えてほしいな」


笑顔で次を促せば、ミランダも何もなかった様に頷き手本となる文字を紙に書いてくれた。


ミランダの知識は豊富で、1つ聞けば10返ってくる。


自分と一緒で幼い頃から勉強をしていたのだとミランダは教えてくれたけれど、ボニーさんの話ではそれ以上のマナーを教えてくれているらしく不思議に思い首を捻るも


国が違えばマナーも変わる。

些細なことだわ


この答えに行きつき、納得をし教えてもらい事に決めた。


ミラと一緒に勉強をするもどうしてもミラの方が覚えるのが早く、時にミラに追いつかねばと焦るも


「無理をするものではありませんよ」


キッチンに立ち、たわいのない話として出した言葉にコナーさんは真剣に返事を返してくれ


「通常、語学は自国の読み書きができれば良しとされています。それを超え覚えているのです」


無理をして嫌になり止めてしますよりも、自分の早さで進めてゆけば良いのです。


ジャガイモを薄くスライスしながらの聞き入ってしまった言葉に、


「そうですね。1日1語、1単語を最低ラインに続けていきます」


マルチダも、フレディも無理をすることはないのだといつも声をかけてくれた事を思い出し、釜の火を調節しながらジャガイモを切り終え、今度はミルクを入れたスープにジャガイモを水洗いした時に出た澱粉を入れとろみをつけてゆく。


焦がさない様に気を付けゆっくりかき混ぜればシチューのようなとろみになった所で釜から下ろし、

ガラスでできた深さのある大皿に入れ、硬くなったパンを入れ、スライスをしたジャガイモを綺麗に並べ、を繰り返し


最後にたっぷりとチーズをかけ、燃えている薪を端によけ開けた場所に置いた。


急に寒くなったのでどうしてもグラタンが食べたい。


その一心で、誰も食べたことのない食べ物を説明するわけにはいかず、勝手に作りがした。


グランダ受け入れてもらえればシチューも食べてもらえる。


緊張しながら作り時折不思議そうなコナーさんの様子を伺いつつ、今度はご婦人特製の青豆のスープを作れば


夕食の完成となり、全員で祈りを捧げた後


「いただきます」


無意識に出てしまった言葉に気づかず、グラタンに手を伸ばした。


熱さに気を付けつつ、食べ始めると、ミランダもミラも恐る恐る手を伸ばし口をつけると、


「美味しいですわ」


ミランダの驚きながらも伝えてくれた言葉に


「もっと寒気なると、もっと美味しくなる食べ物だよ」


前の人生で冬に子供達にねだられ作ったことを思い出しながら伝えると


「ええ。体も温まりますし、定番にしても良さそうですね」


コナーさんのお墨付きを貰え、嬉しくなりミラの様子を見れば、熱すぎたようでゆっくりと食べる姿に水の入ったコップを差し出す。


「ありがとう」


お礼と共に水を一口飲み、グラタンを食べと繰り返し、チーズが固まってきた頃にようやく食べれる熱さになったようで、


「また作ってね」


笑顔でおねだりを貰えたので


「勿論よ」


次はミラの苦手そうにしている野菜も細かく切って入れてみようかと考えながら夕食を食べ終え、釜の残火でお湯を沸かし皿洗いをしていれば


「エスメさんは令嬢ですが、皿洗いも上手ですね」


固まってしまったチーズをお湯でふやかしながら洗ってれば、感心したコナーさんに


「いずれ独り立ちをする為に勉強をしているのです」


笑いながら告げれば不思議そうな表情をしていたので


「ディランが後を継いだ時に屋敷から出て1人で暮らす予定なんです」


当たり前で誰にも言ってなかった言葉を告げれば


「ご結婚をして家を出る。と、言うことですよね?」


理解できないとばかりに尋ねられたので


「いいえ。結婚する気はありません」


生涯1人で暮らすための勉強をしています。


笑顔のまま告げれば、眉間に皺を作り戸惑っているように見えたので


「両親もディランも了承しております」


皿を洗い終え、布巾で皿の水分を拭き取とる中、手を離し左右に分け結んでいる髪を持ち上げ、


「この髪型は王都のいる時に私付きをしていたメイドが教えてくれた髪型なんですよ」


別れの日の事を思い出すと寂しくなってくるけれど、マルチダの教えてくれた髪型は慣れれば簡単にでき多用している。


「そうですか」


飲み込めない何を無理矢理飲み込んだような雰囲気の言葉に、不思議に思い首を傾げれば、


「いえ、ご夫妻のお考えあっての事かと思いますので」


曖昧に笑いながらの言葉に、頷き返し、使った皿を棚に戻す為にコナーさんの元を離れると何がを呟いた声が聞こえたも聞き取る事ができず、慌て振り返るも


何事もなかった様にコナーさんは紅茶を入れる準備をしだした。












第224話


朝夕寒さを感じる季節になりましたね。おでん美味しかったです。


ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

お時間ありましたらお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/

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