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姉姉、春を迎える


ゆっくりと進む馬車の中からミモザの花で彩られた街を眺め、時折目の合った人々に手を振り答えてゆけば馬の蹄の音が消え、馬丁から到着の合図を貰い扉が開かれると


お祖父様が最初に降り、次にお祖母様


お祖父様の手を借り最後に馬車から降りると去年同様に街の人達が左右に分かれ神事が行われるのを待っていた。


去年同様たくさんの視線を一身に受け思わず微笑みが崩れそうになるも、お祖母様の言葉を思い出し悟られない様に小さく息を吐き、息を吸い込むと同時に心を整え全身に力を入れた。


姿勢を正し、足先まで神経を尖らせ歩いてゆく。


お祖父様とお祖母様の後に続き歩き扉の前で振り返り、


「おはよう。間も無く神事も行われるので、今暫く待っていてくれ」


お祖父様の言葉に街の人達は無言で頷いた。


去年のディランの言葉もディランの優しさが出ていた言葉だった事を思い出し、懐かしく思いながら神殿をくぐり、去年同様に来賓室へ通され人々が神殿に入り着席するのを待つ。


神官長の向かえに、去年同様に祭壇に一礼をするお祖父様達を壁側で見守る。


1人で神事の進行を見守り、日差しが差し出しステンドグラスから降り注ぐ七色の光がお祖父様とお祖母様を照らし幻想的な雰囲気になると、見学者達の感動が混じる小さな声が溢れる中で神事を終え


改めて控室に戻り馬車が動ける様になるまで待機する。


去年隣にいたディランが居ないことを寂しく思いながら、神官長を交えながら雑談をしていると声が掛かり


「明日の神事をよろしくお願いいたします」


神官長の言葉に


「こちらこそよろしくお願いいたします」


微笑みと共に返事を返し、お祖父様の手を借り馬車に乗り込んだ。


この後は去年同様に街へ行き、屋台を見て回る。


去年と違うのは相手がディランやフレディではなくルイとミランダにミラとコナーさん。


去年同様にお祖父様とお祖母様から注意をいただき、屋敷に到着すると慌てドレスからワンピースに着替え髪を解き軽く編み込み直して貰いミモザ色のリボンを結んでもらう。


「ボアさん。ありがとうございます」


鏡越しにお礼を告げ、足早に玄関ホールに向かい見送りに来てくれたボアさんに挨拶をすませ、小走り気味に歩き噴水の広場へゆけば、


「エスメ、こっちだ!」


ルイの声のする方向へ向かえば、自分以外の全員が到着しており、


「遅くなってごめんなさい」


少し息を切らし謝罪をすると、


「神事、素敵でしたわ」


ミランダの労りの言葉に


「ありがとう。と言っても私は壁側で見守っていただけだけどね」


苦笑しなが、お礼を告げると


「明日が本番ですもの。初日というのはそのような感じですわ」


小さく笑ながらのミランダの言葉に頷き返していると


「時間も無いし、そろそろ行こうぜ」


ルイの言葉にミランダと共に頷き、


「最初はどこから行くの?」


ルイに問い掛ければ


「まずは街の端まで歩いて、噴水広場に戻る時に気になった屋台で買い物をする感じだな」


去年自分が立てた計画と一緒で懐かしく思いながら


「吟味しながら歩かないとダメね」


神事には領内にある村の人達も神事を見ようと来ているので、普段より人が多くおり、流れに逆らわないように歩き、ルイとミランダの背中を見ながらも


左右にある屋台を視界に入れ、どれを食べたいか。気になるかを吟味してゆく。


初めてみる屋台もあれば、去年見た屋台もあり


手を繋いでいるミラと距離を離れない様に気を付けながら歩いてゆく。


去年はディランと手を繋ぎながら歩いたわねぇ


視界に入るミラの顔を眺め、思い出し笑いをしていると気がつけば街の端まできており


「ミラ、何か気になる屋台はあったか?」


自分達の中で1番最年少のミラに声をかけたルイに


そういえばルイは子供達のまとめ役みたいな立ち位置にいたんだったわ。


隣にいるミランダに声をかけるのではなく、ミラに声をかけたことに心の中で驚きつつミラの表情を見れば、


「かわいいリボンが売っていた屋台が気になったわ」


かわいいものが大好きなミラの言葉に


「中間あたりにありましたわね。ではそこは必ず立ち寄りましょう」


ミランダが場所を把握していたらしく、すんなりと決まり


「ミランダはどこか行きたい屋台は?」


ルイの言葉に


「私もミラと同じ店が気になりましたの」


ミランダの返事に、ルイがじっとミランダを見つめ続けるも


「分かった」


渋々頷いたように見え首を傾げるも、


「コナーさん。どこか気になる屋台はありましたか?」


隣にいたコナーさんに声をかけると


「いえ私は特には。なので皆の後に着いて行きます」


もし訳なさそうに告げらたので


「分かりました。気になる屋台かあればすぐに教えてください」


返事返し、


「ルイ、ルイは気になる屋台はあったの?」


正面に立つルイに問いかけると


「串焼きが気になったし、他にも色々気になる屋台があった」


指を折り、気になる屋台を告げるルイに笑いながら


「では、噴水広場に向かっていきましょう」


その場その場で臨機応変に対応すればよしと判断し、歩いてゆく。


飲食の屋台ではその隅で立ち止まり食べ、アクセサリーなどは展示してある屋台でミラが気を引いたようで立ち止まり、ミランダと話しながら眺め、


「この串焼き美味しい」


思わず声をあげてしまったが、


「本当に。スパイスが効きとても美味しいですね」


コナーさんの同意が聞こえてきた。


チラリとコナーさんに視線を向けると何やら考え事をしながら串焼きを食べており、


「コナーさん、この先にスパイスを売っていた屋台ありましたよね?」


興味があると判断しお誘いすると


「ございましたね。是非、ご一緒させてください」


真剣な表情で返事か返ってきたので、食べ終えたらすぐに移動とし


「胡椒に岩塩にハーブ」


1点1点じっくり眺め思わず商品名をこぼすと


「ええ。岩塩と胡椒は欲しいですね」


コナーさんの言葉があり、店主さんに購入を告げると笑顔で対応してくれ、次にミラの気になったリボンを見に行くと、


「ミランダ。この色は似合うかな?」


リボンを手に取り髪に当て姿が可愛く、


「ええ。お似合いですわ」


微笑ましく返事を返すミランダの声は優しく、


「これ、ミィお姉ちゃんに似合いそう」


言葉と共にミラが当てたリボンはとてもミランダに合っており、2人のやり取りを眺めていると数本購入し、噴水の広場へ到着した。


これからミラは去年同様にお菓子を貰いに街を回るとのことで、


「これ、ミィお姉ちゃんとコナーさんにプレゼント」


先程買ったリボンを手渡しながらの言葉に、


ミランダもコナーさんも驚きながら受け取ろうもせず、


「毎日、勉強を教えてくれているお礼です」


ミラが背を伸ばし告げると、


「ありがとう」


ミランダが嬉しそうに微笑み受け取った後、


「ありがとう」


コナーさんも嬉しそうに笑ながら受け取り、2人共すぐさま髪に結び


「似合うかしら?」


ミラに問いかければ


「すっごく似合う。可愛いわ」


嬉しそうに笑うミラの表情を微笑ましく見守れば


「そろそろ時間だから行くわ」


集まり出した子供達に元へ走ってゆく姿に全員で見送った。




第213話


台風が過ぎ去り、急に秋がやってきましたね。気温変化に驚いております。


ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

お時間ありましたらお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/

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