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姉、質問攻めに合う



静まり返った室内は息を吸う音も大きく聞こえてしまうのではないかと思い、浅く呼吸を繰り返す。


お父様やお兄さんにお爺さんが部屋にいつになったら行けるのだろう不安と少しの怖さに視線が彷徨い扉へ向けてしまう。


行きたい気持ちと逃げ出したい気持ちが混ざりいつでも動ける様に身構えると、


「あちらが終われば迎えに来るからもう少し話をしようと思うのだけど」


魔術省の役人さんが困った様に笑いながら話しかけられ、魔術省で会った時とは違う雰囲気に戸惑いながら頷けば、お礼を告げられ、


「以前、魔法を使える人物には色が見えると言っていたのを覚えるかい?」


あれはまだお披露目会に慣れてなく緊張して上手くできなかった私に落ち着くように声をかけてくれたお礼にと自分しか見えていない秘密の色の話をした。多分その時の話で会っていると思うので聞かれた事に頷いけば、


「では、彼は何色が見えているか教えてくれるかい?」


隣に座っていた細身の中年男性に五指で指し問いてくるので、失礼にならない程度に全身を見つめ


「茶色なので土魔法です」


本当に声に出して答えて良いものか戸惑い小さな声で話せば


「なるほど。では私の後ろに立っている彼は何色ですか?」


視線を動かし、厚みのある体の中年男性を先程と同じ様に見つめ


「火魔法の赤色です」


先程と同じく小さな声で答えれば、


「火魔法を使う者は全員、同じ赤色なのですか?」


違う問いかけに


「いいえ。皆、色の濃さや大きさが違います」


小さく首を振り返事を返すと


「では、彼はどのような赤色なのか詳しく教えて下さい」


少し早口で勢い良く聞かれ、流されるように頷き


「赤色なのですが色がとても濃くて火の様にゆらゆら揺れています」


見えたまま答えを返すと、魔術省の役人さんは顎に手を当て考え込んでしまった。


聞かれた事に答えて良かったのか不安になり、2人に視線を向けるも2人共表情は無く怒っているのか喜んでいるのかも分からず不安と怖さが膨らみ鼻の奥がツンと痛くなるのを感じ涙が滲み出てくるも誤魔化すように瞬きを繰り返す。


お父様、助けて


不安を覆い隠す怖さが心を満たし声無き声で助けを求めると、


「怒ってはいないんだ。怖がせてしまい申し訳なかったね」


現状に気が付いたのか魔術省の役人さんの慌てた声に返事を返すことができずにいると


「もう少し聞きたい事があるんだ。決して怒っているとかでは無いから答えたくないなら答えなくても大丈夫だから教えて欲しい」


申し訳なさそうに眉を下げた表情と少し低くなった声に小さく頷くと微笑み返され


「色の濃さや動きなどと言った特徴は魔力の多さを表していると思うのだけど、合っているかな?」


「わかりません」


首を振り返事を返すと、間を置かず質問が返ってくる。


「どうして分からないんだい?」


「私、誰かが魔法を使っている所を見た事が無いのです。ですので、色でその人の魔法を判断しています」


正直に答えれば、


「そうか。答えてくれてありがとう」


納得できたのか質問に区切りが付き安堵の息を落とすも


「君の発見にいつも驚かされているんだ。どんな時に思い付いて、どの魔法の組み合わせを思い付くのか聞いても良いかい?」


尋ねられた事に頷き、


「生活をしていて、合ったら便利だろうなと言う気持ちや下働きをしている皆が少しでも楽に仕事ができればいいなと思い道具を作ったり、魔法を組み合わせて試しています」


魔術省の役人さんも頷きながら話を聞いてくれ


「初めての生活魔法道具は水をお湯にする魔法石だったね」


今では生活に溶け込んだ生活魔法道具の話になり、嬉しくなり頷けば、


「魔法石にも驚いたが石に魔法を閉じ込めどんな時でも誰にでも使えると言うのは想像もできなかった事で驚いたのを今でも覚えているよ」


褒められている様な気分になり嬉しくなり、その後も繰り返される質問に答えを返して言った。


怖さで身を小さくし目尻に涙を溜めていた姿から、楽しそうに時折嬉しそうに笑顔で言葉を返す姿に見守っていた2人が心の中で安堵の息を吐き、強張らせてい体から力を抜き雰囲気が柔らかくなった事に気が付かなかない程、夢中で魔法の話に盛り上がり集中をしていた。


男性の声と少女の声が交互に聞こえ続ける中、到着を知らせるノック音に立っていた肉厚の男性が対応し扉を開けると見慣れた人物が入室し、


「お待たせし申し訳ありません」


詫びの言葉を告げるも


「いえ、こちらは楽しい時間を過ごさせて貰いました」


楽しそうに雰囲気から一変、貴族らしい微笑みと雰囲気に変わり返事を返すと


「詳しい報告は後程いたします」


どこか緊張して固い表情のお父様を見つめ目が合うと驚いた表情になるがすぐさま固い表情に戻るも


「もう夜も遅い失礼をしよう」


優しく微笑んでくれ手を差し伸べてくれ流ので、ソファーから立ち上がりお父様の元へ行けば、

お父様の礼と合わせ、スカートを摘み膝を折り礼をし差し出された手を取り退室をした。


第21話


ようやく明るい話に戻りつつあります。

早く明るい話が書きたいです。


空には鰯雲が広がっておりましたが秋の長雨予報が出ておりますね。

何も起こらない事を願っております。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

よろしけれお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/

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