姉、面倒臭いは近道だと知っている
23/01/28 誤字修正をおこないました。教えてくださった方、ありがとうございます。
朝の勉強を終え、自室に帰る為に廊下を歩いているとフッと空を見上げれば、どんよりとした空のは灰色の雲が広がり、
今にも雨が降り出しそう。
水分を沢山含んだ雲が空を覆い太陽すら隠した雲に口の中で感想を転がしながら自室に戻れば、テアさんに出迎えと挨拶を貰い、同じ様に返し、室内帽をとり仕事をする為に椅子に腰掛ければ、
工房別に分けられた書類が置かれており、
枚数が多いのは生活魔法道具の工房で少ないのは紙刺繍工房かぁ。
できれば紙刺繍工房の方から手をつけたいけれど、枚数と内容を考えると生活魔法工房の書類から終わらせた方が良いのは分かっている。
が、枚数も多ければ内容と数字が重く理解するのに時間がかかってしまう。
できれば後回しにしたい。
でも、後回しにすると倍以上の時間がかかってしまう。
そうなると必然的に最初に終わらせた方が良いわけで。
息を吸い込み、
工房の皆が頑張ってくれていくれている成果が数値として出ているのだもの、喜んでみるべきよね。
怯みそうになる心を奮い立たせ生活魔法道具工房の書類を手に取り目を通してゆく。
収穫祭前後は工房を休みにしていたので、出荷数と製作した数は少ない。
それでも、王都での売上数と金額などが書かれた書類に目を通し、前年度と半年と1ヶ月前売上の数字を見比べ手ゆく。
小さな波はあるものの、激変した様子はない。
ゆっくりと時間をかけ読み砕き理解をしてゆく。
なんとか理解ができたところで、次は紙刺繍工房の書類を見てゆくがこちらは販売を抑えている為にこれといった変化もなく、
あるとすれば従業員の変動と購入依頼の予約状況の把握。
予約は止まることなく届くので、購入者の手元に届くまで半年程待って貰っている状態だ。
もう少し繊細な刺繍ができる人が増えれば、届く期間は短くなるとお祖母様は話いているが、早々に人員が整うわけは無く、
3ヶ月に1度、技術試験を行いお祖母様の納得いく刺繍ができれば昇給と任される仕事が増やすとの案が上がり、その通達と申込人数の課題の刺繍の提出を段階の報告書もあった。
初めての技術試験という事でどちらも密に話し合いを行われているらしく、詳細が書かれており
そういえば、コナーさん申し込みをしたのかな?
工房に働いている友人を思い出すと、一気に違う話も釣られるように掘り起こされ、ティーフードと夕食の支払いについて意見を言い合ったことを思い出した。
アパートメントに引っ越し、ミランダもコナーさんも炊事洗濯などしたことが無いといので、できる自分がかって出た。
最初は良かったものの生活が安定してくると、見えなかった物や思いつかなかった事に気づき出した頃、
夕ご飯の材料費についてコナーさんが問いてきたのだ。
自分としてはできる人がやっているだけで深く考えていなかったが、
「それはいけません」
この一言に首を傾げつつ
「本来、自分の屋敷で行わなかればならない事をここでさせてもらっているのだから、場所提供代だと思い気にしないでください」
自分の考えを告げると、眉間に皺を寄せ
「ですが、私達がいただいていいることに代わりまありません」
ですので返金と支払いをしたいです。
返ってきた言葉に首を振り
「お金をいただける程、美味しいものが作れないわ」
自分の首を振り、拒否を表すもコナーさんも自分も1歩も引かない話し合いが続き、
「コナー。今はエスメさんのご厚意に甘えさせていただきましょう」
ミランダの一言にコナーさんが渋々頷き引いてくれたが、
「ですので、私達はできる限りエスメさんの手助けをすることで感謝を示していきますわ」
貴族の微笑みにも似た否定をさせないと迫力ある微笑みで告げられた言葉に、
「私の方が我儘を言って迷惑をかけているから、気にしなくてもいいのに」
小さく呟いた言葉は聞こえなかった振りをされ、消えていった。
思い出した事に小さく笑っていると、テアさんが不思議そうに見られている視線に気づき、慌て手元に書類に視線を落とした。
ミランダ達との夕食の購入代は自分の予算から出されている。
イルさんから何も言われなければ大丈夫だと判断している。
そういえば、以前ディランも言っていたけど私の年間予算はどれだけあるのかな?
聞いてみたい気もするが、聞かないほうがいいような気がしイルさんに尋ねた事はない。
そんなに無駄遣いはしてないと思うけど、1度聞いた方がいいかな?
ぼんやりと頭の片隅で考え、手元の書類を理解し終え休憩と考えたものの出かける時間が迫っており、紺色のワンピースから、生成色のワンピースに着替え手早く身なりを整え、
いつもの様に街へ行く事を告げ、屋敷を飛び出した。
今日は、昨日作ったスコーンをティーフードにして、夕食と翌日の朝食に食べるパンの仕込みをすることも予定に入れていたのを思い出しながら歩き
「ルイ!」
噴水の広場でいつものようにルイと待ち合わせをし、ミランダの待つアパートメントへ行けば
いつもの様に挨拶を交わし、ミランダに勉強を見てもらい、休憩に紅茶とスコーンを食べ今日は勉強の続きをしているとコナーさんが帰宅する。
慌て、夕食の準備を行い全員で食事をとる中
「技術試験を受ける手続きをしてきました」
雑談の1つとしてコナーさんから告げられた言葉に頷き返すと
「コナーならば大丈夫ね」
受かることを信じて疑わないミランダの言葉に2人の関係性が改めて理解でき、試験の話が話題の中心へと
変わっていくのを合図を打ちながら聞く事に専念をした。
今回の試験は初回ということもあり刺繍の技術のみだという。
のちに王都やギルトとのやり取りができる人物を育ててゆくのだと話すコナーさんに、
朝見た書類に書いてあった事を思い出した。
最有力候補がコナーさんだとも書かれてあり、街のご婦人達より良いのではと納得し了承の返事をしたのも今朝のことで覚えている。
お祖母様の事、候補者であってコナーさんから断りがあれば違う人物で話を進めるだろうと思いつつも
「コナーさん、頑張ってください」
できればコナーさんに職業婦人になってもらいたいなぁと期待を込めて応援の言葉を告げた。
第207話
空にひつじ雲を見ました。秋になりつつありますね。
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ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
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