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弟は悪戦苦闘し奮闘する


窓から見慣れた庭の木々が色つき始め、最初の1ヶ月は中々慣れず戸惑い親友の方々にもご迷惑をお掛けしたが、数ヶ月も過ごすば何となく雰囲気と人間関係も掴めだし


「おはようございます、ご気分はいかがですか?」


フレディの声に目を開け意識を覚醒させ、


「おはよう。大丈夫だよ」


問われた言葉に返事を返す。


朝の身支度をフレディの手で行われ、用意された朝食を食べ、制服に着替え、馬車に乗り込み学園へ行く。


繰り返される日々も、最初に比べれば幾分過ごしやすくあるものの、


「おはよう。ディラン」


学園に到着すれば、到着が同じだったのか宰相様の御子息であるルカ様からご挨拶をいただけ、


「おはようございます」


挨拶を返すと、凛とした雰囲気が少し和らぎ濃紺の髪が風に遊ばれさらりと揺れるも、半歩後ろにいたルカ様の従者が手早く直す姿を見ていると、


「よう、ディラン」


辺境伯の御子息であるザッカリー様から挨拶を貰い、


「おはようございます」


挨拶を返し、どこか眠たげな雰囲気を出すザッカリーとルカ様と話をしていると


馬車が到着し、魔法省の御子息レジー様と騎士団長の御子息アーロ様からもご挨拶をいただき、挨拶を返す。


毎日会い、会話を楽しんだり時に対応に困っている自分を助けてくれたりと大変お世話になっている。


今日もたわいの無い話に耳を傾けていると、2頭立て馬車が到着し御者が扉を開けると


「皆、おはよう」


気品を纏いながらそれでも柔和な雰囲気と微笑みと共に告げられた挨拶に


「おはようございます」


頭を下げると礼はしないものの上位を敬うことは当たり前のであり、たとえ


学園内は身分無く人おしく平等である。


と、ルールが有るとしても身に染みた上下関係はそう簡単に向ける事が無い。


本来なら、この中に自分は含まれないはずだった。


我が家は公爵の位をいただいているが、領地も王都より離れており政権に関与する立場でも無い。


むしろ、関わりを持ちたくなくて中立を代々貫いてきた。


それを崩したのは姉様の魔力の多さだ。


皆、自分が姉様を使い何かよからぬ事を企んでいないかと監視する意味も込め、ルーク殿下やルカ様の近くに身を置いていただいている。


ご本人達もそのような雰囲気を感じさせず、本当の友として接していただき


「ディラン。今日の武芸の授業一緒に組まないか?」


ザッカリー様からこの様にお誘いまでいただけ


「ありがとうございます。よろしくお願いいたします」


貴族の微笑み作り返事を返した。


毎日会えば、従者達も気心が知れるのかフレディも最初に緊張が無くなり普段と変わらない表情と雰囲気になり、時折従者同士で話している姿も見る。


穏やかな雰囲気の中、教室へ向かう道中はルーク殿下が同級生達に挨拶を交わすのを末端に着いて歩き、それぞれの教室へ向かい入ってゆく。


ルーク殿下やルカ様達とは教室が違い、同じクラスのザッカリーと教室へ入れば、


「ザッカリー様、ディラン様。おはようございます」


クラスメイトから挨拶を貰い、ザッカリー様の後に挨拶を返し机に着く。


このクラスの最高位は辺境伯を父に持つザッカリー様で次に自分そして侯爵へと続く。


初日にどんなクラス分けなんだと思ったが、領地が近い家が集まっている事に気付き、


まずは隣ご近所の領を収める子供達の親睦が目的だと分かり1人心の中で納得しザッカリー様共に毎日を過ごしている。


「ディラン様、今度我が家で会を開くのですがご参加いただけませんか?」


休憩時間や移動時間など同じクラスの紳士淑女からこのように声をかけて貰え、


「お誘いありがとうございます。よろしければ招待状をいただけると嬉しいです」


初日からこのようなお誘いをいただき、どう返事をすれば良いのかわからず戸惑っていれば、


「口頭じゃ言った言わないの問題になる。招待状を送れ」


ザッカリー様の一言でお誘いいただいた返事の固定ができ、何とか乗り切れている。


生活魔法道具を取り扱う我が家と繋ぎを取りたい。


仲を深めてこいと当主である父親に言われているのであろう。


初日から最高位のザッカリー様を差し置いてのお誘いの数に意味が解らず、困惑の色を隠す事ができずいた自分にルカ様が言葉の裏表を教えていただいた。


貴族社会では当たり前のことなのだと、レジー様とアーロ様に教えていただいたが、いまだに慣れず心の疲弊が蓄積されて行くが、


時折、ルーク様から労わる様にお言葉をいただけたり、ルカ様のさりげない対応やザッカリー様の一緒に居られる事、また皆様とのお茶会で姉様の話をする事で何とかこなせている。


授業は習った事を教えられるので復習にもなるし、覚え直しの良い時間でもあり、


今日の様に体術もあるので、もやもやした言い表せない気持ちを消し去るには有難い時間でもある。


こんな事で姉様を守れるのだろうか。


学園で過ごす中、自分が独りよがりだった事にも気が付き、恥ずかしくもなる。


それでも、こなさなければ姉様を守れないのだと心を奮い立たせる。


有難いことに独りでは無い事がとても心強かった。


帰ったら姉様からの手紙が届いているのだろう。


領もそろそろ収穫祭だとお父様が仰っていたから、また数十枚に及ぶ手紙が届くはず。


忙しい日々を過ごす中に姉様は一体いつ手紙を書く時間を作れているのか。


朝の仕事前に書いているのか、それとも睡眠時間を削っているのか。


一度問いただしをしないと。


頭の片隅で姉様のことを考えながら今日も学園で過ごす1日が始まる。



第204話


台風の動向が気になりますね。何事も無く通り過ぎていただきたいものです。


ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。

誤字脱字を教えていただきありがとうござます。皆様の優しさに感謝しております。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

お時間ありましたらお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/

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