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姉、屋台を攻め出す


人の波を上手に避けながら目的の出店まで辿り着き、手早く注文を終え邪魔にならない様に店横で待つと、


「こんなに沢山の人が参加されるとは思いませんでしたわ」


ミランダの驚きとどこか戸惑った音を乗せた言葉に、


「本当に。私も驚いてるわ」


同じ思いだと頷き返事を返すと、


「ここ数年で一気に参加者が増えたって父さんが言ってたぞ」


ルイの言葉に首を傾げれば、


「魔法道具の工房ができたからではないですか?」


コナーさんの問いかけに、


「その頃かな?それまでは領民以外は居なかったって母さんが言ってたな」


ルイが返事を返すと、コナーさんは小さく頷き


「もしかしたら祭りで魔法道具が低価格で買えるのではないか、もしくは新商品の情報があるのではないかと当たりをつけて来ている人が増えた」


自分達以外に聞こえないのではないかと思える程、小さな声で告げられた言葉に集中して聞いていると、


「人が集まれば売買の流通が生まれます。商人達は売れる日と場所として集まれば、それを買いに来る落ち客もくる。その流れで年々話が広まり人が増えていると思います」


なんだか授業を受けているような気分になるものの、人々購入品を持ち、見える範囲の屋台では交渉をしている人がいる。


成る程。


言葉と体験が両方できると納得しやすいわね。


自分同様にルイもミラもコナーさんの告げた意味を理解し、納得をしていると店主さんの大きな声で呼ばれ、

串に刺さった肉を手渡された。


「ありがとうございます」


全員でお礼を告げ、焼きたての肉串を熱さに気を付け食べると、お肉に塗られたタレの甘辛らとお肉の濃い味が合い


「美味しいわね」


思わず笑顔で告げると


「食べ難いのを除けばね」


ミラの言葉に視線を向ければ、小さな手で肉串を落とさない様に持ち、大きな口を開けないように気をつけながら美味しそうに食べる姿に膝を折り


「落とさないようにゆっくり食べようね」


ミラと視線を合わせ微笑みながら告げると、頷き返された。


熱いお肉を食べ黙々と食べていると、


「ミランダもう食べないのか?」


聞こえてきたルイの言葉に顔を上げると、いつの間にか食べ終えたルイとどこか困った表情をしているミランダの表情が目に入り、見ていると


「ええ。お腹がいっぱいで入りそうにないわ」


困った様に微笑み返事を返したミランダに


「なら、俺が食べてやるよ」


ルイの目より高い場所にあるミランダの手を握ったと思えば、自分の口元まで引き寄せミランダの持つ肉串に口をつけ食べてゆく。


耳まで赤くするミランダと平然とお肉を食べているルイの姿を眺め


さすがルイだわ。


1人心の中で拍手をしていると、


「ルイ、いけません」


いつもより細く震えた声のミランダに、ルイが不思議そうな表情をしながらお肉を食べている姿を微笑ましく見ていると、


「人が口を付けた物を食べると言う事は深い仲の関係、もしくは婚儀をした程近しい関係者がする事です」


か細く震える声で告げるミランダの言葉に


「俺と結婚するんだし、問題無いだろ」


さらりと告げたルイに、


さすがルイだと。


何度目かの拍手を送れば、ミランダはさらに顔を赤くし下を向くも、ミランダより身長の低いルイには隠せず、


「そんなに恥ずかしがることか?」


不思議そうに首を傾げながら真っ赤になっているミランダを眺めている姿を心を騒がしくしながら見守っていると、


「ルイって本当にデリカシーが無いわよね」


呆れたと言わんばかりのミラの言葉に、


「ミラ。もし、フレディがミランダと同じ言葉を言ったらどうする?」


声を顰め問い掛ければ、想像をしたのか少し間が開いたものの


「フレディと結婚するから気にしないと言うわね」


ルイと同じ行動と言葉を告げると言葉にすると、


「成る程ね。ルイの気持ちも分かるわ」


言い終わったミラは先程まで呆れ見ていた表情を変え、見守る体制に入ったのを


さすがミラだわ。


何度も深く頷き、やってくる4人の未来を想像していると、コナーさんのワザとらしい咳払いが聞こえ、

慌て残っていたお肉を食べ終え、串をゴミ箱へ捨て、手を拭いた所で


「さて、次はどこの屋台に行こうか」


雰囲気を切り替えるために笑顔で告げれば、


「喉が渇きましたので、何か飲み物をいただきたいですね」


コナーさんの言葉に、全員が頷き


「歩きながら探しましょう」


自分の言葉でルイはミランダの手を取り先に歩き出したので、ミラと手を繋ぎルイとミランダの背中を見つめ後を追う様に歩き出す。


ルイの頭ひとつ以上身長が高いミランダがルイと視線を合わせる為に下を向き、ルイがミランダを見るために顔を上げながら話をする姿に微笑ましく思いながら、


ミラにもフレディと一緒に祭りを回らせてあげたいな。


ディランも連れて来てあげたら喜ぶだろうなぁ


自分の手を握る小さな手をしっかり握りながら王都にいるディランとフレディを思い出し小さく笑った。





第199話


熱い日が続きますね。水分塩分補給をしっかり摂ってご自愛くださいませ。


ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。

また、誤字報告いただきありがとうございます。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤のディランの心境と日々を書いております。

お時間ありましたらお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/

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