姉、貴族令嬢をする
イルさんのエスコートを受け玄関ホールへ歩いて行くと、
「おお、来たか」
お祖父様とお祖母様がおり、
「お待たせし申し訳ございません」
2人の近くまで行き、最後に到着した事へのお詫びを言葉にすると、
「いいのよ。私達も今来たところだもの」
お祖母様が微笑みながらの言葉に、微笑で返すと全員で歩き出しイルさんの手を借り馬車へと乗り込んだ。
春のお祭り以来のドレスに、緊張し、チュールに折り目を着けない様に気をつけながら腰を下ろすと、
お祖父様のエスコートを受けたお祖母様が乗り込み、最後にお祖父様が乗れば、
「行ってらっしゃいませ」
ルイさんが綺麗に礼をし見送りをしてくれるのを視界に入れると馬車はゆっくりと動き出した。
流れる風景を横目に入れながら、
「エスメ、今日の神殿での動きは把握しているかしら?」
向かいに座るお祖母様の問い掛けに、
「はい。神殿に到着後すぐに感謝の祈りを捧げると聞いております」
春とは違い、労働者への感謝意味が強いこの祭りは祈りの後に街へ繰り出しの目や騒げやの大変賑やかな祭りになるとルイからも聞いており、皆が早々に神殿で神様への感謝を捧げたい意図を汲み取り、
1番最初に祈る領主は神官長からの挨拶など後回しにして、祈りを捧げる。
その後、街の人たちが祈りを捧げる、街へ繰り出して行く。
楽しそうに話すルイとミラの表情と言葉を思い出し、この後の事に気持ちを馳せるが
「祈りを捧げた後に、神官長に挨拶を済ませる少し話をするが手短に終わらせるからな」
お祖父様の言葉に意識を戻し頷き返せば、
「初めての収穫祭だもの。今日は私達の後ろに着いて流れを把握して頂戴」
お祖母様の言葉に頷き、ディランが王都へ滞在している期間に何かあれば名代として代わりに行わなければならない。
お祖母様の言葉の意味に短い返事で返すと
「春を祝う祭りのように作法があるわけではないわ。そう緊張しなくても大丈夫よ」
微笑むお祖母様に無意識に入れていた力を息を吐くの同時に抜き、ふっとお祖母様の首元に視線を向けると、どこかで見たネックレスが着いており、
「そうよ。貴方とお揃いのデザインと宝石でできているわ」
扇を広げ、口元を隠しながら微笑みどこか嬉しそうに告げられた言葉に、
「お揃いなのですね」
嬉しくなり、手袋をした手でネックレスに触れると
「私だけでは無いわ。旦那様のカフス一緒の宝石を宝石を使っているのよ」
お祖母様の言葉に思わずお祖父様を見れば、
「俺だけじゃないぞ。同じ石を砕いて作ったからな。息子夫婦もディランも同じ形で持っている」
1つの宝石を人数分に砕き、皆が同じ形で持っているとの言葉に落としたらと恐る恐るつけていたネックレスが急に嬉しい物へと変わり、
ディランが持っていると言うお祖父様のカフスを見つめていると、
「この石達は、貴方が生まれた日に取れてた石を集めて作ったのよ」
懐かしそうに目を細め笑うお祖母様の言葉にお祖父様が頷き、
「大きな石だったからな。皆でも分けて持とうと加工している時にディランを孕ったと聞き、慌て職人に連絡をとったもの懐かしいもんだな」
当時を思い出しているお祖父様とお祖母様を眺め、指先に触れている宝石が愛おしく思え、当時の話を聞きたくなり、話を振ると、お祖父様もお祖母様も懐かしそうに話をしてくれたが、
ゆっくりと馬車の動くか遅くなるのが解り、首を傾げると
「収穫祭だけは普段より、少し早く走ってもらうのよ」
お祖母様の言葉に、皆への気遣いなのだと解り頷き返すと、御者が到着を知らと馬車の扉を上げてくれるとお祖父様が最初に降り、お祖父様の手を借りお祖母様が降り、最後にお祖父様の手を借り馬車から降りると春の祭り同様に左右に街の人達がおり、
馬車から神殿の入り口まで開けられた道をお祖父様とお祖母様の後ろを着いて歩く。
ディランとフレディが居ないのでエスコートをしてくれる人はおらず、1人で歩き、数段をる階段を登り
お祖母様の隣に立ち、ゆっくりと品良く振り向けば、
あ、ルイのご家族とミランダとコナーさんが一緒に居るわ。
誘い合ってきたのかな?
心の中で微笑ましく思い視線を動かすと、嬉しそうな雰囲気のミラを見つけ、思わず表情に出そうになり顔に力を入れ誤魔化すように視線をゆっくりと左右に動かせば
皆、楽しみにしていると言う表情と今か今かと待ちきれない雰囲気にがあり、それほど待ち望んだ祭りなのだと改めて理解していると
「皆、遅くなった。もう少しだけ待ってくれ」
お祖父様の言葉に町の人達が一斉に頷く姿に、感心しながらも微笑ましくも思いながら動き出しお祖父様とお祖母様の後に着いて神殿の中に入り、
両脇に控えてくれている神官さんを視界に入れつつ、真っ直ぐ歩き祭壇前で止まり両手を胸の前で組み
瞼を閉じ祈りを捧げる。
無事、実り収穫できる感謝を
皆が毎日健康で過ごせることへの感謝。
家族がいつまでも元気で過ごせるように願い
ディランが良い学園生活を送れるように願い
心の底から祈りを終わらせ目を開ければ自分が最後だったようで、全員の視線を一身に受けてしまい居心地悪く半歩お祖父様の近くに移動すると、
「感謝を捧げていただきありがとうございます」
神官長からの言葉に微笑み返すと、促されるように移動すると背後から大勢の人の足音が聞こえた。
街の皆にも申し訳ない気持ちになりつつ、促される様に用意された部屋へ入り、進められるままソファに座り紅茶をいただく。
神官長の話を聞きながらも、街の人達が少なくなった頃を見計らい再び馬車へと乗り屋敷へと帰る。
道中、窓の外に視線を向ければ神殿に行く人と街へ帰る人とすれ違う風景を見ていると
「エスメはこの後は街へ行くのかしら?」
お祖母様の言葉に視線を戻し、
「はい。ルイ達と祭りに行こうと約束しております」
頷きながら答えると、
「そう。できれば早めに帰ってきなさい」
微笑みを消し、告げられた言葉に返事を返せないでいると
「収穫祭は飲めや歌えと賑やかな祭りではあるけれど、同時に身の危険も大きくなる祭りでもあるの」
普段より低く硬い声で言われた言葉に、頷くと
「勿論、警備も強化しているわ。でも、毎年大小の揉め事はあるもの。大丈夫と思わず夕方には帰ってきなさい」
お祖母様の注意に力強く頷き、
「解りました。ルイ達にも話、普段より早めに帰るように伝えます」
目を見て返事を返せば、満足そうに頷いてくれ
「始まったばかりなら大丈夫でしょうけれど、何かあれば警備の者に言いなさい。決して自分達で解決しないように」
通過された注意にも頷き返せば、
「まぁ、注意も必要だが存分に楽しんでくるといい」
お祖父様の言葉と同時にさらりと頭を撫ぜてくれ、嬉しくて微笑んでいれば行きよりも早く屋敷に到着し、出迎えてくれたイルさんに挨拶をし、お祖父様とお祖母様とは玄関ホールで別れ自室へ戻ると、
「お帰りなさいませ」
朝、準備手伝ってくれたメイドさんとボニーさんテアさんハンナさんも出迎えてくれ、
「ただいま帰りました」
ホッと息を吐きながら挨拶を返すと、
「お疲れでしょうが、お着替えの準備を」
ハンナさんに促され、部屋の真ん中に引かれた布の上に立てば、ネックレスが外され、ドレスが脱がされ、
コルセットも外されると、体を縛るものが無くなり息を大きく吸うと、
「エスメ様、こちらへ」
ドレッサーに移動を促され、結っていた髪が解かれ化粧を落として貰い、
「ご移動を」
入浴の為に移動し、髪を何度か洗って貰い体が温まった頃に、湯船を出て体を拭くと再び移動を促され、
ソファに腰掛けると、朝のに飲んだハーブティが差し出された。
ゆっくりと飲むと、身体中に水分が行き渡る気配がしホッと息を出し、全部飲み干すせば、いつの間にかボニーさんテアさんハンナさんの3人だけになっており、
「お礼を言い忘れてしまいました」
髪を梳いてくれてるボニーさんに告げれば、
「お伝えしておきますね」
微笑みと共に告げてくれた言葉に頷き返しながらも
会えた時に改めてお礼を言おう。
心に刻み、街用のワンピースに着替え時間まで自室でディラン達への手紙を書いていると、ノックの音が聞こえ、テアさんが対応に出てくれると、言付けだったのか部屋に入る事は無く対応を終えたテアさんが手に何かを持って戻ってくると
「奥様から、今日明日の移動は必ず馬車を使うようにとの事でした」
馬車の中で受けた注意を思い出し了解の意味を込め頷くと、
「旦那様から小遣いだと受け取りました」
持っていた袋を差し出しながらの言葉に、苦笑しながら
「お祖母様に、馬車のお気遣いいただきありがとうございます。お祖父様にはお心使いありがとうございます。とお伝えください」
テアさんにお願いを伝えると、了解を意味をする頷きの後に自室から出てゆく姿を見送り、手紙の続きを書き続けた。
第197話
空にいわし雲を見ました。秋になりつつある様で楽しみにしております。
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ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
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