姉、秋祭りの話を聞く
いつもの様にルイと噴水で待ち合わせをしミランダのアパートメントでお茶を飲みつつミランダに教えを乞いながら勉強をしていると、
「そういえば、そろそろ収穫祭ね」
ミラの言葉にミランダと共に首を傾げると、
「ああ。そうだな。そろそろ準備期間だな」
ルイが思い出したように深く頷きミラの言葉に返事を返しのを見て、
「ミラ、ルイ。その収穫祭というのは春を祝うお祭りと一緒なの?」
思わず問い掛ければ、ミラもルイも驚きの表情をし
「領主様から何も聞いていないのか?」
ルイの言葉に首を振り
「お祖父様もお祖母様も、お忙しい様で最近はお顔を拝見もできていないわ」
返事を返すと、ルイもミラも更に驚いた表情をするので
「お祖父様もお祖母様もそれぞれのお仕事をお持ちだもの。食事など1人で行うのが私達の中では当たり前の事よ」
補足として伝えると、意外だったようで目も口も大きく開き驚くので
「ミランダの食事はどうだった?」
多分、同じだろうと思い正面に座るミランダに話を振ると
「ええ。私もエスメさんと同じですわ」
頷きと共に告げられた言葉に頷き返すも
「こちらに来てからは皆で食事をする楽しさを知り、とても好きな時間になりました」
頬を染めはにかむ様に笑ったミランダが可愛くて思わず笑っていると
「そういってもらえて私もうれしいわ」
ミラの言葉が聞こえ、慌て横に座っているミラを見ると、ミランダと同様に頬を染め嬉しそうに目を細め笑っている姿に、
「私もみんなでご飯を食べれて嬉しいわ」
ミランダから提示された予算と合わせながら材料を買いをし食事を作る日々は嫌では無い。
皆、美味しそうに食べてくれるし、時折、ルイがお代わりをしてくれる時もあり美味しいの言葉はないものの態度で示してくれているので満足していたが、
言葉に出して伝えてくれると一段と嬉しく、
「今日は、お肉は無いけれど、野菜のスープとパンとチーズよ」
意気揚々と晩御飯のメニューを伝えると
「まぁ、いつもありがとうございます。楽しみにしております」
ミランダの嬉しそうな声と
「今日は肉が無いのか」
ルイの期待はずれだと言う言葉に、
「昨日、鶏肉の料理食べたじゃないの」
ミラの呆れの色を濃く出した言葉と表情に、
「毎日でも肉が食べたいんだよ」
そっぽ剥きながらの言葉に
「明日、市場でいい物があったら見繕ってくるわね」
微笑ましく思い、明日のメニューの提案をすると嬉しそうに笑ってくれたので、頭の片隅にメモをしつつ
「お祭りということは、屋台がいっぱい並ぶのかしら?」
初めて体験した祭りを思い出しながら問うと、
「春の祭りは神事だけど、秋の祭りは収穫を祝う祭りだから春よりも賑やかで楽しいぞ」
ルイの返事に頷き、
「ミランダ。祭りの当日は皆で遊びに行きましょう」
初めて同士であろうミランダにお誘いの声をかけると、
「はい。初めてなのでご迷惑をおかけするかも知れませんがよろしくお願いします」
その日の会話の中心は秋のお祭りの話となり、ルイとミラが中心に去年までの祭りで楽しかった出来事を話してくれ、ミランダと共に聞き手に回り楽しい時間を過ごした。
皆で夕食を終え、屋敷に戻り、勉強の休憩時間
「秋祭りが近じか開催されると聞きました」
教師役を買ってくれたハンナさんに今日の出来事の1つとして話題を話すと、頷きと共に
「はい、後1ヶ月ほどで開催されます」
返ってきた言葉に、
「ルイからは春の祭り程、準備は必要が無いと聞いてはいますがどれほどの祭りなのですか?」
質問をすると
「麦の収穫が無事できた事を祝う祭りですので、神殿へ感謝の祈りを捧げた後には飲めや騒げやといった祭です」
さらりと返ってきた言葉に、ふっと前の人生の祭を思い出し、屋台に夢中だった自分に心の中で苦笑しつつ
「何か準備が必要なものはございますか?」
神殿に祈りを捧げにゆくのであれば服を作らねばならないし、それに合わせたリボンなども注文しなければならない。
春のお祭りを思い出し、ハンナさんへ尋ねれば
「洋服の依頼等は奥様を通して終えておりますので後は出来上がりを待つばかりです」
春の時は全てディランとフレディに任せており、何を準備すれば良いのか解らず、後手になりながらも尋ね続ける中、
「2つの工房を祭り期間とその前後はお休みにしたいと考えております」
女性が主に働く紙刺繍工房はご結婚されてお子さんのいるからも多いが未婚の若い女性も居る。
祭りと言うなら各家庭それぞれに準備が必要だと判断しての提案に
「よろしいかと思います」
微笑みと共に頷いてくれたハンナさんの姿に安堵の息を出し
「良かった。7日程あればと考えていたのです。後はルイさんに助言をいただき決定後にギルトと工房の皆に報告ですね」
聴かれるであろう金銭面は働きはしないものの長期で無給金となると生活に支障が出てしまうかもしれないので、前払いで7日分を支払い祭りの準備や当日に使って貰える様に渡す事も頭の片隅に入れ、
休憩後の数学勉強を進め
「本日はここまでに致しましょう」
予定分進め終えればハンナさんの言葉に頷き、就寝の準備のとりかかり、
あっという間に
「おやすみなさいませ」
「今日はありがとうございます。おやすみなさい」
互いに夜の挨拶を交わし、目を閉じると夢の中へと入って行った。
第193話
何気なく夜空を見上げたらとても綺麗な月が見えました。暦の中でも秋となるこの時期暑さもわ柔いでくれると良いのですが。
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ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
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