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姉、弟の手紙の内容が物足りない


拝啓  親愛なる姉様へ



自領ではいかがお過ごしでしょうか?


姉様のから届く手紙で毎日忙しく、また楽しく過ごされている雰囲気が伝わり僕も楽しく拝読しております。


紙工房や生活魔法道具工房の運営の勉強に更にルイとミラと勉強を行っていると2人からの手紙で知り驚いております。


何より、2人の手紙で姉様の料理が大変美味しいと書かれており、驚きと共に、会いできた際には姉様の手料理をいただけるのをお父様もお母様は勿論、フレディやマルチダと共に楽しみにしております。


私事ですが、学園が始まり数週間経ちようやく学園とクラスの雰囲気に慣れ、親友に囲まれ切磋琢磨して過ごしております。


姉様とフレディから離れれば、自分は何も出来ない小さな人間だと知れたことは大変大きく、

まだまだ至らぬ所が多いと自覚しておりましたが、自分が理解している以上に視野が狭い事も知り、


親友の方々にご迷惑をお掛けし助けていただきながら過ごしております。


僭越ながら、少しでも姉様に喜んでいただければと思い、親友の方々が教えていただいた焼き菓子をお送りいたします。


以前、姉様のお手紙で書かれていたミランダ嬢とコナー嬢にもお世話になっている時き、皆で食べれるようにと多めにお送りしました。


休憩時に食べていただけると幸いです。


また、ミランダ嬢とコナー嬢には領に帰りましたらご挨拶のお伺いできればと思っております。


それまではよくよく姉様からお礼をお伝えください。


貴女の弟のディランより



数日ごとに届くディランの手紙を読み、


「もう少し、詳しく書いてくれたらいいのに」


いつも単的で要件のみの手紙に唇を尖らせ感想を漏らせば、イルさんボアさんの小さく笑う空気に


「分かっています。ディランも良く、姉様。手紙は単的に結論のみ書くものです。そう言ってるのも覚えています」


でも、


「1番知りたい、学園生活の事をこんな短文で終わらせるなんて酷いと思いませんか?」


つい愚痴の様に言葉をこぼせば、


「まだ学園も始まったばかりで手探り状態でございましょう。先んじてエスメ様がお聞き意になりたい事を手紙にてお尋ねになればディラン様もお答えしやすいかも知れませんね」


ルイさんの言葉と共に用意された便箋を眺め


「そうですね。質問形式に聞けば答えやすいですね」


頷きながら、筆ペンにインクを浸し書いてゆく。


学園生活はどんな勉強をしているのか?


お友達とはどんな会話をしているのか?


聞きたい事を頭の中に浮かべ、手紙に書いてゆく。


素敵な出会いはあったのか?


女性には丁寧に接することはできているのか。


同年代の男女が集まり学のだから、アレコレあるはず。


ディランの心を捉える人が居るはず。


遠回しに尋ね書いてゆくと数枚に渡り質問ごとを書き、最後に答えられる質問に答えてくれれば良い旨を書きルイさんに封蝋をお願いし


「では、街へ行ってきます」


ディランから届いたお菓子と本を持ち、いつもの様に街へと出掛けてゆく。


毎日同じ様に過ごしていても、今日みたいに手紙が届く事もあるし、本を読みたくて店主さんに会いに行くも外出しているようで店が閉まっている時もある。


ディランの学生生活も始まり、数年後にはルイはこの領を出て王都の学園へ向かう。


卒業すればディランは成人を迎え、ルイも結婚ができる歳となる。


その後、入れ替わるようにミラが王都の学園に入学する予定で、


「あっという間にディランとルイ、ミラも大人になるのね」


3人の大人の姿は想像が付かないが、素敵な大人になるのだろうと思うと楽しみで無意識に頬を緩めてしまう。


「1年、あっと言う間に過ぎちゃうんだろうなぁ」


時おり挨拶をくれる人達に挨拶を返しながら歩き噴水周りにある露店を眺めてゆく。


今日の晩御飯は何を作ろう。


麦の価格や野菜やチーズの価格を見ながら献立を考え歩いていると、


「隣国、第一王子と男爵令嬢、身分を乗り越え結婚!」


大きな文字の見出しが視界の端に入り、心の中でため息を落とす。


ミランダの心の傷は如何程なのか。


コナーさんの心情はどうだろうか。


隣国とはいえ他国のこと。


情報は遅いが情報は正確だ。


今日はミランダが気に入ってくれている夫人のスープにコナーさんが好きな鳥の香草焼きにして、食後の紅茶は少し良いものを準備しよう。


並んでいる露店で鶏肉に野菜、カフェにより茶葉を購入してゆく。


落ち込んでいるかもしれないミランダと怒っているであろうコナーさんを少しでも心が晴れる様に自分のできる事を精一杯やろうと心に決め、


「ルイ、がんばろうね!」


迎えにきてくれたルイに声をかければ、不思議そうな表情をしたが手を繋ぎ無理矢理引っ張りミランダとミラの待つアパートメントへ向かった。


扉を開け、挨拶より先に


「ミラ、ミランダ。ディランが王都のお菓子を送ってくれたの。一緒に食べましょう」


手に持っていたお菓子を差し出しながら告げれば、少し驚いた表情の後に微笑み


「それは楽しみですわ。ディラン様にお礼をお伝えくださいね」


差し出したお菓子を受け取ってくれ、キッチンへと歩いてミランダの雰囲気は変わらないように見えたが


淑女教育の基本中の基本は感情を悟らせない事だもの、判断はまだ早いわ。


マルチダとお祖母様の教えを思い出し、いつものように椅子に座りそれぞれが課題に取り組み、過ごすとコナーさんが紙工房から帰宅し、


夕食の準備を手早く済ませ、食後のお茶の準備をしているとミランダが手伝いを申し出てくれたので紅茶を淹れてもらう。


火魔法を発動させお湯を沸くのを待っていると、名前を呼ばれたので顔をミランダに向けると


「お気遣いありがとうございます」


柔らかな微笑みと共に告げられた言葉に返事を返さすにいると、


「皆と過ごす中で心の整理ができましたの」


もう、大丈夫。


そう告げるミランダに言葉には出さず頷きで返事を返し、ミランダと共に何事もなかった様に紅茶とディランからのお菓子を机に届け、


今日届いたディランからの手紙の内容と感想をルイとミラ、ミランダとコナーさんに聞いて貰った。



第192話


明日からお盆休みのですね。スケジュールはお決まりですか?暑い日々の様ですので水分補給をお忘れなくお願いします。


ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

お時間ありましたらお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/

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