表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

191/751

姉、自分の事の様に喜ぶ


「店主さんはビクトリアススポンジケーキという食べ物をご存知ですか?」


毎日、お邪魔している本屋の店主さんに尋ねると、


「国外の高位貴族がティーフードとして嗜むお菓子ですね」


打てば響くように帰ってきた言葉に、頷きと共に


「味や作り方などは分かりますか?」


さらに質問をすると、店主さんは立ち上がり所狭しと並べられた本の中から1冊を取り出し、


「この本にはその国の食や歴史に文化が書いてあるからお嬢様の探しているものが書いてあると思うよ」


言葉と共に差し出された本を受け取り


「ありがとうございます」


お礼と共に受け取り、適当な場所を開け文字を読んでゆく。


聞いたことのある名前はその国を収める王族の名前と高位貴族の名前も書かれており、人物像の特徴や性格なども事細かく書かれており、興味深く読んでゆくと、


白銀の髪をもつ一族は建国の際に王族が降家した家で代々由緒ある一族であり、王族の跡を継ぐ者が居なくなった際に王をして立てる血筋である。


書かれていた一文に驚き、慌て本を閉じ


「店主さん。この本を購入したいです」


狭い店内全て響き渡るほどの大きな声で告げると、


「ありがとう。屋敷に届けておくよ」


驚くこともなくゆったりとした返事で返してくれ、渡す様にと手を伸ばしてくれたのを理解し読んでいた本を渡しながら、


「店主さんは、この書かれている国に行った事はありますか?」


恐る恐る尋ねてみると、


「あるよ。聞くかい?」


頷きと共に返ってきた問いかけに首を振り、


「まずは本を読んでみます」


曖昧に笑いながらゆっくり首を振り、返事を返す。


ミランダの家の事かも知れないし、髪の色が一緒なだけかも知れない。


大きく脈打つ心臓を小さく呼吸を繰り返すことで落ち着かせ、


「私、そろそろ行きます。今日もありがとうございます」


そろそろ時間だと判断し、店主さんにお礼を告げ店を後にし噴水でルイに会いミランダの居るアパートメントへと向かう。


本人を目の前にしてしまうと、どうしても、もしかしたらやかもなど想像でしかない曖昧な考えが思い浮かび、


「エスメさん。何かございましたか?」


本人に心配され、


「言いたい事があるならハッキリ言えよ」


ルイにも心配をかけ、


「エスメ。べんきょうの邪魔よ」


ミラに怒られてしまい、何か言わなければと必死に考え


「ミランダは教えるのが上手だな。と、思って」


考えていた言葉と違う言葉にを告げると、


「ありがとうございます」


嬉しそうに微笑んでくれ告げられたお礼に少し罪悪感を感じるも、


「私達だけ教えて貰っているのは勿体無い気もするわね」


話を繋げる為に言葉を続ければ、


「確かになぁ」


ルイの同意も得られ、


「みんながべんきょうできればいいね」


ミラの一言に、同意し頭の中で構成を練り、ミランダのアパートメントから帰ったその夜、お祖父様とお祖母様に考えを伝えると、


「素晴らしい考えであり、良い提案だともう。が」


お祖父様からの賛同の意見に、叶うのではと思うも


「知識が増えることは大変良い事であり、それが領民へと広がるのはとても良いことだと私も思うわ。でもね、教える人物が問題かしら」


お祖母様の言葉を考え、


「ミランダは違う国から来たからですか?」


自分なりの出した答えを告げると、お祖父様もお祖母様も小さく頷いてくれ、


「知識が増えることは良い事よ。できればこの国に生まれ育った人物が好ましいかしら」


お祖母様の言葉に納得が出来ず眉間に皺を寄せると、


「攻められ際に矢面に立たされるのはその令嬢だ。他国の人間だからと言われもない言葉を投げられ傷つけてしまう恐れがある」


お祖父様の言葉に、嫉妬、やっかみなどの言葉が浮かび、納得でき頷くと


「そうね。現状だと、エスメ、ルイ、ミラが候補者になるかしら?」


お祖母様の提案に自分の名前が挙げられた事に驚けば、


「エスメは今の生活では難しいが、ルイやミラならば長い目で見れば可能だろう」


お祖父様の言葉に、頷くしかなく残念な気持ちになるもお祖父様もお祖母様も自分の考えに反対をしていない事と長期計画で考えてくれている事に嬉しくなり


「明日、ルイとミラに話をしてみます」


早速、自分の考えた計画を2人に話す事に思いを馳せると


「となると、ルイを王都の学園に入学させた方が良いな」


「ええ。話を聞く限りでは平民クラスの入学試験に合格できそうですもの」


「ルイの父親に話をしてみるか」


お祖父様とお祖母様の間でも話が進んでおり


「王都の学園ということはディランと同じ学園ですか?」


思わず聞こえた言葉に尋ねると、


「ええ。優秀な平民を集めて育て王宮の各部署での就職や領での役職候補として育てるのよ」


お祖母様の言葉に手を叩き、


「すごい!ルイに明日、話してみます」


声を弾ませ告げ明日の予定の1つに組み込んだ。



第191話


天候が不安定な日々ですね。暑さも続く様です。水分塩分補給を注意しお過ごしてください。


ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

お時間ありましたらお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ