弟は姉と女性の違いに悩む
着々と学園の準備と同じ年代同士の交流目的のお茶会への参加が増え、
「本日の交流会は、いかがでしたか?」
お母様の元に招待状が届き、朝からの準備を整え、交流を持ち、帰ってきた所へのフレディの声に
「沢山お声がけをいただけたよ」
男女問わず声を掛けてもらえ、会話も弾んだので成功と判断し頷きながら返事を返すと、
「それはようございました」
どこか嬉しそうに微笑んだのを横目にソファに腰掛ければ
「こちら、本日届きました手紙でございます」
銀トレーの上に置かれ再出された手紙を手に取り封蝋と差出人を見れば思わず頬が緩み、先程まで張り詰めていた神経が緩んだのが分かった。
何度注意しても治らない枚数の手紙を封筒から取り出し目を通してゆけば、
季節の挨拶から始まり、毎日どのように過ごしているかが事細かく描かれており、
ルイが助けた女性と友達になり毎日会いに行っている事。
ルイが助けた女性の事を気にかけている事。
最近ではミラも加わり一段と賑やかで楽しん毎日を過ごしている事
ぬくもり亭の女将さんのプリンがとても美味くできれば毎日食べいたい事。
勿論、紙刺繍工房と生活魔法道具工房の帳簿確認と作業報告書は毎日、目を通している事も書かれており
変わらぬ毎日を過ごしている様で嬉しくもあり恋しくも思いながらも安堵の息を落とすと、
「そのご様子ならエスメ様は毎日お元気で過ごされている様で、安心いたしました」
読み終わる時を待って用意した紅茶さテーブルの置きながらの言葉に
「フレディにも姉様からの手紙が届いているだろう?」
不思議に思い尋ねれば、
「はい。ディラン様宛の手紙と共にいただきましたが、まだ読んでおりませんので」
帰ってきた言葉に、納得し
「内容を擦り合わせたい。持っている様ならば今ここで読んでくれないか?」
自分とフレディとで書かれている内容の確認を申し出れば、
「畏まりました」
小さく頷くとジャケットの内側にある胸ポケットから手紙を取り出し素早く目を通し、
「ルイとミランダ嬢のお話を中心に、最近はミラも加わり楽しく過ごしているとの事」
書かれている内容をフレディが言葉にしてくれるのを聞き自分に届けられた手紙の内容と照らし合わせてゆく。
「ミラがミランダ嬢に憧れマナーの勉強をし始めたらしく、微笑ましく見ているそうですよ」
フレディから告げられた言葉に、自分の手紙にはルイの事を中心に書かれていたが違いを見つけ、頷くと
「ミラに姉として認識してもらえていない事が少し寂しいが、友達として思ってくれる事が嬉しいとの事です」
フレディの言葉に少し拗ねながらも嬉しそうに笑う姉様の顔が想像でき、姉様らしく思い懐かしい気持ちになっていると、
「ディラン様の事を沢山知りたいから、沢山書いて送って欲しい。と、最後に書かれております」
聞こえたフレディの言葉にため息を落とす。
招待されお茶会に参加をして分かったのだか、王都に住む女性と姉様と行動も考え方もかなり違いどうのように接したら良いのかが分からず、1人1人丁寧に接するように心がけ話を聞いている。
殿下や側近の方々にそれとなく相談するも
「ディランはそのままで大丈夫だよ」
「大丈夫。何も間違ってはいない」
「気にしなくても良い」
「間違ってはいないから大丈夫だよ」
言葉は違えど、自分の行動で合っているとお言葉をいただいているので、変えることはせずにいるが、
どうしても姉様との違いに心と思考がついていけず、お茶会を終えた後は表現できないものが心の中に残り姉様に会いたくてたまらなくなる。
フレディも自分の気持ちを知っているために心配をかけている事を申し訳なく思いながら、
「返事を書くのでレターセットの準備を頼む」
フレディに言付け、ソファから立ち上がり椅子に腰を下ろし、手早く準備された真っ白の紙と羽ペンを手に持ち黒のインクを先につけ
慣れた季節の挨拶文を書きながら、
寂しく恋しい気持ちを奥に隠して書かなければ姉様に悟られて、また移転されたら困る。
ゆっくりと呼吸とし、気持ちを整え自分の事と共に手紙の感想を書き綴った。
第190話
雨の被害がこれ以上ありませんように。願っております
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ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
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