姉、微笑ましく見守り見守られる
ミランダのアパートメントで料理の勉強を行う様になり、早朝のキッチンとランドリーの仕事も如何に効率良く、そして綺麗にできるかに重点を置いて行うように心がけ、
自室に戻り、工房から様々な報告書類にに目を通し、分からないことはすぐに尋ねるように心がけ少しでも時間にゆとりを作れるように動く事を心がける中、
「エスメ様、王都からお手紙が届いておております」
数枚の封筒をボアさんから封を切り手渡して貰い、封蝋と名前を確認してゆく。
お父様、お母様にディランとフレディにマルチダ。
あの日に自分の気持ちを正直に書き送った手紙は最速と思われる程早く返事が返り、釣られる様にすぐさま返事を返した。
会うことはできないけれど、互いに思う事を書き離れてしまった気持ちをゆっくりと近づけてゆく。
会おうと、自分の様々な気持ちが混じり合い上手く態度に出せないと思うので手紙で本当に良かったと思う。
まずはディランの手紙を封筒から取り出し、目を通してゆく。
季節の挨拶から始まり、王都の様子に同年代が王城のガーデンパーティに集まり仲を深めた話に、
以前、姉様が発案し作りました飲み物を冷やし続ける生活魔法道具の事で、相談を受けたので詳しく説明をした事を事後報告となり申し訳ないと書かれており、
思い当たる事がなく、記憶を引っ張り出して来ると
「あ!」
まだ王都にいた時に、いつでも冷たいものが飲めたらいいね。と、作った水魔法石と風魔法石を使用したワインクラーのような物を思い出し思わず声を上げボアさんが驚いた表情をしていたので
「驚かせてしまいごめんなさい」
謝りを入れると頷き大丈夫だと返事が返ってきたので、改めてディランの手紙を読むと、
どうやら魔術省の役人さんから以前相談を受けた事をディランも訪ねられたようで、
どうしてあの時に思い浮かばなかったのかしら。
心中でため息を落とし、じっくり読んでゆくも出かける時間となり、ディランのフレディの手紙とレターセットを手に持ち
「友達の家へ行ってきます」
見送りに来てくれたボアさんに告げ、慣れた道を歩き行き、新しく見つけらカフェの焼き菓子を数人分購入し、まずは
「こんにちは」
通い慣れてきた本屋さんへ行き、料理本になるような本を探し読み、時には店主さんの旅の体験を聞き過ごし、
「こちら、以前お話をお聞きしたカフェの焼き菓子です」
なんでも、他国から料理の勉強へきたという人が開いたカフェだと店主さんから聞き、気になり先程購入した菓子を手渡すと、
「ダリオルだね」
頬を緩め嬉しそうに受け取ってくれた店主さんから告げられた名前に頷き、
「小麦粉と卵にバターを混ぜた生地を型に入れ、そこに卵と牛乳で作ったクリームを入れ窯で焼いたお菓子だそうです」
前世のエッグタルトの良く似たお菓子を眺めカフェで受けた説明をそのまま告げると、店主さんは一口齧り
「うん。懐かしい味がする」
こぼれ落ちた言葉と共に一口一口丁寧に食べ、
「ありがとう」
告げられたお礼に、首を振り
「いつも旅の話を聞かせて貰っているお礼です」
話を聞きたくて本も買わずに通っているので少しでもお礼ができればと思い持ってきたものだと改めて告げれば、
「気にしなくていい。このように閑古鳥が鳴いている店だ。いつでも歓迎するよ」
さらりと頭を撫ぜられ、そろそろ時間だと店先で見送られた。
噴水まで足早に歩き、ルイと合流をすれば後はミランダとコナーさんのアパートメントへ向かい、
いつもの様に、ミランダが用意してくれた紅茶と先程本屋の店主さんに手渡したダリオルを手渡し
「まぁ、言葉では知っていましたが、初めて見ましたわ」
嬉しそうに微笑みながらのミランダの言葉にルイとミラが興味を引き
「初めて見る菓子だな」
ルイが手フォークを持ち一口食べると口に合ったのか、紅茶を一口飲んだ後、
「卵とバターの味がする」
告げられた感想に、ミランダが微笑み、ミラが呆れながらも品良く1口食べ同じように紅茶を飲み
「ほんのり甘くて美味しいわ」
気に入った様で頬を染めながら嬉しそうに2口目を食べている姿に嬉しくなり自分もフォークを手に取り、垂直に刺し底に穴を開け、ダリオルを動かさないように注意をしフォークを横に倒し切り分け
「美味しい」
前世で食べたカスタードクリームの味が口の中に広がり、
卵に牛乳と小麦、洋菓子の基本となる材料だと気づき、
もしかしてシュークリームとかクリームパンも作れる?
様々な作れる食べ物が思いつくが作り方がわからず、頭の中で保留にし
「ルイ、ミラ。ディランとフレディから手紙が来てたの」
持ってきた手紙を2人に告げれば、気になる様で視線を向けられ、封筒から手紙を取り出すとミランダが席から離れようとするので、
「ミランダ、気にしないで」
慌て引き留め
「ミランダにも私の弟と従者の事を知ってほしいから聞いてくれると嬉しいわ」
もし訳なさそうにするミランダを引き留めれば
「知っておいた方が会った時にエスメの態度に驚かなくてすむと思うぞ」
ルイの援護とも取れる言葉に苦笑するが
「ミィお姉さんに私の好きな人の事を知って貰いたいから一緒に居て
ミラの袖を掴み見上げながらのお願いにミランダも頷き、椅子に腰を下ろしてくれたので、ディランの手紙とフレディの手紙を朗読する。
勿論、自分の中でコレは言えないと思うものは飛ばして伝えると、
「ディランも頑張ってるんだなぁ」
関心したようにルイが頷き、
「ねぇ、フレディさんカッコいいでしょ」
ミラが頬を染めミランダに感想を告げ、微笑ましそうにミランダが頷いている姿を見て、
この事を手紙に書こう。
記憶に止めつつ、持ってきたレターセットをルイとミラに手渡し
「是非、ルイもミラも返事を書いてあげてね」
ことはを添えれば嬉しそうに受け取ってくれ、その場で書き始めたので邪魔にならない様にカップとソーサーを下げ、キッチンへ持ってゆき洗い出すと、
ミラからミランダへと綴りの質問などが聞こえ、微笑ましく思いながら夕食の献立とパンの作つくる為に手を動かした。




