姉、手料理を振る舞う
コナーさんを主体に市場で買い物をするはずが、最初から最後まで自分が主体で買い物を進め、アパートメントに戻れば、
「クックみたいに上手では無いけれど」
まだ日も高い位置にあり晩餐という時間にはかなりは早い時間ではあるがキッチンに立ち、用意されているフライパンを手に取り
チキンを塩胡椒をし皮面をパリパリに焼き、赤ワインを煮て作ったソースと共に出し、スープは市場で見つけた野菜を切って煮込み塩胡椒で味を整えた。
パンは流石に作る時間がなかったので購入し皿の上に置き、
「数は少なですが如何でしょう?」
手伝いを買って出てくれたコナーさんに問うと
「十分かと」
驚きと戸惑いの色が混ざった返事にを貰い、ミラと共に皿を食卓へ運ぶとミランダとルイに驚かれつつも、
皆でたわいも無い話をし、
「エスメさんは、どんな事もできるのですね」
食後の紅茶を楽しんでいるミランダの言葉に
「できないこともあるのよ。けど、将来独り立ちをするから今は様々な勉強をしているの」
同じ様にコナーさんが入れてくれた紅茶を飲みながらミランダに返事を返せば、
「独り立ちですか?」
首を傾げながら再び問いかけられたので
「ええ。将来、屋敷を出て1人で暮らす予定なの」
改めて言葉にすると、ミランダとコナーさんは目を見開きなら驚いており、驚くことを言っただろうかとルイに視線を送るも、驚いた表情はしておらず、
ミランダやコナーさんの国では違うのかもね。
国が違えば文化も変わる。
大きく見ればよく似ていたりするが、細かな部分は違い時には真逆の意味だったりする。
異文化交流の良くある注意点だと思い、気に求めずにいたが
「市場にいく道中に聞いた、キッチンとランドリーの仕事以外何か勉強をしていることはありますか?」
コナーさんからの言葉に、1日の行動を思い出すがこの2つしか行っておらず
「キッチンとランドリーだけで掃除はまだ勉強をしておりません」
正直に告げれば、
「そうですか」
真剣な表情で頷かれた後、
「この様なお願いをするのは間違っているのですが」
声に少しの緊張があるのか固くなって告げられた言葉に頷き、続きを待っていると
「よろしければ、私に料理と洗濯のやり方を教えていただけませんか」
視線を合わせ告げられた言葉に
「教えるという程上手にできるわけでは無いけれど、私でよければ是非」
前に生きた時の記憶と今世で学んだほんの少しだけの知識が役に立てるのならばと頷き返せば
「エスメさん。私にも教えていただけますか?」
ミランダからもお願いが入り頷きかけるも
「ミランダ様。まずは私が教えていただきますのでお待ちください」
コナーさんからの言葉がはいるが、
「いいえ。私も何か役に立てる事がしたいわ」
すかさずミランダが返事をするものの、
「エスメさんも2人で教えるより1人の方か教えやすいはずです」
互いに互いのことを思いやりの提案だったがコナーさんの一言にミランダが引くこととなり、その日の集まりは終わりを告げ、屋敷に戻り
「私、掃除の勉強をしていませんでした」
自室で出迎えてくれたハンナさんへ告げれば、
「確かに掃除の勉強は行っておりませんが、これ以上勉強すると寝る時間がなくなる恐れがございます」
返ってきた言葉に疑問に思い首を傾げれば
「朝のキッチンにランドリー、終われば2つの工房の運営の勉強、昼間は外へ出ておりますがお帰りになればマナーの復習に教科書を使った勉強を行っております」
ハンナさんから告げられた自分の行動を改めて聞くと、よく動いている事がわかり
「今はこれ以上学ぶのではなく、継続して知識を蓄える時期かと思います」
継続すべきだというハンナさんの言葉に納得し
「そうですね。増やして疎かにしてしまうよりは良いですよね」
返事をすると、微笑み
「では、昨日の続きを」
教科書と紙に羽ペンを用意して貰い勉強進めればあっという間に晩餐となり入浴と就寝の時間となった。
ベットに入り明日の予定を考えて、コナーさんからお願いされた料理のメニューを考える。
見て学んだもの
食べて作れるであろうもの
本で読んで作れそうなもの
をいくつか考えるも数か少ない様な気がしながら気がつくと眠っていたようで、朝を迎えておりキッチンとランドリーに自室に戻り工房の書類に目を通した後、
「街へ行ってきます」
休憩をする時間の移動時間にかえいつもより早く街に出かけ、店の前に立ち
深呼吸をしてからドアに手をかけ中に入ってゆく。
「ごめんください」
少し大きな声で声をかけるが待っても人は現れず、
「店主さん」
さらに大きな声で呼びかけると、
「お嬢様。お久しぶりです」
ルイさんの紹介であって以来の出会いの挨拶に同じように挨拶を返した後
「実はご相談がありまして」
早々で申し訳い気持ちになりながらも本題を切り出せば
「料理の本ですか?」
顎に手を当て考える姿に
「できれば作り方が載っている本が希望ですが、料理がわかるものならばどんな本でも構いません」
要望を伝えると深く考え込んでしまい、わがままを言ってしまった自覚があったものの段々申し訳ない気持ちが膨れ上がり、断りの言葉を告げようとタイミングを測っていたが、
「ご期待に応えられる本かどうかは分かりませんが」
この言葉と共にどこかに向かい歩いてゆくので後をついて行くと、
「どうぞ、ご確認ください」
言葉と共に1冊の本を手渡されたので、中を確認してゆくと他国の庶民生活が書かれており、つい読み込んでしまっていると、長く節の太い指か視界に入り、
ページを捲られ、指さされた箇所を読むとメニューらしき文章が書かれており
「これです!探していたものです」
嬉しさと興奮で顔を上げれば
「そう?役に立てたなら良かった」
柔らかな声の表情に嬉しくなり読み込んでいれば
「料理をするの?」
高い場所から降ってきた言葉に
「友達に作りたくて」
文字から視線を外さず短い言葉で答えると、頭を数回撫ぜられ
「ゆっくり読んでゆくといいよ」
言葉の後、離れてゆく足音が聞こえなくなった頃
ビックリしたぁ
突然頭を撫ぜてくれたことに驚きと恥ずかしさと嬉しさが混ざり、熱くなる顔を本に埋め顔を隠した。
なんとか感情を落ち着かせ、手渡された本を購入する為に再び声をかけると、
「優しい子にご褒美」
言葉と共に差し出さされた飴に口を開けると、口の中に入れてくれた。
食べなれた神殿の飴の味がいつもより甘く感じ、なんだか恥ずかしくなり買った本を胸にだかえ口を大きく開けないように注意しながら
「ありがとうございます」
お礼を伝え、待ち合わせ場所である噴水の広場へと向かった。
第187話
間も無く7月も終わり8月になります。月日が経つのが加速している気がしてなりません。
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ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
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