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姉、引っ越しの手伝いをする


毎日会い、たわいもない話をしたり、習った事への質問や疑問を口にすれば、さらりと答えてくれるミランダの知識量に感心したり、


「隣国の言葉がうまく発音できない」


上手く進まずつい愚痴をこぼしてしまえば、小さく笑われ


「国の言葉は独特な文化と共にできた言葉ですもの。苦戦するエスメの気持ちわかるわ」


もやもやとした気持ちの賛同と共に、


「そうね。この口の動きを気をつけると発音しやすくなると思うわ」


アドバイスまで教えてくれ、それを屋敷に帰り実際に行うと今までの躓きが一気に解消され、


改めてミランダのコナーさんに感謝の気持ちが膨れ上がる中、


「むくもり亭を出て、アパートメントに引っ越す事にしたのよ」


綺麗な仕草の紅茶を一口飲みカップを音も無くソーサーへ戻した後の言葉に


「どの辺りのアパートメントだよ?」


ルイの質問が返り、ミランダの代わりにコナーさんか返答をしてゆく姿を隣で聞き、


「日用品を買いに行かないとね」


微笑みながらルイを見ていたミランダに声をかけると、


「エスメさんには大変お世話になり感謝しておりますわ」


改まっての言葉に、意味がわからず瞬きを繰り返していると、


「なんだよ。エスメが何かしたのか?」


不思議そうに首を傾げながらのルイの言葉に、同じ様に首を傾げ返すと


「ここに来た時に、この領の色の染めてくれると宣言をしてくれたでしょう?」


白銀の髪がサラリと流れ落ち、鈴の音の様な声がどこか嬉しそうに


「沢山助けていただき、様々なことを親身に助けていただきました」


告げられる言葉を聞いていると、


「ここに永住する為にまずは宿を出て職を見つけようと思っております」


意志を強く秘めた瞳と言葉に


「大した事をしたつもりは無いけれど、でも、ミランダの力になれていた嬉いわ」


自分が役に立てたのだと嬉しく思い返事を返せば、


「ルイもありがとう。貴方に会えて感謝しているわ」


少し感情が表に出た微笑みでルイに告げれば、


「別に。大した事してねぇし」


耳まで赤く染めそっぽを向きながら、ボソボソと返す姿に微笑ましく思いながらルイを見つめていると


「ミィお姉ちゃんは、いつひっこしをするの?」


ティーフードであるマフィン食べていたミラの言葉に


「明日、午前中にはここを出てアパートメントに移動するわ」


口の端にマフィンをつけているミラの口をハンカチで拭いながら返した言葉に、


「明日はお手伝いしたいから、少し早めに来るね」


「そうだな。何かと人手はあった方がいいもんな」


手伝いを申し出れば、同じくルイも頷き、


「私も、おてつだいしたい」


ミラの言葉に頷き、いつもより早く集まることを約束しその日は解散となった。


次の日、約束を守るために朝の勉強後の工房の書類を手早く終わらせ、いつもとる休憩時間を無くし


「では、行ってきます」


昨日の内に今日の予定を伝えていたので、見送りに来てくれたハンナさんに挨拶をし屋敷から街の噴水広場へと向かう。


「おはよう」


先に待っていたルイに挨拶を交わし手を繋ぎぬくもり亭へ迎えば、入り口で3人が立っており、


「持ってゆくものはありませんから、このままアパートメントへ行きましょう」


コナーさんの出迎えと共に告げられた言葉にルイと共に頷き、ぬくもり亭からアパートメントへ移動をする。


道中、頭の中でギルト長から先立って提案された周辺の建物と治安を思い浮かべながら、噴水の広場から数本奥へ入り


「こちらです」


コナーさんの案内で建物の中に入り、何個も並ぶ入り口を通り過ぎていると、図面を見た時にも思ったけれど前世とよく似たアパートと同じ作りに少し違和感を感じつつも


ギルト長にお願いしたんだもの。色々大丈夫のはず。


少し不安が過ったものの、ドアを開けられ部屋に案内されれば、飴色の木の温もりと、掃除の行き届いた清潔感のある部屋に安堵の息を体の中に落とし、


コナーさんが窓を開けている姿にルイがすかさず手伝いをしており、


「素敵な部屋ね」


隣に立つミランダに話しかければ、


「ええ。コナーが見つけてくれたのです」


嬉しそうに微笑む姿に、部屋の案内を買って出てくれふた部屋の寝室とキッチンとリビングかまとまっている部屋。


大きなテーブルと5つの椅子が置かれており、これからもお邪魔して良いとの椅子の数に嬉しくなり、机を撫ぜていると


「そちらはルイのご両親からいただきましたの」


ミランダの言葉に驚き顔を上げると、


「お世話になっているお礼だと今朝ルイのお父様が届けてくださいました」


少し困った様に告げるミランダに


「本当の事なんだから気にするなよ」


ルイが言葉を返すと、さらに困ったように微笑みながらも


「ご両親もこのようにおっしゃており、ありがたくいただく事にしました」


椅子に座るように進めながらの言葉に、自分もお祝いを持ってきていない事に気が付き、何を渡せば喜んでもらえるのかと視線を彷徨わせると、


「ミランダ様。私は買い物へ出かけてきますね」


コナーさんが蔓籠を手に持ち告げた言葉に慌て席を立ち、


「コナーさん私も一緒に行きます」


慌て告げれば、皆不思議そうな表情をしており


「コナーさんもまだ買い物に慣れていないかもしれないから一緒に行ってくるわ」


ミラ、一緒に行きましょう。


隣に座っていたミラの手を引き、コナーさんに背中を押しながら、


「ルイ、ミランダ。留守番よろしくね」


閉まる扉の隙間から告げ、戸惑う2人の手を引き外に出


「夕食の買い物ですよね?行きましょう」


意気揚々と歩き戸惑う2人を引き連れ市している場所へと移動しながら


「何を作る予定ですか?」


コナーさんに声をかけると


「恥ずかしながら料理をしたことがなく、市についてから決めようかと思いまして」


返ってきた言葉に、頷き、


「でしたら、今日は私が作ってもいいですか?」


前の人生、半分以上は毎日料理をしており、今世でもキッチンと器具の使い方は習得している。


できる、はず。


たぶん。


少し不安があるものの未経験の人よりかはマシかと提案すれば驚かれ


「エスメ様は料理ができるのですか?」


爵位を考えればできないのが当たり前だが、


「はい。毎朝キッチンとランドリーの勉強をしております」


胸を張り告げれば、呆然としている姿に微笑み返し、


「ですので、料理に洗濯はできます」


改めて言葉にすれば戸惑いながらも頷いてくれ、


「なので、任せてください」


力強く頷き返えしコナーさんの手を引き、ミラと手を繋ぎ市場へと足をすすめた。




第186話


気がつくとこの話を書き始め1年が立ちました。お読みいただいている皆様に感謝申し上げます。

ゆっくりですが話を進めて参りますのでお付き合いいただければ幸いでございます。


ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

お時間ありましたらお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/

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