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父、報告を受ける


娘の生まれたあの日から何度も通い顔を合わせようとも慣れるなどという事は無く、


「移転です」


いつもより重重いしい空気の中、真剣味を帯びた言葉に一同が重い息を吐き出す。


娘が何か新しい魔法を発動させるたびに重い空気になってはいたもののここまでは重苦しくは無かった。


娘が自分の問いかけに答えられず今にも泣き出しそうな表情をし、他人のように挨拶をし姿を消した。


一族の主として当たり前の行動でも、娘にとっては父親からの言葉に傷をつけてしまい、数日だっても両親からの報告の手紙は届くものの


娘がらの手紙が届くことはなく、寂しくも諦めの気持ちで待ち続けていれば、


水の様な物に包まれ目を閉じて中に浮いている為、接触ができない。


母からの手紙に妻と顔面蒼白になりながら手紙を届けてくれた者に尋ねれば、書かれていたままの事を告げられ、このまま娘の笑顔が見れなくなるのではと不安になる中、登城し報告を行い陛下と側近の方々との情報の擦り合わせに行う日々の中、


お忙しい中をスケジュールを調整し娘の様子を見にいかれた魔術省長の報告になんとも言えない雰囲気が広がり、


「本人もどうして移転したのか原因が分かっておらず、次の移転があるかどうかも定かではありません」


移転した本人が何故移転できたのかが分からないと何度も首を振り、そして


「水の様な物に包まれたいた件も同様に本人は眠たくなって寝て告げられるまで知らなかったと申しておりました」


包まれていた数日間の記憶も無いと言う。


どの見聞にも書かれていないこの状況にどう対応することが正しいのか解らず口を閉ざしていれば、


「光の魔法の1つかもしれませんし、または新しい魔法かもしれません」


その道に誰よりも詳しく代々研究もおこなっている一族の長の言葉に頷きで答えを示すと、


「本人の良心を信じ今後は悪用しないようにしていただくしか対応できないかと思われます」


締めとして告げられた言葉に


「しかと言い聞かせます」


頷き返事を返すと、


「それと、目から報告がありましたご令嬢ですが実際に拝見することはできませんでしたが、宿の責任者とご令嬢の元へ通っている子供からの話を聞くことはできました」


娘が助けた隣国のご令嬢はその国の筆頭公爵家のご息女であり王家の婚約者だったが、真実の愛の目覚めたと大人数のいる中で告げられ、冤罪で国外追放をされており、


「通っている子供が話しかけていたところに空を飛んでいたご息女が発見したと本人達から告げられました」


こちらも頭の痛い問題で、隣国の王家を通して状況を尋ねられており、娘の移転と共に様子を見に行ってくれた事に


「次から次へと大変申し訳ございません」


頭を下げながら謝罪をすれば、


「いえ、ご息女は人助けを行っただけです」


重々しかった空気が少し軽くなった気がし、心の中で息を吐くと


「良く、無事で辿り着いた物だな」


斜め前から聞こえてきた言葉に、顔を向けると


「ご令嬢とメイド2人で山賊にも会わず辿り着いたのは運が良いとしか言えないな」


付け加えられた言葉に改めて思い返せば、パーティ途中での出来事だったと言うことは衣装も装飾品も一流の物を纏っていたはず。


告げられた言葉に確かにと思うものの、最近の自領の事を思えば人手がからず真面目に働く気があれば雇う店が多くなり山賊自体が減ってるのかと思ったものの、


いずれ国の頂点に立つ者の婚約者、娘の様に隠れて監視されていたとしても不思議では無いのでは?


もう1つの答えが浮かび、


娘は隣国の影からも監視されていることになっているのでは?


告げられた真意に気づき身体中から血の気が引く音と共に体温が急激に下がるのを感じると、


「この国に入っているのです。この国の法にて対応させていただきます」


隣に座る宰相様からの言葉に顔を向けると、


「ご息女が生まれた時に決めた法があります。何かあればすぐに対応させてます」


視線を合わせ告げられて言葉の意味を理解し


「ありがとうございます」


礼を告げると、微笑みと頷きが返され


もう、彼の頭の中では沢山の対応策が考えられているのだと理解できれば安心し身体中に血が巡り冷えた体も体温が戻り出してきた。


いまだ慣れに言葉の裏の意味と知略と策略の世界に思わず遠い目をしてしまいそうになるも、方々に守り見守られ娘は今日も生きていられるのだと


本当にありがたく感謝しかない。


公爵家の末端である我が家のことも気にかけてていただけるのは本当にありがたい事だ。


父も辺境伯を通して前王と仲が良かったと聞いているが、父の裏表のない性格を知れば納得もできた。


思う返せば、我が一族は代々、人間関係運が良い様に思う。


各報告が終わり、雰囲気的にも終了を迎えそうな頃、


「ああ、言い忘れておりました」


魔術省長からの言葉に顔を向ければ


「ご息女に手紙の返事を出すようにお伝えしました」


とても良い微笑みを向けられ告げられた言葉に返事を詰まらせると


「やはり、悲しかったようでかなり落ち込んでおり、いつもの元気も笑顔もありませんでした」


どこかワザとらしく大きなため息と共に告げられた言葉に胸が痛み返事を返せずにいれば、


「それと、王都にいた時よりも身長も伸び勉強にも励んでいるようで言葉の節々に成長を感じる事ができましたよ」


面白いものを見つけたと言わんばかりの表情と雰囲気で告げられた言葉にさらに胸が痛み成長を見守れない寂しさと悲しさが心を占めるも、


「経営人としての風格もほんの少しですが出てきておりました。将来が楽しみですね」


揶揄われているのだと思ったが、最後に告げられた言葉に成長の報告を受けたのだと分かり、少しだけ会えた娘の姿を思い出し


「教えていただきありがとうございます」


気落ちしていた自分への優しさと心使いに嬉しさと感謝の気持ちを込め礼を伝えると、なんとも言えない表情と雰囲気の中


「そうでした。貴方はそう取りますよね」


ポツリと零された言葉に首を捻ると、


「お土産がありますので是非」


急な話の方向転換に意味がわからず頷き自領のお土産の焼き菓子と紅茶を置かれ、礼を告げいただきながら少しの雑談をしその日は解散となった。


数日後、エスメから自分宛に手紙が届き、魔術省長へ感謝の手紙を送った。




第185話


暑さが続いております。皆様水分塩分の補給を忘れずにお過ごしくださいませ


ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

お時間ありましたらお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/

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