姉、日常に戻る
心1つ
後回しにしていた事と自分が勝手に恐れ怖がっていたことが少しだけでも動き出すと、世界の全てが動き出した様に感じ、
昨日よりの体が軽く動きやすく、視界が広くなったのか昨日まで気が付かなかった事が気づいた。
普段と変わらない使用人の皆の微笑みが優しく感じた。
いつもと同じは、全く一緒では無い事にも改めて気がつけた。
言葉だけではないお礼がしたいな。
朝から出会えた人達には言葉でお礼を伝えたけれど、足りない様な気がし
街でお菓子でも買ってこようかな。
紙刺繍工房と生活魔法道具工房の書類を終え、ソファでボアさんの入れてくた紅茶で一息つきながら配るお菓子の種類とお店の選別を頭の中で行っていると、
2回のノックの後、対応をしてくれたボアさんと共にイルさんが姿を入室してきたことに手に持っっていたカップをソーサーに戻すと、
「休憩中に申し訳ございません」
イルさんの詫びの一言に首を振り、
「大丈夫ですよ。書類ですか?」
手に持っている紙に視線を向け問いかけると、
「いえ、ギルト長から手紙でございます。できれば本日の時間の良い時にお会いしたいとの伝言も受けております」
いつもと変わらむにこやかな微笑みで告げられた事に首を傾げつつ、手渡された手紙に目を通し
「手紙拝見しました。あまり時間は取れませんが準備が整いしだいギルトにお邪魔するとお伝えください」
イルさんに返事を告げると短い返事と共に一礼をしたのち退出をしたのを見送り、
「ボアさん、急で申し訳ないのですが服を選ぶのを手伝って欲しいです」
壁際でイルさんとのやり取りを聞いていたボアさんにお願いを伝えると、頷いてくれ足早に部屋から出ていく姿を見送り、
改めて手紙に書かれていた事を思い出し首を傾げた。
普段なら着替えることはしないが、ギルト長からの呼び出しに対応するという事は工房の責任者としての立場での呼び出しのはず。
少しでも良い服を着て化粧をしてもらい、髪を手早く丁寧に解かし結ってもらう。
鏡に映る見慣れない自分の姿に心が落ち着かないが、
「ありがとうございます」
1人で全てをこなしてくれたボアさんにお礼を伝えると、少し嬉しそうに微笑んでくれた後2人で玄関ホールへ行けば、
「エスメ様、お急ぎのようでしたので馬車の準備をいたしました」
手を差し出してくれたイルさんの手を取りエスコートをして受けながら馬車へ乗り込み、
「ギルトへ寄った後はいつものようにルイ達とぬくもり亭へ行きます」
ドアが閉まる前に今日の予定を告げると
「かしこまりました」
是と頷いた後にドアを閉ると
「いってらっしゃいませ」
イルさんとボアさんが声を揃えて見送りの言葉に
「いってきます」
いつものように返すと、馬車がゆっくりと動き出した。
1人でゆっくり流れる風景と馬の足音を聞いていると、つい
皆、挨拶とか頭を下げるタイミングとか揃っているけど、練習とかしてるのかな?
他所ごとが思い浮かび、1人で小さく笑っていれば、
そういえば、最近、魔法道具の事を考えてなかったなぁ。
魔術省の役人さん方手渡されアクセサリーはブレスレットで今は自分の右手首に付けられている。
純度の高い魔法石は太陽に光に当たると七色の光を放つのが気に入り朝の仕事が終わると自分で身につけ、
毎日ぼんやりと眺めている。
王都へ行った時に持っていたブレスレットはディランが預かってくれていると手紙に書いてあったので、フレディに渡して欲しいと書いて送った。
「身に付けてくれていると良いな」
ぽっりと独り言を溢しながらぼんやりと風景を見ていると街の入り口まで着いたらしく馬車が止まり、馬丁さんがドアを開けてくれ、手を差し伸べてくれたので自分の手を乗せ
「ありがとうございます」
お礼を告げると、嬉しそうに笑ってくれ
「行ってらっしゃいませ」
見送りまでしてくれた。
いつもと同じやり取りがとても嬉しく思え、足取り軽く歩きギルトへ入れば、
「お待ちしておりました」
伝言を受け取ってくれたのか、受付の女性が笑顔で出迎えてくれ待つ事なくギルト長の部屋に通され、
「急にお呼びをしてしまい申し訳ありません」
立って出迎えてくれたギルト長に
「いえ、いつも街には着ておりましたのでお気になさらず」
詫びの言葉に微笑み気にしていない事を告げれば、
「そう言っていただけると助かります」
言葉と共にソファに案内され腰を下ろすと、先程の女性が紅茶を用意し置いてくれたので
「ありがとうございます」
微笑みと共にお礼を告げれば、嬉しそうに笑い退出する背中を見送ると
「早速で申し訳ないのですが」
ギルト長から切り出された言葉に頷き返事をすれば、
「エスメ様と懇意にいるコナーと言う女性がこの土地に住みたいと空き家と働き口を探しにやってきました」
告げられたことに心の中で驚きつつも、微笑みのまま頷き返すと
「本人もメイドの経験はあると言うのですが、話を聞けば上級メイドの位置にいたと分かりまして」
なんとなく話の着地点は分かるものの、話の続きを促すように黙っていると
「こちらの屋敷を紹介をと思ったのですが、本人の希望はメイドではなく街で働きたいとの事でした」
思っていた着地点とは違い、先に答えを言わなかった自分に心の中で褒め、
「街で、ですか?」
首を少し傾げ告げると、
「上級メイドは貴族の家の出が多い。街で働くのはどうかと思うのですが」
少し困ったような表情で告げるギルト長に
「そうですね。街でと言うからには御本人の希望する働き口があるのでは?」
貴族と平民の関係性を思い浮かべ頷き、先を促すように告げると、
「刺繍ができるので工房で働きたいと言っておりました」
ギルト長の言葉に、それならば私ではなく工房へ話を通すのが良いのではないかと思いつつ
「確かに紙刺繍工房は働き手は多ければ良いですが」
言葉にした為に、考えが言葉に乗ってしまったようで、
「勿論、工房の責任者にも話を通しますが、工房に入れば貴族も平民も関係のない立場になります」
ギルト長の手紙ではなく直接言いたかった言葉が分かり、自分の言葉の読みに浅さに落胆しため息を落としたくなるも、
「御本人も承知の上だと思いますし、私も仲が良いからと工房の約束事に口を挟む気はありません」
何かあり相談された時に立場を利用しての言葉や対応をするのではないかと危惧された事と釘を刺したかったのだと分かり、求められたこ答えを言葉にすれば、
「ありがとうございます。今の工房は皆、良い関係を築けていると報告を受けておりますので」
年寄りの勝手な心配事です。お気を悪くしてしまい申し訳ございません。
こちらが言い過ぎたのではないかと思う程、もう仕訳なく思う表情と態度に首を振り
「いえ、気にしておりません」
慌て否定すると、安堵したように微笑むギルト長にこちらも心の中で安堵の息を落とすと
「それとコナー嬢が住む場所ですが、どうも同居人がいるようで」
さらりと話の話題が次に移り、意識を切り替えミランダの事を思い浮かべながら頷くと
「女性が2人で暮らす家です、安全に配慮した場所がよろしいかと思い工房近くのアパートメントを紹介するつもりです」
テーブルの上に見取り図を広げながらの告げられて言葉に、
「ありがとうございます。勿論、こちらに来たばかりの女性2人です。色々、よろしくお願いします」
微笑みを強くし伝えると、金銭面的な意味を示しているのだと察してくれたようで瞬きをした後、
「できる限り、ご協力させていただきます」
困ったように笑ながらも頷いてくれた事に安堵の息を心の中で落とし、見取り図を見ながら部屋の説明を受け、時に雑談をし街の様子はや他の領での流行り事など談笑をし
「長いをしてしまい申し訳ありません」
失礼にならない時間を過ごし、別れの挨拶をしていると
「ぬくもり亭までお送りいたします」
ギルト長の申し出に、
「お心使いありがとうございます。ですが、寄りたいお店が数件ありまして」
申し訳なく思いながらお断りを入れると、
「残念です。街中ですが気を付けて下さいね」
建物の外まで見送りに出てくれ、
「ありがとうございます。よろしお願います」
お礼と本題を口にしないが改めて告げると頷いてくれたのを確認しギルトを後にし、お祖母様のご贔屓にしているカフェとクックのお友達のお店に立ち寄り焼き菓子をお願いしたのち、
「各1個つづお願いします」
以前、ミラのお使いで訪れた神殿で作られているアメを購入し、足早に噴水の広場へゆけば
「遅いぞ」
ルイが待っており、
「ごめんなさい」
謝り、差し出されて手を繋ぎ小走りでぬくもり亭のミランダとコナーさんのいる部屋へ向かえば
「遅かったわね」
なぜかミラの言葉に出迎えられ、首を傾げれば
「朝から来ております」
コナーさんがこっそり教えてくれたので、注意をしようとミラと視線を合わせる為に膝を折り床につければ
「エスメ、今日は顔が違うねの」
突然告げられた言葉に、驚き言いたかった言葉がどこかへ消えてしまい
「これは、お仕事をする顔よ」
にっこり笑いつげるも興味はないのか適当に返事が返されたので、つい
「お仕事頑張ってきたから、癒して」
ミラの背中に腕を回し抱きしめれば、
「ちょっと!」
嫌がる様に体を左右に揺らすので離さない様に腕に力を込めれば、
「もう。手のかかるお姉ちゃんね」
呆れと共に小さな手が背中を撫ぜてくれたのか嬉しさと、ディランの手を思い出してしまい暫く離れずにいると
いい加減に離して!
ミラの大きな声と言葉で渋々離し、用意してくれている席に座るといつもの談笑が始まった。
第183話
蝉の声を聴きました。蝉の声を聞くと夏が来た!という実感する1つですね。
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ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
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