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姉、本領を発揮する


さわさわと小麦同士が風に揺れふれあい音を奏でる晴天の元、今日もほっかぶりを被り小麦の収穫の手伝いをしてた。


朝食は婦人の青豆とパンの入ったスープだった。

パンは生地は家で作り、村長さんの家に焼き釜を借りて焼くというのでついて行って見学もさせて貰えた。

スープもただお鍋をかき混ぜただけだったけどお手伝いさせて貰え、井戸の水汲みもさせて貰えた。


土を奥深くまで掘って流れている水を組み上げる事を教えてくれた。


不思議に思い井戸の中を覗いて見たけど暗くてよく分からなかった。


土の奥深くに水が流れている。


小麦の収穫も終わろうとしてしている。


村の人達は空を見上げる事が多くなった。


雨雲を作り出す為に水魔法を空へ流していたけど途中で止めてしまったから雨雲が出来ていたかは分からない。


だったら。


夫人におやすみなさいと挨拶をすませ窓へと近づき音を立てないよう開ける。


煌々と光る月は真ん丸で周りを見渡せば月の明かりで影ができる程明るい。


深呼吸をし意識を集中させる。


土の中にある水を地上へ上げる想像をし手を下から上へ上げる。


暫く続けるも手応えは無く、ため息を落と共に


「自然の物は魔法では動かせないか」


言葉を溢し、ならばと心を切り替え広範囲にわたって水魔法を発動させる。

自分を中心に朝露が落ちている程の水量を意識する。


ゆっくり慎重に。


寝ている村の皆を起こさない様に。


そろそろ良いかも。


無意識に閉じでいた目を開け窓の外を見れば月明かりに雫が照らされ宝石の様に煌めいていた。


あまりの光景に見惚れるも梟の鳴き声に意識を戻し、音に気をつけながら窓を閉め靴を脱ぎベットへ入った。


朝、皆に喜ん貰えるといいな。


どんな反応が返ってくるのか楽しみでドキドキしながら目を瞑ればあっという間に眠りの中へと入っていった。



ゆらりゆらり揺れる中、真っ黒だった世界が少し灰色から白へ変わると小鳥の囀る声にドア越しからは人の話し声が聞こえるも、布団を頭まで被り


「お母さん、あと5分寝かせて」


寝ぼけ声で誰もいない部屋に呟くも、自分の声に驚き


「え!?私、今、寝言言った!?」


飛び起き周りを見渡すも自分以外おらず、安堵の息を落とし着替え靴を履き扉から出れば、夫人の元気な挨拶と青年の短い挨拶を貰い、促されるまま手ぬぐいで顔と手を拭き終えると朝食の時間が始まる。


昨日と同じ青豆のスープをいただく中、今日の予定など聞き頷き返せば


「そういえば夜中に雨が降ったのか地面が少し濡れていた」


青年の言葉に緊張しながら夫人の反応を伺うと


「月が出ていたのに雨だなんて珍しいねぇ」


驚く事も喜ぶ事もなく普段通りに会話が終わってしまい拍子抜けをしてしまう。


その後も村の人達と会い挨拶を交わす中でも同じ様に地面が濡れていた。草木が濡れていたという世間話で終わって言った。


今まではディランがお驚いてくれたり、マルチダやフレディは小さいながらも反応してくれるし、庭師のおじさんはとても笑顔で喜んでくれた。


初めての事でどうすれば良いのか分からず戸惑うも、教えられた小麦の手伝いをしていればそんな気持ちはどこかへ消えて無くなり、夫人と楽しくお喋りをしながら手を動かして入れば、聞きなれない音が耳に入り布陣と顔を見合わせれば、


見慣れた人物の登場に驚き、


「騎士団長、それに皆様、どうしたのですか?」


同じ様に驚く夫人を背に庇うよう1歩前に出て問えば、


「お迎えに参りました」


騎士団長の言葉に戸惑うも、戸惑っている夫人へ体を向け


「我が家で作られた騎士団の方々ですのでご安心ください」


微笑みながら告げれば戸惑いながらも頷いてくれた。


それからは足を止める暇も無い程急かされながら着替えを行い、何事かと集まってくれた人達に別れの挨拶を行う。


「良く手伝ってくれるから貴族様だということを忘れていたよ。無理させてごめんよ」


夫人の言葉に首を振り


「私の我儘を叶えてくださりありがとうございました」


淑女の微笑みで礼を告げるも別れるのが惜しく夫人に抱きつけば、驚きながらも抱き返してくれた。


数日しか滞在できなかったがとても楽しかった。


用意された馬車に乗ればマルチダが居り、


「エスメ様、ご無事で何よりでございます」


潤んだ目元と震えている声に申し訳なく思い


「勝手な事をしてごめんなさい」


謝りを入れれば馬丁から出発の合図が入り慌て窓の外へ手を振り夫人達の見送りに答えた。


かぽかぽと馬の足音と聞き寂しさが心を締めだす。

そんな気配を感じ取っているのかマルチダは何も言わずにてくれた。


楽しかった日々が終わりを告げた。


第18話

本領発揮の魔法を発動させてみました。

書いている途中に魔法とは?となりましたが魔法ということでお願いします。


残暑厳しい日々が続いておりますが皆様体調には十分にお気を付けてください。

また、

ブックマークに評価と⭐︎を押していただきありがとうございます。

とても嬉しいです。感謝しております。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤のディランの心境と日々を書いております。

よろしけれお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/



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