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父、動揺するも妻に助けられる


エスメが突然現れ、突然消えたあの日から屋敷の中の雰囲気がどこか歪み、全員が落ち着かないのか使用人達の小さなミスが多発している。


原因は、


自分達が慈しみ見守ってきたエスメの居場所が分からない事


エスメが自分の両親に家名を告げ別れた事。


当時、同じ部屋に控えていた者には箝口令を命じたが遅く屋敷中に広まってしまい、上へ下へと大慌てをした使用人達に、落ち着くように伝えたものの、


玄関先には必ず誰かが待機しており、寝ずの番まで出来上がっており行動力と判断の速さに頭を抱えた。


「エスメ様に似たのでしょう」


声に出していないつもりだったが、無意識に呟いてしまったらしく思い体を動かし声の主を見ると、


「魔術省からお手紙が届いております。僭越ながら観閲させていただきましたが省も動くそうでございますよ」


エスメについている眼からの報告が届いたのか、書かれている内容に胃が痛み出す。


さらに読み込んでゆくが聞きなれない荒々しい足音に顔を扉へ向けると、眉間に皺を深くした家令は素早く動き、ノック前に扉を開け、


「旦那様!領から、大奥様からお手紙が届きました」


息を切らせ、差し出されている手紙を慌て立ち上がりもつれそうになる足をなんとか動かし、受け取りペーパーナイフで封を切り、書かれた内容を素早く読みが、


「リリーを呼んで欲しい」


震える声を止めることができず家令に告げれば、素早く部屋を出ていく気配を感じたが、母親からの手紙から顔を上げることができなかった。


どうなっているのだ?


急速に心を支配する不安に体が震えるも、


「旦那様」


できる限りの速さできてくれた妻の声に顔を上げれば、抱きしめられ


「旦那様、落ち着いてください」


甘く柔らかな匂いと労わるように背中を撫ぜてくれる優しさに、心と思考を立て直し


「母から手紙が届いたんだが、エスメの様子がおかしいそうだ」


なんとか声に出し伝えた言葉にリリーは一瞬息を飲むものの、


「お手紙を拝見しても?」


労わる様に微笑みながらの言葉に、手に持っていた手紙を渡すと素早く目を通し、


「心配ではありますが、まずは無事に屋敷に戻った事は良かったです」


顔色を悪くしながらも、母親としての強さなのか自分には思い付かなかった事が言葉として聞こえ、頷くだけで返事をすると、


「ルイという少年にお礼を言わねばいけませんね」


微笑みを崩さず告げた言葉に、数度頷き返事をすると、


「エスメの事は心配ですが、お義父様とお義母様がおりますわ。大丈夫です」


安心させる様に力強く微笑み告げてくれた言葉に、体の奥から息を吐き出し、


「ああ。魔術省からもエスメの元へ話を聞きに役人が派遣すると手紙が届いた」


冷静さを取り戻し、リリーと目を合わせもう1通の手紙のことを告げれば、


「お義母様も要請を願ったとありました。何か解れば良いですね」


安堵した表情をしながらの言葉にようやく微笑み返すことができたものの、


「ただ、水の様な物に包まれている。と、いうのは不思議ですがエスメが本人が魔法を発動しているのでしょうか?」


「わからない。話を聞こうにもエスメは目を閉じたままだという」


ソファへ移動移動するためにリリーの手を取ると小さく震えているの時に気づくも、


「そうでしたわ。私とした事が申し訳ありません」


震えていることを隠すかの様に苦笑いしながらの言葉に、


「起きたらエスメが手紙をくれるだろうから、教えてくれるだろう」


気づかぬフリをし、返事を返すと、


「はい」


互いに横並び腰を下ろすと、タイミングを測ったかの様にノックの音が聞こえ返事を返せば


「ディラン様とフレディをお連れしました」


家令の言葉に、互いに顔を見合わせ、


「どうぞ」


入室の許可を出すと、普段と変わらない表情のディランと、顔色を悪くしているフレディにソファに座るように伝え腰を下ろすのを待ち、従者から紅茶が前に置かれ、一口飲んだ後、


「聞いた通り、母から手紙が届いた。エスメは無事に屋敷に帰ったそうだ」


1番聞きたいであろう事を簡潔に伝えると、ディランとフレディから安堵の息が落とされ、表情が柔らかくなるも、


「魔術省から役人が派遣され、エスメの事情聴取される事になった。勿論、我々の所にも役人が来て事情聴取が行われる。心積もりをしておいてくれ」


予想していたのか、表情を崩す事なく頷いた2人に動揺を表に出してしまった自分との違いに、心の中で苦笑し、紅茶を飲み一息つき


「ここから居なくなった後、領にある噴水の近くにいた所をルイという平民の少年に発見され、屋敷まで連れて行ってくれたそうだよ」


母から届いた鐵紙の内容を告げると、ディランは驚いた表情をしつつ


「ルイが。会った時に礼をせねばなりませんね」


どこか安心したかのような雰囲気に


「ディラン。ルイという少年は祭りの日に声をかけてくれた少年かしら?」


リリーが微笑みながら尋ねれば


「はい。確か父親はお祖父様が統括されている警備隊に所属しており、ルイ自身も面倒見が良く、子供達のまとめ役といった感じでした」


懐かしそうに目を細めるディランに頷き返し、


「今回はエスメからの手紙はなかったが、落ち着き次第リリーとディランが送った手紙の返事が届くと思う。何か書かれていたら教えて欲しい」


今だにエスメへの謝罪をそうすれば良いのか決めかねていた自分とは違い当日に書いた2人が書いた手紙には返事がくるだろうと予想し告げれば、


「分かりました」


頷きと共に返事を貰いどこか軽くなった雰囲気が屋敷全体を包む中、


「そういえば」


呼び出した内容は終了と違う話へ切り替えるために言葉を切り出すと、リリーもディランも顔色が少し良くなったフレディの視線を感じつつ、たわいの無い話を始めた。



次の日、事情聴取へとやってきた役人からエスメの元に魔術長が向かった時き驚き胃を痛める事となった。



第177話


暑い日が続いておりますね。ミネラルのタブレットと水分が手放せません。


ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

お時間ありましたらお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/

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