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姉、目標を掲げる


人知を超えた体験をし、3日程水の様な物に包まれ寝ていたが、


時間は止まる事なく平等に刻み、


お祖父様とお祖母様との対面後、自室に戻りソファに腰を掛け、


「仕事、溜まってますよね」


一緒にへ部屋へ入ったテアさんに声をかけると、微笑まれ


「ございません」


聞こえた言葉に驚きテアさんを見つめると、


「イルさんを中心に他の方々がこなしておりますので、エスメ様はお体を休ませてください」


柔らかな声で告げられた言葉に、戸惑いながら


「沢山寝たので元気ですし、体の不調もありませんしご迷惑をお掛けした分を取り戻さないと」



手持無沙汰を感じ、何かないかと視線をさ迷わせるも、


「皆に任せるのも上の役目ですよ」


ハンナさんの言葉の後に


「目が覚めたばかりなのです。今日はゆっくりし仕事は明日からにしましょう」


ボニーさんの言葉に押され頷くも、早々にゆっくりする事に飽きてしまい、何かないかと顔を動かせば、

本棚が目に入り、


買ったけけど、読んでいない本があったはず。


ソファから立ち上がり、本棚の前に立ち題名が書かれた本を眺めてゆく。


冒険記、魔法の専門書、国史が綴られた本、どこかの国の生活風景が綴られた本。


多種多様の本の中に初めてみる題名があり、手に取りソファへ戻り最初の数ページを捲り読めば、


恋愛物なのか


「君との婚約は破棄をする!」


1行目から始めったセリフはどこか懐かしさを感じ、


前の人生でもよく読んだなぁ。


更新お知らせを楽しみ仕事頑張ってた日もあったし。


心の中で懐かしみながら読んでゆくと、身分違いの恋愛らしく時期国王と有力視さる人物と平民の女性との恋愛のようで、


婚約者である女性から妨害を乗り越え、身分の乗り越えての大恋愛を成就させるお話らしく、


良く読んだわ。

と言っても、婚約者の女性が幸せになる方ばかりだけれど。


偶には逆の話を読んでも良いかも。


少し好奇心が生まれ、読み続けてゆく。


幼い頃から婚約をし王子様と貴族令嬢は仲を育み過ごしてゆくも、学園入り今まで交流の持てなかった平民達と話す内に、1人の少女の無垢さに惹かれ、


恋をしているのだと自覚をする。


そこから、自分の立場と思う通りに制御できない恋心に苦しむ中、貴族令嬢が平民の女性にとなんとも王道で馴染みある話が続き、


最後は、盛大な結婚式を挙げる場面で終わりを迎えた。


読み物としては大変面白くあっという間に読み終えたが、今世を生き、友達がこの本の貴族令嬢と同じ立場だったのではと思うと、


昔の様に楽しめるが、現実との違いに遠い目をしてしまう。


「今、流行りの小説なのですがお気に召しませんでしたか?」


ボニーさんの言葉に我に返り、


「いえ。物語はとても楽しめました」


慌て感想を告げると


「以前来ていた吟遊詩人の歌を書き起こした話なんですよ」


ボニーさんの言葉を聞き、だから馴染みがあるのかと納得でるも、友達の反応が思い出され


「そんなに流行っているのですか?」


探るように尋ねると、頷きと共に


「特に若い娘達を中心に流行っていますね」


帰ってきた言葉に、どの時代でも恋愛に興味と好奇心を持つのは女性であり、若い子は憧れながら恋を夢見る。


「皆、このような恋愛をしたいのでしょうか?」


昔の自分は恋や恋愛に興味は無く、自分のやりたい事、楽しいと思う事に重きを置き生きてきた。


社会人になってもそれは変わらず、職を転々としたが、全てやりがいのある仕事で仕事中心の生活に不満もなかった。


今世もどうやらその色が濃い様で、自分の恋や恋愛に興味はないが、大切な人達が幸せに笑い合っている姿を見ているだけで、とても幸せになれるし嬉しくもなる。


ルイの恋心は叶って欲しいし、ミラのフレディを思う気持ちを応援したい。


自分の事より大切な人達の幸せを願ってしまう。


それで良いと思う。し、自分らしと思う。


勿論。自分も大切にするから自己犠牲はしない。


この生き方が性に合っている。


考えに夢中になってしまったが、キリの良い所でボニーさんと視線を合わせると、


「憧れはありますが、皆、頭の片隅には現実を見ております」


恋に恋するのはごく稀かと思います。


ボニーさんの真剣な表情と現実的な言葉に同じ様に深く頷き返せば、


「息抜きみたいな物です。誰も本気に捉えてはおりませんよ」


先程の真剣な雰囲気を消し去り、穏やかな微笑みと共に告げられた言葉に再び頷き返事をすると、


「今は皆、刺繍を上達させ、自分だけのデザインを考えるのに夢中ですから、恋愛は二の次三の次でしょうね」


予想もしていないテアさんの言葉に、首を傾げれば、


「エスメ様の提案した紙刺繍工房で、皆、働ける事に夢見て憧れているのです」


どこか嬉しそうに告げる言葉に、戸惑っていると、


「高位貴族の女性が自分の作った紙刺繍を買ってくれるかもしれない、自分が作った刺繍案が憧れのファッションプレートに乗るかもしれない」


難易度が高い夢を持ち、練習に励み、売れれば給料以外の賃金が入る。


「皆、恋愛より刺繍に夢中なのです」


テアさんの説明にハンサさんの締めの言葉を聞き、自分が思っても見ない方向へ紙刺繍工房が進んでいる様で頭を抱えると、


「良い事も悪い事もありますが、賃金が稼げると言うのは、農作物の収穫の不安から解消し心から不安を少なくしゆとりが生まれます」


励ましをくれるハンナさんの言葉に顔を上げると、


「エスメ様は女性達に良い事をしたのです。自信をお持ちください」


目を合わし励ましてくるが、


「街には人が必要です。結婚する人が少なくなって、出生率が下がってしまったらどうすれば」


想像もしていない不安が浮かび、焦るが


「大丈夫ですよ。結婚する人は働きながらでもします」


テアさんの言葉にそうなのだろうかと思うも、いまいち納得ができず、人口が減る自領の想像が消えないでいると、


「働きながら子育て支援もありますし、他国から住み着く達もいます。大丈夫です」


ボニーさんの明るい声と言葉に、そういえば工房に赤子がいた事を思い出し、


「そうですよね。支援策をもっと充実させれるように頑張ります」


昔の様に結婚祝い金とか出産祝い金とか必要品を送るとか、支援を充実させれるように売り上げも増やさないと。


新たに目標を作り、明日からの働く糧にし頑張ろうと意気込んだ。




第175話


暗い話の時にここを書くと雰囲気が壊れてしまうのではと思い、控えておりました。

明るい話を書きたいです。


ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

お時間ありましたらお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/

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