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姉、休日を過ごす


今まで止めていたものを進めてしまうとあっという間に事が進みだし、お父様の手腕の凄さとお祖母様の人徳とイルさんをはじめ屋敷の皆さんのお陰で、


紙刺繍の工房が出来上がった。


働く人たちはまだ数人だけだが、街のご婦人とこれから技術と経験を積み工房を支えてくれる若い女性。


街にあるアパーメントの1室を借り、数人で楽しく見本を片手にご婦人は紙に刺繍の練習を若い女性にはまずは基本の刺繍を布で行って貰っている。


紙は街にあるお店からの外注。


仕事に使う針や鋏は働きに来てくれる人達に配布という形で渡し、針が折れた、まだったなどあった場合は申請をするようにお願いをした。


練習用の布は安く市場に出ない布を安価に買い、沢山練習できるように反物で仕入れた。


アパートメントの1室ということで気が付くと薬缶と紅茶の葉が置かれており、各自のコップが置かれており


「エスメ様も、ご自身のコップを持ってきて置いとくといいよ」


と、ご婦人達の言葉に甘え自分用と来客用のティーカップのセットも持ち込んだ。


本格的に動くのはディランとフレディから手紙の返事が返ってきからだとお祖母様にお聞きしたが、ハンナさんの話によると、


「体力に定評のある馬に乗馬上手の方が明け方に出発したと聞きましたので、最短でお返事が返ってくると思います」


ランドリーに行く前の休憩時に教えてくれたので、どれぐらい最短で返事が返ってくるのか楽しみに待ちつつ、


今日は紙刺繍の事も紙漉きの事も考えない日にします。


と、ハンナさんボニーさんには予め話をしていたので、頷いてくれが自分専属メイドとなっていので部屋の壁近くで待機してくれるのが心苦しく、


ソファに座るように進めるも、笑顔で断られてしまい、


「私達はいないものとして扱っていただいて構いません」


とハンナさんの言葉の後には、


「御用がありましたらお声がけくださいませ」


ボニーさんの言葉が入り戸惑いながら頷き了承するも、気になる物は気になりつつ、久し振りに王都から持ってきた魔法石の欠片に魔法を入れる作業を進めた。


大きさも違えば形も違う。


均等にカットされている魔法石は職人さんの手に寄り綺麗に加工されているため高値となるが、その時に出た欠片なら捨てるだけだと言うので安価で使用できるのではと王都から自領までの馬車の中で練習をしていたのを思い出し、久し振りに魔法を発動をさせる。


そういえば、空を飛んでいないなぁ


やりたい事が多くて忘れていたが、暖かくなってきたし空を飛ぶのも気持ち良い時期だろう。


少し時間を作って気分転換に箒に跨るのもいいかもねぇ。


冬にディランと見た街の光景や山々を思い出しながら魔法を発動させると、割れる音が手元から聞こえ、

慌て握っていた手を広げると、魔法石が粉々になっており、


「エスメ様お手をこちらに」


ハンナさんの言葉に顔を上げ手を差し出すと、粉々になった魔法石を回収され怪我が無いかを確かめてもらっていると、ノック音が聞こえ返事をすればイルさんが姿を見せた事に首を傾げれば、


「何かが割れる音が聞こえたと報告がありまして、お怪我や痛みはございませんか?」


走ってきたのか、少し息を乱しているイルさんの言葉に、


「大丈夫です。いつもの事なので気にしないでください」


笑顔で返事を返すも、ハンナさんもイルさんも表情は硬くそこへ桶を片手に抱え込みやってきたボニーさんが足早にやってくるとハンナさんと場所を交代し、


「お手をこちらに」


言葉に従い手を差し出すと、水を張った桶の中に手をつけられ揺すられた。


白く汚れていた手が揺れるごとに綺麗になるのを眺めつつボニーさんの顔を見つけると、表情は強張り顔色が悪く、


「魔法石に魔術を入れると毎回あった事なので本当に大丈夫ですよ。慣れてますし」


少しでも気持ちが楽に慣ればと声を明るめに伝えると、


「さようでございましたか。お怪我がなく何よりでございました」


イルさんの言葉に、


「驚かせてしまいごめんなさい。次からは気を付けます」


じんわりと罪悪感と申し訳ない気持ちが生まれ慌て返事を返すと、イルさんは退出し、ボニーさんは手を洗った桶と布を手に持ち部屋を出ていく姿を見送り、


こんなに大騒ぎになるだなんて。王都の屋敷にいた時とは大違いね。


集中力が切れたのとキリの良い所だったので、ハンナさんの休憩の提案を受け紅茶を淹れて貰いながらぼんやり考える。


王都でも馬車の中でも魔法石を数えきれない程を割ってきた。


その都度マルチダもディランもフレディも慌てる事はなかった。


不思議な事もあるんだなぁ


暖かいミルクティーを飲みながら、王都の屋敷と自領との違いに首を傾げつつ、魔法石はここまでにし次に何をしようと考え、買ったが読んでいない本がある事に気づき、


「ハンナさん。この後は本を読んですごしますね」


そう伝えると、短い返事と共に先程同様に壁の近くで控える姿を見つつ、本を選ぶ為に本棚へと足を進め、


イルさんと街に出かけた時に購入した本の1冊とお祖母様から送られた刺繍本も手に取り、ハーブが載っている本を持ちソファに座り、まずは1番上にあった冒険記を開いた。



第154話


間も無く5月が終わろうとしております。後1ヶ月で半年が過ぎるのですが早すぎませんか?


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

お時間ありましたらお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/

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