姉、同志の気持ちは良く分かる
楽しそうに話を続ける店主さんに曖昧に微笑みながら相槌を打ちながら、聞き流しているが、どうしても自分の評価の話を嬉しそうに話している姿に、
過剰な評価だと思い、聞けば聞く程心が強張っていく。
自分は思い付きとあったらいいなと深く考えないでディランとフレディに話したり、作ったりしているだけで、
評価を貰おう
認めてもらおう
と、思い作っている訳ではない。
なので、注目されていると聞かされると重圧がかかったように重く感じ段々視線を下を落ちていくと、横に居るイルさんの雰囲気が変わったように思い、顔を上げ表情を伺うと、
微笑んではいるが、目が笑っていない様に見え、
手を繋いでいない右手でイルさんの袖を数度引っ張ると、いつもの微笑みで顔を自分に向けてくれたのでホッと息をつくも、
お喋りに夢中の店主さんはイルさんの表情に気がついていないようで、
イルさんか口を開く前に店を出なければ。
動きを止めていた脳を必死に動かし、店内に視線を巡らせ
「店主さん」
何も思い浮かばないまま呼びかけると、歌うように喋っていた店主さんの言葉が止まり、
「いかがなさいましたか?まさか、何か良い案が浮かびましたか!?」
驚きと何かを期待している表情に申し訳なさを感じるが、
「えっと。その、商品を見せていただけたらと思いまして」
無理を承知にっこり笑い、思いついた言葉を告げると
「さようでございました。少々お待ちくださいね」
来店理由を思い出したてくれたのか、身を翻し扉を開け奥の部屋へ入っていく姿を見送り、小さく息を吐くと
「お待たせいたしました」
すぐさま店主さんが布を手に持ち、戻ってきてくれたので
「ありがとうございます」
お礼を告げ、商品を見せて貰う。
商品の紹介と特徴を話してくれる店主さんの言葉に時折質問をするとすぐさま答えが返り、知識の豊富さとドレスと刺繍が大好きなのだと理解できると、
大好きな物や人の事を話す時って、早口にもなるし、自分の速さで話してしまうものよね。
フッとディランの事を話す自分と、微笑みながら話を聞いてくれているフレディの姿を思い出し、親近感が生まれてくると、親しみが生まれついアレコレと質問をしてしまい、
つい、自分にもできるのではないか。と、思い
「無地のハンカチーフをいただきたいです」
刺繍へのやる気が満ち溢れ、告げた言葉に店主さんは微笑み
「いかほど、ご用意いたしましょうか?」
瞬間に商売人としての表情をし訪ねてくれてたので、指を折り欲しい枚数を確認をする。
ディランにフレディ。
お母様とマルチダにお父様。
お祖父様とお祖母様
これで7枚ともう1枚足して
「8枚、お願いします」
店主さんも指を折る本数を数えていたのか、微笑みながら手早く用意してくれ
「こちらはお屋敷に届けさせていだきます」
頷き返すと、イルさんが1歩前に出て支払いの話をするなか、
「あの、イルさん私が支払います」
お祖父様からいただいたお小遣いを出し、告げるとイルさんが微笑み
「畏まりました」
店主さんとの話を断り、支払いをさせくれた。
「本日はご来店いただきありがとうございます」
最後は商売人としての表情で見送ってくれ、店主さんに見送られ次の目的の店を歩いてゆく。
「最初はビックリしましたが、店主さんが刺繍やドレスの事を楽しそうにお話をしているのを聞くのはとても楽しかったです」
先程別れた店主さんを思い出しながらイルさんに話しかけると
「知識の豊富さ、人柄は悪い方ではないのですが、話だすと止まらないのか困ところです」
頷きならの言葉に、
「私、店主さんの気持ち解ります。私もディランの話になると話ことが沢山あって、いつもフレディに聞いてもらってます」
悪い印象な無い事を告げれば、
「よく、使用人の食堂で話していると聞いております」
イルさんも思い出してくれたのか柔らかな雰囲気の中、微笑み頷いてくれ、
「ディランの生まれた事から話せば1日かかっても終わらない自信があります」
自分の中の大切な思い出を大好きな人の話は尽きる事はなく、沢山話せる自信もあり告げれば、
「聞いてみたい気がしますな」
さらりと返ってきた言葉に
「機会があれば聞いてください」
こちらも頷き返し、次の話題へと移っていく。
暫く歩く中、見知った人物の背中が見え、
「ルイ。ミラ」
思わず声をかけると、声が届いたのか歩いていた足を止め振り替えってくれ、
「よう。久しぶりだな」
ルイの言葉に笑顔で頷き
「2人はどこへ行くの?」
つい出た言葉に
「アメを買いに行くのよ」
ミラの言葉に首を傾げれば
「ノア様が指示を出し作成しているアメでございますよ」
イルさんの言葉に出てきた人物を思い出し驚き、イルさんの顔を見ると
「エスメ様が以前食べていたアメとは違い、薬として食べるアメでござます」
思いも寄らない言葉と薬という言葉に慌てミラの顔を見ると
「私じゃないわ。ご近所のお婆ちゃんのお使いよ」
少し会わないだけで大人びた話し方になったミラに寂しさを覚えるも、
「お使いできて凄いわね」
手を伸ばし頭を撫ぜ褒めると、
「いつまでも子供扱いしないで」
そっぽを剥きながらの言葉に、驚きルイを見るも首を振られるだけで伸ばした手を引っ込めてると
「エスメ様、よろしければご一緒に伺ってはいかがでしょうか」
イルさんの提案に頷き、急遽予定を変更しルイとミラと一緒に教会へ向かう事にした。
第147話
連休はご迷惑をおかけし申し訳ございませんでした。ご理解いただきありがとうございます。
1日おきですが更新を続けて行きます、お時間ありましたお付き合いいただけると嬉しいです。
ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。
ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
https://ncode.syosetu.com/n4082hc/




