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姉、貴族の者として対応する

22/12/21 誤字修正をいたしました。教えてくださった方ありがとうございます


イルさんの親友のお店を後にし、再び大通りを歩るく。


先程よりも人の量が増えた様に感じ、賑わいが増した雰囲気に心が躍り忙しく顔を動かし歩く人の顔を見たり、笑い声が聞こえるとそちらに顔を向けたりと、街の人達を眺めると、見慣れない格好をした人とすれ違う。


不思議に思い目で追うと、


「旅人ですね」


イルさんの言葉に身過ぎてきたかと慌て視線を戻すと、


「先程の彼もああして国から国を渡り歩き、様々な体験をしております。お時間がございましたら話を聞きに行くのも良いかと思います」


微笑ましそうに笑いながらの言葉に、


「行きたいです」


頷き、本の話をより深く聞けることに心ときめかすと、


「では、屋敷に戻り次第連絡を入れ、スケジュールを合わせておきます」


笑みを深くし、約束をしてくれた。


独特の雰囲気を持つ人だったけれど、書籍からは沢山の事を学ぶ事ができた。


プリンの話だって彼の書籍から読んで言い訳にした。


もっと他国のことを知りたいな。


好奇心が目を覚まし、様々な事が聞きなくあり書籍の内容を思い出しつつ歩いていると、


「エスメ様。こちらへも立ち寄らせてください」


扉の開いた建物の前で立ち止まり、尋ねられた言葉に頷き目を凝らし建物の中を見ると沢山の人達がおり、不思議に思いながらイルさんに連れられるまま中に入ると、


「おや、イルさんじゃ無いか。久しぶりだねぇ」


ふくよかな女性の明るい声に視線を向けると目が合ったので小さく頭を上げると


「おやまぁ」


驚きの声と表情に、どうすれば良いのか分からずイルさんに視線を向けると、心得たとばかりに頷き返してくれ、


「急な訪問で申し訳ないが、ギルト長はお見えかな?」


イルさんの言葉に驚いていると、後ろの扉から中年男性が姿を現し、


「お久しぶりです。この様な場所もなんですから中へ」


にこやかな挨拶と共に中へ通されながら横目で部屋の中を見ると、掲示物を難しい顔をしながら眺めている人や、立ち話をしている数人の男性達など目に入り、最後に対応をしてくれたご婦人に視線を向けると、


にっこり笑い返してくれた。


案内されるままに部屋へ入ると、



「エスメ様。このような場所へお越しいただき光栄でございます」


膝をつき、騎士の様な挨拶をされ内心突然の事に驚き戸惑うも


「ありがとう。今日はイルさんと買い物へ来ているのです。そう畏まらないでください」


お祖母様から教わった貴族の微笑みで対応をすると、


「さようでございましたか。気に入っていただける店舗があれば幸いです」


微笑みと共に告げられた言葉を言い終えると立ち上がり、ソファに座る様に案内され腰をかける。


横に座るものだと思っていたイルさんが後ろに立ったままで、ギルトに来た意味が分からず微笑みを作り、堂々とした雰囲気を精一杯だしていると、ギルト長がイルさんに視線を向けた後、


「エスメ様の発案し販売をしている生活魔法道具ですが、売れ行きも好調でして、近隣の国にも輸出をし売り上げを伸ばしております」


突然始まった会話に、内心慌てるも、


「そうですか。皆様の役に立ている様で嬉しいです」


貴族の微笑みのまま返事を返すと、


「最近発売か開始したお湯を沸かすポットも売れ行きが良く、販売が追いつかず今販売を停止し在庫を作っている状態で、貴族の方々からは催促の手紙が毎日のように届きます」


「ですが、急がせ作るのは、職人達の負担に大きくなりますので反対です」


初版は売れるかどうかの動向を見るためにどうしても在庫を少なく作り販売をするので、売れ切れてしまう事が多い。


ありがたい事だと思うが、生産量を増やせば職人達の働く時間が増え、心身に負担が大きくなってしまう。


だったら雇う人数を増やせば良いというのも難しく。


職人の経験と勘に頼っている部分もあるので、すぐさま同じ品が作れると言うものでも無い。


勿論、後世に残せるように育成はしている。


後数年すれば、新しく工房を作り生産を増やす事ができる。


申し訳ないが、購入者には待ってもらうしかない。


「ええ。エスメ様のおっしゃる通りでございます」


満足そうに頷いたギルト長の言葉に心の中で安堵の行くを出す。


「幸いな事に、工房にて技術を学びたいと言う者が大勢おりますので働き手には困りませんが、技術の流失は防ぎたいのでどうしても人選が難しくなるのも頭の痛い問題です」


似類商品作成と工房をで作ったと言いふらし偽物を販売する者。


その都度、対策は取ってはいるが現時点では対応しきれていないのが現状だと、勉強して知った。


流石に公爵家の紋に似せた商品は取り締まりをしたが忘れた頃にまた出てくるだろうと、フレディが言っていたのを覚えている。


独占販売をする気は無い。


工房の親方さんから許可が出て、その者の出身地で工房を開く事も許可を出しているのでいずれは他の領からも販売ができる。


領主として領の運営を理解している貴族や、販売を主にしている者は物作りを理解しているで賛同が得られ、


領の代表者として技術を学ぶために紹介状を持ってギルトから工房へ就職ができている。


衣食住もきちんと整えているので人口が増え、納税額も増えている数字を見た。


人が増えれば良い事と悪い事は同じだけ起こる。


お祖父様の采配が良いのか、街の人からは受け入れられているとフレディの言葉に安心をした記憶がある。


「なんでも、新しい試みを始めていると聞いております」


人良さそうな笑顔だが目が笑っておらず、怒っているのか、探りたいのか、両方なのか判断かつかず、


「お耳の早いことで。ですが、試作も上手くできていない状態です」


差し障りなく流そうとするが、


「紙の作成とは目の付け所が違いますな。それに紙に刺繍ですか。我々には思い付かない発想です」


ギルト長は流したい気持ちを理解しているだろうが、流させてはくれないようで、


「生活魔法道具と同じ。ただの思い付きです。ご期待に添えられるかどうかわかりません」


ギルト長からの圧に慄きながらも、なんてことの無い態度と頬に左手の指先を当て困った様に微笑む。


「我々はエスメ様の動きにはどうしても注目をしてしまうもの。困らせるつもりはございません」


ギルト長の引き際だと判断してくれたので、心の中でホッと息を落とし、


「試作が進めば、ご協力をお願いするとお思いますでのその時はよろしくお願いします」


今後のことを考え、協力を頼むと、


「ええ。勿論です。何なりとお申し付けください」


深く頷いてくれた姿を見て、引き際だと判断し


「お忙しい中、突然の訪問でしたので対応してくださりありがとうございます」


別れの挨拶へと舵切りをすると、


「こちらこそ。この様な場所へお足をお運びいただきありがとうございます」


互いに微笑み合い挨拶を終え、店の外まで見送りに出てくれたギルト長にあたらめて礼を言い後にした。





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