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姉、お出かけ準備をする


暖かな日が続いていたが、昨日からの雨と日が落ちてからの強い風で、


「寒い」


凍える程の寒さに、身を震わせ朝の勉強を終わらせ、足早に部屋に戻ると、


「おはようございます」


優しい目尻で柔らかい声でハンナさんから朝の挨拶を貰え、


「おはようございます。今日もよろしくお願いします」


笑顔で挨拶を返し、部屋の中央に立つと


「今日はイルさんと街にお出かけとお聞きしましたので、歩きやすいブーツにディラン様と揃いで作られた生成色のワンピースを選びましたが、いかがですか?」


服を手に持ち、見えやすい様に広げてくれた。


お祭りの時に履いたブーツと、

この部屋で不満そうにそれでも着てくれたお揃いで着たワンピースに微笑み、


「とても素敵です。ありがとうございます」


衣装選びが得意だとテアさんからのおススメで今日の街へ行く洋服を選んで貰い、着替えていると後ろのリボンを綺麗に結んでくれ、


ドレッサーへ座ると、ボニーさんが櫛を片手に髪を整えてくれる中、テアさんが薄く化粧をしてくれる。


紙漉きと紙刺繍の練習の日々、思うように上手くいかず煮詰まりから焦り、ついには針で指を深く刺してしまう。


あまりの痛みで小さく声を出し指を見れば、やってしまったとため息と落胆をする中、テアさんが手早く手当てをしてくれて、その日から治るまで刺繍の練習は中止。


代わりにデザインを養うという事で、お祖母様からファションシプレートの見方から始まり、

流行りの柄や色にドレスの型を聞き、刺繍のデザインの絵柄や各家の紋章や由来を聞き覚えた。


「覚える事が当たり前ですよ」


にこやかに微笑みながら、どこか嬉しそうに紅茶を飲んでいるお祖母様とは反対に、目が回るよな細かなデザインの違いや縫い方と糸や布の名産地。


それだけに止まらず、その土地を収める家の爵位と歴史まで流れるよに語られ、ついて行けずに口を開け呆然をしていると、


「あなたは興味がある事は直ぐに覚えるのにね」


苦笑しながら告げられた言葉に、開いていた口を慌て閉じ、


「すみません」


顔を下げ謝ってしまうと


「ディランとフレディがエスメを甘やかしてきたのは良く解りました」


告げられた言葉に、肩を落とし首を下げると、


「息子もリリーも、やりたい事を心ゆくまでできるようと、心を砕いていたのは理解できましたから、少しずつでいいから興味を持って覚えなさいね」


叱っているのではなくただの雑談なのだと言うお祖母様の雰囲気に、紅茶を飲み落ちてしまった心を諌め、ティーフードであるショートブレットを手で割り一口食べ、


お祖母様の洋服談義を聞きながら、刺繍の絵柄の多さに少しづつ興味が湧いてきた。


そんな日々を過ごす中、イルさんからお誘いいただいた街へ買い物の日が決まり、


「いかがでございますか?」


鏡越しに目が合い、問われた言葉に笑顔で頷き、


「とても素敵です」


少し大人びだ、自分ではない自分が写る鏡を見ながら、


化粧を偉大さに感謝をし、、3人に改めてお礼を告げイルさんが待つ玄関ホールへ足早へ行けば、


「おはようエスメ」


お祖父様からの挨拶に


「おはようございます」


笑顔で返し、


「イルさん、おはようございます。今日はよろしくお願いします」


イルさんの正面に立ち、視線を合わせように見上げ挨拶をすると、


「おはようございます、本日はよろしくお願いいたします」


いつもの方に微笑み挨拶を貰い、お祖父様へ視線を動かすと目が合い、大きな手で頭を撫ぜてくれた後


「今日はエスメを頼むな」


「お任せください」


お祖父様とイルさんの会話を聞きながら、街へ行けるが楽しみではやる気持ちを抑える眺めていると、


「エスメ、小遣いだ」


言葉と共に差し出し出された金色のコインと銀色のコインが数枚が手の上に乗せられ慌てると、


「本でもお菓子でもなんでも、好きな物を買うと良い」


告げられた言葉に頷くことができず居ると、


「旦那様、少し少ない気がしますが?」


同じ様に手のひらに乗せられた金銀のコインを見てのイルさんの言葉にさらに驚き、


「いや、止めらてしまってな」


バツ悪そうに片手を頭に当てながらの言葉に、


「畏まりました。こちらを中心に買い物をいたします」


お祖父様の短い言葉と表情にお祖母様に止められたのだと分かった。


夫婦間で何かあったのかなんとなく想像がつき、微笑ましく思っていると


「エスメ」


階段上からのお祖母様の呼びかけに、顔上げると優雅に階段を降りてくるお祖母様にすぐさまお祖父様が近寄りエスコートをし、


「エスメ、イルから離れては行けませんよ」


正面に立ったお祖母様の言葉に、頷き


「分かりました」


返事をすると


「イル、目を離さないように」


すぐさま隣のイルさんにお祖母様が告げ


「かしこまりました」


力強く頷き返したイルさんとの間に何か音なき会話があった様に感じたが、


「そろそろ、店も開く時間だろう。ゆっくり行っておいで」


お祖父様の言葉に頷き、皆でホールを出て準備されていた馬車へ向かう。


イルさんの手を借り馬車に乗り込み、お祖父様とお祖母様の見送りを受け街へと向かった。


第141話


一雨ごとに新芽が顔を出し、大きくなってゆきますね。植物にとっては恵みの雨の様です。


ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤のディランの心境と日々を書いております。

お時間ありましたらお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/

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