姉、動き出す
ディランやフレディへの手紙を書いた次の日。
朝の勉強を終え、暖かな日差しの元、庭へ出て咲き始めた花々を集める事にした。
「おはようございます」
庭師さんに朝の挨拶をすると、同じく朝の挨拶を返してくれたので
「お花を貰いたのです」
庭のお邪魔をしている理由を告げると、笑いながら
「お好きなだけお持ちください」
許可を貰えたので、お礼を告げ花々を眺めて歩く。
できれば小さい花がいい。
左右に首を動かしながら、目的に合いそうな花を探し歩くが中々見つからず視線を下にし時折膝を曲げ探すと、
ピンク色で茎に沿って螺旋を描くように咲く野草を見つけ、
「あった!」
思わす声が溢れるほど嬉しくて、手を伸ばし摘み取る。
前世でもみたことある花は確かネジバナと呼ばれていたはず。
周辺に咲いているネジバナを摘み取りそのまま視線を左右に動かせば、青色の小さな花も見つけそっと摘み取る。
オオイヌノフグリ
クローバー
数本だけ摘み、他に移動をするとマーガレットが花を咲かせており、様々な色の花も摘み庭師さんにお礼を告げ足速に自室へと帰り
重みのある本の間に使い古した紙を引き花を乗せ、また古紙と重みのある本を載せ、摘み取った花達を押し花にしてゆく。
押し花は時間がかかるが、たくさん作っても紙がうまく行きく分から無いので現状は少なめで作成してゆく。
「よし、次は紙ね」
自室を後にし足早にランドリーでバケツを借り、裏庭へ向かうと雪合戦で戦った騎士の皆が模範試合を行なっているのを横目に、邪魔にならないように隅で
バケツに水魔法を発動させ、水を入れると、古紙をできる限り細かく千切りバケツの中へ入れてゆく。
繊維を柔らかくする為に、古紙を何度かもみ洗いしつつ時折水を変えた。
インクが落ちればと思ったが、落ちた様子はなく
「試作だし、紙になればいっか」
気分を切り替え、ある程度もみ洗いをした後は自室に持ち込み、後は数日かけてふやかすので放置で大丈夫。
再生紙になるけれとお試しなので大目にみて貰えるはず。
後は、再生紙ではなく紙を作っている工房に行けたら良いけれど、
街に行けた時にイルさんに聞いてみよう。
なければ作れば良い。
確か前世で稲科の植物で作れると誰かが言っていたのを覚えている。
本が出回っていないのは紙が高いからだとフレディから教えて貰った。
手書きで複製本を作るからだとも言っていた。
「まずは再生紙を完成させないと」
出来上がったらディランとフレディの手紙に使いたいな。
驚いてくれるかな。
反応が見れないのは残念だけど、離れたからこそ思いついた事。
楽しみができた事で、ざわざわと押し寄せていた気持ちが鎮まり、考えも上向きになった。
「花をどこで飾るかのデザインを決めないとね」
次々に頭の中に浮かんでくる事の手を伸ばし進めてゆくと、ノックの音が聞こえ入室の許可を出すと顔を上げると、中の良いメイドさんの一人で
「エスメ様、晩餐のご用意を致しますね」
あっという間に晩餐の時間になり、
「ありがとうございます。お願いします」
手早く良いされた晩餐を、メイドさんと給仕と会話を共に楽しみ、手早く湯浴みを済ませベットに入り
「明日も紙の続きをしないとね」
明日の予定を立てつつ目を瞑ればあっという間に夢の中へ入っていった。
第135話
藤の花や花水木が開花している木々を見ました。目にも楽しい季節の到来ですね。
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ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
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