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姉、家族に手紙を書く

23/01/28 誤字修正をおこないました。教えてくださった方、ありがとうございます。


お祖母様と庭でのお茶会の後、少し心のざわめきが収まり久しぶりに何度も起きる事なく朝まで熟睡ができ、体が軽く集中力も戻って来たので、キッチンもランドリーも失敗する事なく終え、


無意識にディランの部屋入る事も無く、自室へと入り椅子に腰掛け机に向かう。


引き出しを開け、真っ白の紙を取り出し、次に数本の羽ペンとインクを取り出し机の上に置く。


深呼吸をし数日間の事を思い出し書きたいことを頭の中でまとめ上げるとインクの蓋を慎重に開け羽ペンをインクにつけ送りたい名前を書いてゆく。


お父様、お母様。マルチダ。


季節の挨拶分の後、


領でどの様に過ごしているかを書き、


朝の勉強の事で皆に習っているも最近失敗が続いて迷惑をかけてしまった事。


新しい生活魔法道具をディランにお願いした事。


お祖母様からお父様の子供の頃の話を聞いたこと。


お父様とお母様の出逢いと婚約時の話を聞いた事への感想も書き、


1人だが、変わらず独り立ちの勉強を続けていく考えを持っている事。


王都でのディランの様子を教えて欲しいお願い。


何枚も書いてゆくと次から次へ書きたい事が思い付き、何枚も何枚も書き上げてゆく。


時折先のつぶれた羽ペンを変え、書き上げた手紙はインクを乾かす為に机の端に並べるが場所が足らずソファとテーブルにも並べ終わると、フレディ宛へ手紙を書いてゆく。


季節の挨拶の後に


朝の勉強で失敗してしまった事。


お祖母様に励ましてもらえて事。


新しい使用人の人達と話して友達になれた事。


使用人皆に見守ってもらえ嬉しい事。


新しい事を思い付いたのでできたら報告する約束を書き。


最後にイルさんと街に行く約束をした事も書き加え終える。


10枚を超える枚数になってしまったけど、仕方がない。


本当はもっと書きたい事がある。


でも、手紙は単的にとディランの言葉を守っての枚数だから許してもらおう。


先の潰れた羽ペンの先をナイフで尖らせ、ディラン宛に手紙を書こうと紙に向かうと、当たり前に白い紙が目に入る。


誰よりも筆が乗り止まる事なく文字を書いてゆく。


季節の挨拶の後、


道中に体調を崩していないか。


立ち寄った街で何か楽しい事はあったか?


領は春がやってきて、庭でお祖母様とお茶会をし気持ち良かった事。


冷たかった水が適温に感じる様になった事。


ディランの部屋にある本を読んでいる事への詫びと貸りたい事へのお願い。


ディランへと手紙を書いていると不思議とやりたい事が思い付き書き綴ってゆく。


空を飛びたい。


ピクニックへ行きたい。


山の中に入ってみたい。


川にも行ってみたい。


アレやコレやと書き、最後にイルさんと街へ行く約束をしたこと。


イルさんがお祭りの時の約束を覚えていてくれた事への嬉しさを書き、


街へ行ったら、手紙を書く事を約束し書き終えた。


「よし」


一仕事終えたようにやりきった達成感を感じ、改めて書いた手紙を読み直すと、不意に紙について考えが巡る。


白ければ白い程、紙の価値は上がり、紋章など透かしを知れるとさらに値は上がる。


もっと色や柄あってもいいのでは?


頭の中で前世で子供に牛乳パックで紙漉きをした記憶を掘り起こす。


草や木の繊維を細かくし、水でふやかし、細かな網目の物で梳いてゆく。


確か、押し花や紅葉や銀杏を入れた紙もあったはず。


みんな一緒の紙を送るのは嫌じゃ無いけど、できるなら一人一人違う紙で書きたい。


「街に行った時に探してみようかな」


ぽつりとこぼれた自分の声に頷き、乾いた手紙を纏めイルさんに封蝋を、してもらう為に部屋を出た。


廊下を歩き、初めて行く場所と見る光景に首を左右に動かし興味深く眺めていると


「エスメ様」


初めて聞く声に振り返ると、フレディとよく似た背丈の青年が立っており、


「どちらへ向かわれるのですか?」


どこか緊張した表情と少し硬い声での質問に、


「イルさんに手紙の封をしてもらう為に、部屋に向かっています」


お同じく初めて話す人物だけど微笑みながら返すと、緊張が解けたのか表情が柔らかくなり


「そうでしたか。では、私はイルさんの部屋へご案内いたします」


胸に手を当て礼をとりながらの言葉に


「ありがとうございます。お願いします」


頷き返すと、半歩前に歩きながら軽く会話しながら歩くとあっという間に到着し、代わりにノックまでしてくれた事に小さな声でお礼をを告げると、中から入室の許可が出る声が聞こえたので2人で入室をすると、


「これはエスメ様、いかがなさいましたか?」


書物をしていたのか机から視線を上げ目が合った瞬間に椅子から立ち上がり、出迎えてくれたイルさんに


「忙しい中、突然お邪魔してしまってごめんなさい」


先触れも出さず、許可も無く来てしまった事に気付き慌て謝りを入れると、


「この様な場所にお足を運んでいただかなくても、お声をいただきましたら直ぐに参ります」


普段通り優しい微笑みで告げられた言葉に、


「ごめんなさい。次から気を付けます」


自分の立場を思い出し、何も考えずに行動をしてしまった事への謝りを入れると、


「そのようにお願い致します」


自分の行動に許しをえられた安堵すると、イルさんは案内してくれたフットマン見習いの彼に仕事を言い渡し、仕事に戻るように告げ退出する背中を見送った。


「エスメ様、こちらへ」


進めらたソファに腰掛け、イルさんか座るのを見届け


「イルさんに蝋封をお願いしたく来ました」


手短にとお願いことを告げると、


「ディラン様へお手紙ですか?」


ほがらかに微笑みながらの言葉に頷き、


「お父様、お母様、マルチダと、後、フレディにも描きました」


手に持っていた手紙の束を並べながら答えると、


「これは。沢山書かれたのですね」


「沢山、話したい事があったのですが以前ディランに注意されまして、これでも短く書いたのです」


ディランとフレディ以外は10枚程で纏めたがどうしても2人には言いたい事が沢山あり、10枚を超えている。


不満が声に出てしまったのか、


「沢山書く事がある事は良いことです」


ソファから立ち、先程まで使っていた机の引き出しから封蝋の道具と封筒を手に取り、


再びソファに腰掛けると、お父様宛ての手紙を確認しながら


「さて、どう封蝋を致しましょうか」


運んでいる途中に封蝋が割れない様に、手紙をどのように封筒にいれるか思案するイルさんを眺めつつ、


「フレディにも同じことを言われたことがあります」


イルさんの言葉を切っ掛けに思い出し笑いをしながら告げると、


「さようでございましたか。孫に負ける事があってはいけませんな」


数度頷いき帰ってきた言葉に首を傾げるも、手早くお父様の手紙を封筒に入れ、封蝋をしてくれた。


書いた人数分の手紙に封蝋をしてくれ


「手紙はお預かりをし、明日届ける様に手配致します」


イルさんの言葉に頷き


「ありがとうございます。お願いします」


お礼を告げ、少し雑談をしたのち自室へ戻るとばんさんの時間になっており、


「お誘いありがとうございます。ですが、今日から自分の部屋でいただきます」


伺いに来てくれた仲の良いメイドさんに断りのお詫びと、準備をお願いすると手早く用意してくれ、


一人での晩餐を楽しんだ。




第134話


夜中のラーメンが背徳感でとても美味しく癖になりそうで危機感を感じております。


ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

お時間ありましたらお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/

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