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姉、新しい日常の始まり


ディランとフレディを見送りをした後、自室に戻りソファに座ると自分以外の音の無い部屋がいつも以上に静かに感じ目を閉じた。


暫くすると名前を呼ぶ声が微かに聞こえ意識を向けて見ると、仲の良いメイドさんの一人の声で慌て目を開け背凭れから体を離し


「ごめんなさい」


謝りを入れると、


「大丈夫ですよ」


柔らかな微笑みと共に小さく首を振り返してくれたので、視界の端に見える窓を見るといつの間にか暗闇が広がっており、


「晩餐はいかがいたしましょう?」


聞こえてきた言葉に、


「いただきます」


頷き返事を返すと


「直ぐに準備いたしますね」


一礼の後、手早く準備を整え並べられた食事を楽しむ。


久しぶりの一人での晩餐をゆっくりといただき、湯浴みを済ませ


「おやすみなさいませ」


3人のメイドさんから夜の挨拶を貰い同じ様に


「おやすみなさい」


返事を返し、ベットに潜り込んだ。


昼寝をしてしまい寝れるか心配もあったけど、気が付くと起きる時間に目が覚めいつもの様にメイド服に着替え、いつもの様にキッチンへ行き仕事を始める。


窯に火を入れ、井戸で水を汲み、使用した調理器具を洗えば、あっという間に朝食の時間となり、


「ありがとうございます」


手渡してくれたクックにお礼を告げ、先にいるはずのフレディを探すも姿が見えず立ち止まっていると


「エスメ様、私達とご一緒に食べませんか?」


初めて話すお祖母様専属のレディースメイドさんから声をかけて貰うも、再び視線でフレディを探すが、


そうだった。昨日から王都へ行ってしまったのだったわ


居ない事に気付き、


「是非、お願いします」


微笑みながら頷き、楽しそうに会話をしているテーブルへ混ぜて貰い様々な話を聞き頷き朝食をいただくと休憩時間はあっという間に終わり、ランドリーで自分の洗濯物を洗い終わりシーツも終わると、不思議に思い出入り口を振り返り首を傾げる。


「いかがなさいましたか?」


メイド長の言葉に視線を戻し


「いえ、フレディが」


そう言いかけて、慌て


「いえ、なんでもありません」


首を振り、今だ心配そうにしているメイド長や周りの皆に聞こえるよう


「他に何か私にできる事はありませんか?」


少し大きな声で尋ねるも、


「本日は今のをもって終了になります」


メイド長に一言に加え


「今日もありがとうございました。明日もよろしくお願いいたします」


終わりの挨拶を貰ったので


「こちらこそありがとうございます。明日もご指導よろしくお願いいたします」


礼をしランドリーを後にした。


道すがら会うハウスメイドさん達と挨拶を交わし、いつもの様にキッチンでハーブティの準備をワゴンに乗せ、軽い足取りで毎日見ていた扉をノックするも返事は無く、


「ディラン、入るわよ」


入室の許可を出す声が無いまま扉を開けると、部屋の掃除をしていたメイドさんの驚いた表情と目が合い、


「エスメ様、いかがされましたか?」


掃除をしていた手を止め戸惑いなからの問いかけに、ディランが居ない事を思い出し、自分の行動の恥ずかしさと、驚かせ掃除の手を止めてしまった事への申し訳なさが混ざり


「あの、えっと」


気まずくなり視線を彷徨わせ


「あ!本を、本を取りにきました」


誤魔化す為に咄嗟に出た嘘を告げると、微笑み返され


「掃除をおこなっている所でよければ是非、お入り下さい」


快く招き入れて貰った事へ、後に引けなくなりワゴンを壁側に置き手早く数冊抜き取り


「掃除の邪魔をしてしまいすみませんでした」


お詫びお言葉と共に


嘘をついてしまいごめんなさい。


心の中で、嘘をついた事へのお詫びもすると笑顔で


「大丈夫です」


返事を返して貰い、気まずさも伴い足速にディランの部屋を出て、自分の部屋へと戻った。


ディランの部屋から持ってきた数冊の本をテーブルに置き、倒れる様にソファに座り背凭れに身を預け目を閉じる。


ディランとフレディを見送った事を思い出す。


「まだ、王都には着いて無いよね」


行きの道中の時間を思い出し逆算してもまだ半分も行っていない事も、旅への計画も聞ずに過ごしたので今、馬車がどの辺りなのか分からない。


1人でいるとゆらりと揺れる感情に囚われそうになり、大きく息を吐く。


「よし!こういう時は動くのが1番よ」


ソファから行き良いよく立ち上がり、机に向かうと厚みがある数冊の本が置かれており、1冊づつそっと上から移動されせると、押し花にされたスミレとネモフィラが姿を表す。


指先で乾燥具合を確かめ、


「まだ早いかな?」


乾燥が足らず、茎に瑞々しさが残っている感触に再び本を乗せ、再びソファへ移動し腰けディランの部屋から持ってきた本を適当に手に取り本を開く。


初めて読む本にすぐさま集中し、時間を忘れて読み耽ってしい気が付けば部屋が真っ暗で、慌て火魔法を発動させ部屋に明かりを灯し、ランプに火を入れた。


もしかすると晩餐の声がけも貰っていかもしれない。


足速に部屋を出てキッチンへ向かうと、


「エスメ様、晩餐はいかがされますか?」


道中で会ったメイドさんの言葉に、


「ありがとうございます。自分で準備しますので大丈夫です」


準備を終え最後の仕上げをする為に待機していたクックに謝り、朝食を食べているテーブルに着き


「いただきます」


手を合わせ小さな声で言った後、周りの会話に耳を傾けつつ食事を楽しみ手早く終え、使用した皿とカトラリーを洗い部屋へ足速に戻り、湯浴みを済ませベットに入った。


いつもより早い時間にベットに入ったので眠気は一向にやってこず、寝返りを何度も打ち目を閉じるも逆に目が冴えてしまい、ため息を落とし、本をベットに持ち込み寝転びながら物語の世界を楽しんだ。



第133話


新しい事が始まる季節。皆様いかがでしたか?


ブッマークや評価、いいねボタンをいただきありがとうございます。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤のディランの心境と日々を書いております。

お時間ありましたらお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/

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