姉、お祖母様の教えを実行する
「ありがとうございます」
食後の紅茶とティーフードか置かれサーブをしてれた方にお礼を言うと小さく驚いた表情をした後、微笑みと共に一礼をし、部屋を出ていった。
もし、おかわりを頼むならフレディにお願いするということね。
気心知れた人達以外が退出すると部屋の雰囲気が和らぎ、ディランと共に紅茶をいただく。
香り高く、爽やかな印象がする香りに、柔らかい渋みととても美味しく、一口飲みティーフードと用意された一口で食べれる程のクッキーをいただき、バターが口一杯に広がりを楽しんだ後、再び紅茶をいただく。
紅茶の渋みが口の中をリセットしてくれ、再びクッキーに手が伸びてしまう。
魅惑で危険な無限ループだわ。
心の何処かで危機感を感じ視線をクッキーからディランへ向けると、口に合ったようで美味しそうに紅茶を飲んでいた。
どこの茶葉か聞いて、フレディにお願いしなければ。
ディランからフレディを探すために視線を動かすと壁側に控えておりすぐさま目線を合わせ、ティーカップを見えるようにあげると、心得たとばかりに頷き仲の良いメイドさんに何かを告げると、頷き部屋を出ていく姿に、
ありがとうございます。
お願いします。
心の中で手を合わせお願いをしつつ、再びディランに目を向けると
「お疲れではありませんか?」
心使いをくれる言葉に
「ありがとう。馬車の時間にゆっくりもできたから大丈夫よ」
手を振ることに疲れた、頬が痛いなどはディランの姿を目に入れれば瞬間に無くなり、体の奥から元気と気力が湧いてくる。
「ディラン疲れたでしょう。出発までゆっくりしましょうね」
自分の心内は見せずに微笑みながら伝えると
「ありがとうございます」
微笑んでくれた表情が今日も可愛く、心と体の隅々まで満たされていく中、
「昨日の子に会えて嬉しかったわ」
先程の出会いを思い出し告げると、
「どなたかには会えるのではと思っていましたが、会えるとまだ嬉しさが違うものですね」
ディランも嬉しかったらしく、笑みを深くしながらの言葉に、
「また、この後も皆に会えるかしら?」
休憩後は街中を馬車が走り代表者のお宅にミモザを受け取りに行く。
家は難しいだろうけど、道中に顔を見れたら嬉しい気持ちを言葉に含ませ告げると、
「この後は街道を走りますので、もしかするとルイやミラの姿も見る事ができるかも知れません」
ディランも少し期待をしているようで会える事を楽しみにしている色の言葉に、
「ルイのお母様にカバンのお礼を伝えないとね」
昨日、貰ったカバンはお菓子を取り、早朝のランドリーで綺麗に洗った。
その時には気づかなかったが角辺りにミモザの刺繍がされておりとても温かみを感じるカバンに思わず感想を溢してしまったのを思い出しながら告げれば、
「そうですね。直接お礼を伝えられれば良いのですが、無理なら屋敷の者に届けて貰いましょう」
ディランの言葉に、頷き
「何かお礼の品も探さないとね」
カバンと共に気持ちの品も探したいことも伝えると、
「そうですね。あまり高価な品物ではなく、ご家族で使っていただけるような品が良いですね」
頷きと共に瞬時にお礼な品の条件を考え出してくれたディランに賛同し、
「そうね。何がいいかしら?」
頭の中であれこれと候補を出しディランと話合うもノックの音が聞こえ、ディランの許可を出す言葉の後にフレディが対応に出ると、
「ディラン様、エスメ様、神官様より間も無く出発の時間だと先触れが届きました」
言付けだけだったようでフレディの言葉に、ディランと共に頷くと
「エスメ様こちらへ」
壁に控えていたメイドさんに声をかけられ、フレディに椅子を引かれ立ち上がり
「ディラン。お化粧直しをしてくるわね」
同じ様に立とうとするディランを言葉で制し、足早に案内されるまま別室へ入り用意された椅子に座ると、
外気で少し乱れてしまった髪を整え、化粧を直し、最後に食事でしまった口紅を引き直し終了となる。
「ありがとうございます」
手早く綺麗に直してもらえた事へのお礼を告げると
「後半も頑張ってください」
笑顔で応援を貰えた事が嬉しく
「ありがとうございます」
笑顔で頷きお礼を伝えると、ノックの音が聞こえたので返事をしメイドさんに対応しても貰うとディランとフレディが姿を見せ、
「姉様、出発のお時間です」
ディランの言葉と差し出された腕に手を乗せ、
「後半も頑張ろうね」
「はい。ご無理はせぬようお願いします」
お互いの言葉に頷き、見送りにきてくれたレストランの店主にディランと共に礼を告げ馬車に乗り込み、
フレディやメイドさんにレストランの店主やスタッフさんに見送られ馬車が出発した。
残り2箇所は大通りに面したこの街1番大きいの商会と歴史あるホテル。
前半は街民の代表者のご自宅は持ち回りで代表をしているとディランから習ったがこれから行く所は、代々の当主と深く付き合いがある人物。
自然と緊張し、振る手が硬くなってくるも視界に入るミモザのリボンに勇気を分けて貰い貴族の微笑みで歓迎をしてくれる街民の声に応える。
時折昨日一緒に街を歩いた子供達が視界に入り、子供達に向かって手を振ると驚きの表情で固まる子や恐る恐る手を振ってくれる子など反応はまちまちで、心の中で苦笑しながらも貴族の笑みを絶やさず商会へ到着した。
対応は変わらない。
ディランを主としてミモザを受け取る。
「初めまして。お会いでき光栄でございます」
商会の代表者から挨拶を受け、
「初めまして。出迎え感謝する」
ディランが次期当主として返事を返すのをディランの足を引っ張らない様に笑顔に全神経を集中させ、時折向けられる視線と会話に微笑んだり頷いたりし対応をする。
気のせいか、私に何か伝えたいのか視線とそれを匂わす言葉が聞こえるも、口を開ける前にディランが上手く返してくれるので微笑みのみで終わらせ、
「確かに受け取りました」
ミモザを受け取った際、店主代表の方から手を撫ぜられた気をしたが、思い違いかと微笑みを崩さないように、ミモザを受け取り神官さんへ渡した。
少し違和感を感じたがそれを見せないようにお祖母様の教えを忠実に守り、失礼にならい程度に速やかに離れディランのエスコートで素早く馬車に乗り込み、貴族の微笑みを貼り付け別れを告げた。
残りは街の防衛も兼ねているホテル
商会からは割と近く、馬車に乗る時間も少なく到着すると、両親とよく似た年齢のご夫婦が出迎えてくれ
「初めまして」
「初めまして。出迎え感謝いたします」
4回目も同様にディランを主とした挨拶を互いに交わし、商会での会話の半分で終わりご婦人からミモザを受け取る。
「確かに受け取りました。肌寒い中、ご協力いただきありがとうございます」
優しそうに微笑むご婦人にお礼を告げると、微笑みを深くし
「長時間のご移動、お疲れ様でございます」
労りの言葉をいただけた事が嬉しく
「お心使いありがとうございます。皆様とお会いできとても嬉しく、疲れなどございませんわ」
貴族の微笑みの中で少しだけ自分の色を足し伝えれば、
「それは何よりでございます」
良好な雰囲気の中、別れの挨拶をし神殿へと向かう為に馬車へ乗り込んだ。
街中を抜けると手を振る人たちも少なくなるも、いつ、どこで手を振ってくれているか分からないので視線か田畑が広がる方へ向け続ける。
時折畑作業の手を止め、遠くから手を振ってくれる人やお辞儀をしてくれる人に手を振りかえしていると、神殿の正面に到着し、馬車を降りると神官さんから先程預かったミモザの1束を手渡され、ディランと歩調を合わせ祭壇へと捧げ、祈りを捧げた。
「こちらへ」
街の移動中に支えてくた神官さんの言葉の案内について行くと朝と同じ部屋へ案内され、数時間ぶりのフレディとメイドさんの姿に緊張していた気持ちが解け
「時間になるまでこちらでお待ちください」
一礼をし去ろうとする神官さんに
「道中手助けをいただき、ありがとうございます」
引き止めお礼を告げると、驚いた表情の後
「いえ、お役目ですので」
どこか恥ずかしそうに告げる姿に
「初めてで戸惑うことが多かったが、貴方の手助けで無事終える事ができました。ありがとうございます」
ディランのお礼を告げると、戸惑いながらどこか嬉しそうに
「お役に立てて光栄です」
返事と共に1礼をし退出をする姿を見送ると、
「ディラン様、エスメ様、お疲れ様でございました」
フレディの労りの言葉に凝り固まった体がら力が抜け、
「ディラン、色々助けてくれてありがとう」
思わずディランに抱き付きながら礼を言うと、背中に撫ぜてくれ
「姉様もお疲れ様でした。お体も冷えたかと思いますので紅茶をいただきながら休憩しましょう」
ぎゅっと抱き締めてくれた後、ソファに案内され腰を下ろすとフレディがさりげなく紅茶を置いてくれメイドさんがティーフードを置いてくれた。
「ありがとう」
準備てくれたフレディとメイドさんにお礼を告げ紅茶を一口ものホッと息を零した。
第123話
桜の蕾が色付いているのを見ました。間も無く桜が咲く時期になりますね。
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ネタバレを含みますが短編に本編終盤のディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
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