姉、小さな恋心にギュンギュンする
次のお宅へお邪魔するべくディランと手を繋ぎ歩く中、視線を動かしディランの横顔を見るとほんの少し口角を上げ嬉しそうに微笑んでおり、
そんなに嬉しかったのね。
左腕には宝物の様に大事に抱え込んでいるお菓子に視線向けた後、街並みへ視線を向け、
落ち着け。
落ち着くんだ。私。
ディランの普段見た事無い表情を次々と見ることができ、心も脳内一杯一杯になり、心の中でフレディに助けを求める。
こんなに可愛くて、愛くるしくて、世界一可愛いディランが今、ここに居るのにフレディとこの気持ちを分かち合えないだなんて。
心の中で拳を作り同士のいない寂しさと語り合えない感情の整えができずにぼんやりと周りの風景を眺めていると、
「え?」
とても見慣れ、心の底から今すぐに会いたいと思っていた人物が視界の端に見えた気がし、驚き声を零してしまう。
今、フレディと良く似た人がいた様な?
改めて確認する為に、見えた方向に顔を向けるも、ディランから軽く力を入れ手を握られ慌て顔を向けると
小さく首を振られ、
あ!内緒で付いて来てるのね。
フレディとディランの行動に納得し、理解したと意味を込め同じ様に軽くディランの手を握り返す。
そうよね。フレディはデイランの従者だから、留守番なんて事はしないわね。
1人脳内で納得し
という事は、さっきのディランのはにかんだ表情や、少し緊張しながらも老夫婦からお菓子を貰った姿も見ていたはず。
帰ったら語り合おう。
絶対、話す。
決意を新たにし、ルイの指示に従い次のお宅へお邪魔をするとご年配のご夫婦が出迎えてくれた。
子供達のお菓子を受け取る嬉しそうな表情に頬を緩ませ見守っていると自分達の番になり、ディランから先にいただいたお菓子を受け取り、
2回目だし少し慣れてきたねの。
緊張は無いものの少しぎこちないく固い動きのディランの姿を網膜に焼き付け、嬉しそうに帰ってきたディランに預かったお菓子と自分のお菓子を手渡し、
「こんにちは」
挨拶をし、短い会話をしたのちお菓子をいただく。
「ありがとうございます」
微笑みお礼を告げお菓子を受け取りディランの元へ戻ると互いに2つに増えたお菓子に微笑み片手に持てない量に苦笑をしていると、
「エスメ、ディラン。これに入れるといいぜ」
ルイから差し出された口をかけてくれた手提げカバンに、ありがたく思うも
「いいの?」
首を傾げ訪ねると、
「ああ。誰かが忘れたり、落として失くしたりするかもしれないからて、母さんに持たされたんだ」
遠慮するな。
快活に笑いながらの言葉に遠慮なく入れると持ち手を手渡され、ディランも同様にルイの開けた手提げカバンにお菓子を入れ手に持った。
よくよく見れば亜麻色の綿麻生地ので作られており、持ち手も肩から掛けるには丁度良く、
「ルイ、ありがとう。お母様にもお礼を伝えてくれるかしら?」
マチも程良くあるためお菓子も崩さず置くことができ、ルイにお礼を告げると照れ臭そうに笑い
「分かった。伝えとく」
言い終わると駆け足で子供達の先頭に戻り、人数確認をし歩き出した。
何件か周り、鞄の中にある程度お菓子が入ると、お菓子がお貰える嬉しさと喜びが治ると次は好奇心が出てきたのか、前を歩いている女の子達がチラチラとディランの様子を伺うように視線を向けている姿に、
分かる。
分かるわぁ。
ディランかっこいいもんね。
みんな見る目あるわ。
話しかけたいと空気と態度で表している女の子達にディランも気付いており、戸惑いと困惑し助けを求めるように見上げてくるので、
「お話してみてはどうかしら?」
繋いでいた手を解き、微笑みながら伝えると、
「ですか、何を話して良いのか分かりません」
戸惑いながら返ってきた言葉に、
「多分、皆、聞きたい事が沢山あると思うから、その質問に答えてあげるのか良いと思うわ」
不器用で真面目な所も可愛いなぁ
そんな事を考えながら返事を返せば、頷く姿に
「困ったらお姉ちゃんが助けに行くから、行ってらっしゃい」
背中を軽く押せば、頷きと共に前へ歩き出す。
すぐ様、女の子を中心に囲まれ、様々な質問に戸惑いながら答える姿は
「可愛い」
ポツリと心から溢れ出た言葉を音に出すと、
「エスメはディランの事が好きなんだな」
いつの間にか隣に来ていたルイの言葉に、
「ええ。私の世界で1番可愛いくて大切な弟ですもの」
笑いながら伝えると、
「そっか」
短い返事だったが、言葉の意味の全てを受け取ってくれた様でその後は話しかけられる事は無く、ディランに意識を集中させた。
「ディランの好みの女性像はどんな人?」
突然聞こえた質問に、驚きつつも
なんて良い質問なの!?
私も気になる。
フレディとお母様、お祖母様にお伝えしないと。
将来のお嫁さんの参考にと行き込んで見ていると、ものすごく困惑した表情のデイランに今か今かと待っていると
「ディランの好みはエスメじゃねぇの?」
隣から聞こえたルイの言葉に驚き顔を横に動かせば、
「と、いう事にしとけ」
さらりと話題を終わらせてしまい、
「ほら、急がないと神殿着か無くなるぞ」
話に集中していた為が歩く速度が遅くなっており、ルイの言葉に皆が早足で歩き出す。
お祖父様のご贔屓のレストランでお菓子を貰い、お祖母様のお気に入りのカフェでもお菓子をいただき、街1番大い商会でも持ちきれない程のお菓子をいただき、
「これで、神殿に行けば終わりだな」
これ以上は入らないという程に膨れ上がったバックを肩にかけ、ルイの指示通りに少し早足で歩く。
疲れも出始めてきた子供もおり、時折励まし合いながら歩くも、体力が無くなってくると反射神経も鈍くなり、
「ミラ!大丈夫?」
ルイと共に先頭を歩いていたミラが歩く速度が遅くなりついに、1番後ろにいる自分の隣で歩いて居ると何かに蹴躓いたのかそれとも自分の足に縺れたのか、転けてしまい慌て抱き起こすも
「もうやぁ。あるけない」
大粒の涙と共に震えた声で言葉に、
「そうね。いっぱい歩いたもの。疲れちゃったわね」
膝を曲げミラと視線を合わせれば、
次々と涙がこぼれ、
「ひざいたいから、おうちにかえる」
転けた際に擦り剥いてしまった膝を見れば、砂埃と共に少し傷ができており
「これは痛いわね」
思わず、真顔で言葉をこぼしてしまい、声を上げて泣くミラを心配し子供達全員がミラの様子を見る為に集まり、
「ミラ、大丈夫か?そんなに痛く無いだろ?」
ルイの言葉に、
「いたいもん!あるけないの!」
ミラの感情が爆発した様に大きな声に、
「ルイ、ミラノ膝を洗いたいわ。どこかで水を貰えないかしら?」
ミラの背中をさすりながらルイに伝えると、鳴き声に心配し様子を見にきてくれた大人の人が手渡してくれ、
「ミラ、今から膝を綺麗にするからね。少し痛いかもしれないわ」
洋服を握り締めがら、流している涙はディランがハンカチで拭っており、
「ミラ、膝についた砂埃を落とそう」
ディランの言葉が届いたのか、頷いたのを確認できたので慎重に膝に水かけハンカチで拭ってゆく。
痛みを感じるのか時折体を揺らすも耐えてくれ、
「さ、綺麗になったわ」
汚れてしまった膝を拭き、次に手のひらを拭き終えるミラの顔を見ると大粒な涙は止まっているも、
「やだ。あるきたくない」
いやいやと伝えてくるミラに苦笑し、胸に結んでいたリボンを取りミラの怪我をした膝に結び、リボンを作ってあげる。
ミモザ色のリボンは不自然でも、ミラの気分は少し治ったものの歩きたく無いと言い続ける度に
歩かないと神殿に行けないんだぞ。
そんなこと言っていると家にも帰れないぞ。
ルイも自分なりに励ましているのだが、ルイの1言1事がミラの機嫌を損ねてゆくのがわかり、ディランにお菓子が入ったバックを手渡すつもりで手をバックへ持っていくも、
「姉様、申し訳ありませんが僕のバックを持っていただけませんか?」
ディランの言葉に、何を考えているのかが分かり
「大丈夫?」
体の小さなディランより大きな自分の方が安定するのではないか思うも、
「姉様よりも体力も力もあります」
その言葉通り、座り込んでしまったミラに手を広げ、
「ミラ。僕が抱っこするので神殿へ行きましょう」
視線を合わせるために膝をおり、柔らかく微笑みながら告げたディランの言葉にミラは勢い良く顔を上げ、両手を広げた。
慎重にミラの体を抱き上げ、安定できる位置へと動かし、
「ルイ、行きましょう。日が暮れてしまいます」
呆れ見守る体制に入っていたルイに声をかけ歩き出すと、皆が慌てディランの後を着いていく。
いつの間にか大きくなって。
あっという間にお兄ちゃんになってしまったわ。
ふらつくことも無くしっかりとした足取りで歩く後ろ姿とミラが機嫌が治ったのかニコニコ笑っている姿を後ろから眺め、
どうしてこの場にフレディが居ないのかなぁ。
隠れながら心配そうに見守っているであろうフレディに自分の感情を話せないもどかしさがどうしても止められなかった。
第119話
昨夜の地震は大丈夫でしたか?揺れも長く深夜という事もあり怖い思いをされた方々もお見えかと思います。
こちらも少し揺れましたが被害は無く済んでおります。
少しでも気が晴れることができればと話を上げました。気持ちが少しでも和らげば幸いです。
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ネタバレを含みますが短編に本編終盤のディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
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