姉、街へ
23/01/28 誤字修正をおこないました。教えてくださった方、ありがとうございます。
お願いします!
ディランとの手引き駆け込むように乗った馬車の行者へお願いし馬を走らせてくれるが、行きより少し早く流れる風景を眺め、祭りが始まっている街へと気持ちを馳せる。
「姉様、落ち着いてください」
隣から聞こえてきたディランの言葉に
「初めてのお祭りなのよ?街がどんな感じになっているの。どんな屋台が出てるのか?とか」
楽しみにする気持ちが抑えきれず、少し早口で告げると、
「街は気になりますが、イルから話は聞いておりますので少しですが分かります」
返ってきた答えに、
ディランは勉強家ね。かっこいいし頼もしいわ。
心の中で普段と変わら無い表情と声で話すディランを見つめて言えると、ディランと目が合い
「イルから聞いた話ですが、お聞きになりますか?」
少し首を傾げながらの言葉に、
「心使いありがとう。でも、楽しみにとっておくわ」
笑顔で返し、
「屋台で皆へのお土産を買えたらいいわね」
話を続けると、
「そうですね。フレディが使用人から聞いた話を纏めてくれていますので、回れるだけ行きましょう」
頷きと一緒に笑顔で告げられた言葉に、大きく頷き、
「フレディも食べたい物や気になり物があったら教えてね」
正面に座り、自分たちのことを見守ってくれていたフレディにも話かけると微笑みと小さな頷きが返ってきた。
皆で楽しめる事に更に気持ちが膨らみ、頬が緩むのを抑えきれなかった。
屋敷に戻ると、ディランの手を取り馬車から飛び降り、外で出迎えてくれたイルさんに
「ただいま戻りました」
早口で挨拶をすると、
「おかえりなさいませ。準備を整っておりますので中へ」
挨拶の言葉の後、屋敷へと歩き出したイルさんの背中を追いかけ、それぞれの自室へと入れば、
「お帰りなさいませ」
朝、身支度を手伝ってくれたメイドさんとお針子さん達に促され部屋の真ん中に立つと、
「失礼いたします」
メイドさんの言葉と後すぐにドレスのリボンが解かれドレスが脱がされ、コルセットの紐が緩みお腹への圧迫が緩くなる。
ホッと息を吐き、息を吸うと
「ご気分はいかがですか?」
朝ご飯を食べたすぐにコルセットを締め付けていた事へ問いかけに
「ありがとうございます。大丈夫です」
笑顔で返事を返すと、
「それはようございました」
微笑みと共に頷き返してくた。
沢山の手は戸惑う事なく動き、ドレスからワンピースへと着替えながら結われた髪を再び櫛を通しサイドを少し取り頭の後ろで1つにしてくれている中、化粧を落とし、新たに化粧水や乳液など塗られた。
町民に馴染むようにと考え作られた洋服は、街で皆が着ている綿生地だし、化粧だって街のいる同じ歳の子を見習って無し。
口紅だけでもとメイドさんに気遣いをもらったが、屋台で食べ物を食べると落ちるのでと申し訳ないと断りを入れた。
やるなら徹底し無いとね。
少しでも服の生地がいいの物や化粧1つで違和感が出てしまい、街で馴染めなくなると楽しみが減ってしまう。
ディランには申し訳ないけど理由と共に伝えれば、頷き賛同してくれた。
フレディもその方がいいと賛成してくれたしイルさんも笑顔で頷いてくれた。
「できました」
考えに集中してしまっていた意識を戻し、横で鏡と共に立っているメイドさんや、後片付けをしてくれているお針子さん達に聞こえるよう
「ありがとうございます。行ってきます」
お礼を言い終わると共に足を動かし、開けられた扉をくぐりディランの部屋をノックした。
「お待たせいたしました」
いつもならフレディが対応してくれるが今はディランが対応に出てくれ、エスコートをし玄関へ向かった。
「姉様、お疲れではないですか?」
すれ違うメイドさん達に挨拶を貰い返す中でのディランの言葉に
「ありがとう。私は楽しみですぐに向かいたいけどディランは疲れて無い?大丈夫?」
頷き、聞き返すと
「お心使いありがとうございます。僕も楽しみにしておりましたすぐに街へ行きたい気持ちです」
普段より幼く見えた笑顔での返事に、愛おしく思いながら、半歩後ろを歩くフレディに視線を向けると
「行きましょう」
小さな声での返事が返ってきたので頷き返し、開けられた扉を通り外へ出るとイルさんが馬車の前で待っていてくれた。
「イルさん」
3人、小走りでイルさんに駆け寄りと、
「ディラン様、エスメ様、良くお似合いです」
微笑ましそうに告げられた言葉に
「ありがとうございます。ディランの可愛さが隠し切れなくて心配です」
早口で告げたお礼と付け加えた言葉に、
「さようでございますな。フレディには十二分に注意させましょう」
笑みを深め告げられた言葉に微笑みで返すも、
「イルさんは着替えないのですか?」
出迎え時と同じ服装に首を傾げると、
「本日は旦那様も奥様もご不在でございます。屋敷に残りご一家のお帰りを待つもの家令の仕事の一つでございます」
白い手袋をはめた左手を胸に添えて、告げられた言葉に返事を返せずにいると、
「イルが屋敷に残ってくれるのなら心強い。申し訳ないが後を頼む」
ディランが頷き、代わりに返事を返えしてくれ馬車へと乗るようにエスコートされた。
「沢山の思い出話を聞かせていただける事を、楽しみにしております」
ディランの後に続きフレディも馬車へ乗車し、外に居るイルさんからの言葉に、
「分かりました。めいっぱい楽しんできます」
一緒に行けるのだと思っていた為に寂く思うも、笑顔で頷きと返事を返すと、イルさんが馬車の扉を閉めて、ディランが出発の合図の音を出すと馬車はゆっくり動き出した。
「イルさんも一緒に行けるのだと思っていたわ」
いつかのディランの部屋での会話でその様な話をした記憶があった事を告げると、
「爺様は家令の仕事に誇りを持っております。もしかすると行ける予定だったが家令としての仕事が入ったかも知れませんね」
フレディからの言葉に
「そうね。そうかもしれないわね」
寂しさが溢れていたがフレディの言葉に納得をすると、寂しい気持ちが消え去り、
「沢山話が出来る様に楽しまなくちゃね」
新たに気持ちを入れ替えと気合いを入れ直した。
第115話
暖かな日が増えてきましたが日が落ちるとまだまだ寒く、服選びが難しいですね。
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ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
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