姉、見惚れる
馬の蹄の音を聞きなから祭りの始まりを告げる式典を見学する為に、ディランとフレディと教会に向かっている。
お祖母様とのお茶会以外に着ないドレスに気持ちが落ち着かず、視界の隅に入る黄色のシフォンを触ってると、
「姉様、どうされました?」
ディランの問いかけに、ぼんやりとしていた意識を戻し、
「お祖母様のお気持ちが嬉しいな。そう思うのと、お茶会以外にドレスは着ないから落ち着かなくて」
気恥ずかしげに返しながら返事を返すと、
「とても、お似合いですよ」
ディランの言葉に
「ありがとう」
はにかみながら礼を告げると、今朝あったキッチンとランドリーの話と聞いた事伝えなが程ていると、あっという間に馬車が教会に着き、フレディが最初に降り、次にディラン、そしてディランの手を借りながら馬車を降りると、教会の入り口には式典を見ようと沢山の人達が集まっていた。
話に花を咲かせていたであろう人達は、見慣れない馬車が止まり中から見慣れない人物達が降りてきたのだから、様々な感情の色の視線を集めてしまい、
どうしよう?
視線の多さに怯むも、お祖母様の言葉が頭の中をよぎり
どんな時も微笑みなさい。
感情を相手に悟られない様に隠し微笑みなさい。
今こそ実行するべきだわ。
心の中で頷き、口角をゆっくりと上げる様に意識をし微笑むと、ディランに促され歩き出す。
自分とディランに集まるり、刺さる視線と様々さ感情に引き攣りそうになる頬に力を入れ、1歩1歩教会に近づく。
普段よりほんの少し早いようなきもしつつ、スカートの内を爪先で上げながら扉の前までくると、ディランが振り返るので、同じ様に動き、
「皆、おはよう」
ディランの挨拶に水を打ったように静まり返るがディランは気にしていないのか、
「間も無く、領主からの宣言がある。暖かな日差しはあるがまだ寒さも感じる、体調を崩さない様に気をつけながら待っていて見学してくれ」
話を続け、言い終わると、エスコートの手を組み直し、教会の扉を潜った。
そこからは出迎えてくれた方に案内された部屋へと入ると、すでにお祖父様とお祖母様がソファに腰掛けお茶を楽しまれており、
「無事到着して何よりだ」
ソファから立って出迎えてくれたお祖父様とお祖母様に
「おはようございます。お祖父様、お祖母様」
朝の挨拶をするディランの後に続き、
「おはようございます。お祖父様、お祖母様」
同じ様に挨拶を交わした後、
「お祖母様、ドレスをいただきありがとうございます。とても嬉しいです」
ドレスのお礼と気持ちを伝えると、
「どういたしまして。思ったとおりね。良く似合っているわ」
目尻を少し下げて微笑み返してくれたお祖母様の言葉に嬉しい気持ちが隠しきれずにいると、
「ミモザ色はエスメの髪色に目の色を引き立てるな。良く似合っている」
お祖父様からの言葉に、さらに嬉しい気持ちが膨れ上がるとの当時に叫びたくな衝動に駆られるもででき無い行動なのでお腹に力を入れ耐え、改めてお祖父様とお祖母様に目を向けると、
お祖母様のドレスは蒲公英色の様で落ち着いた黄色のドレスにアクセントとして茶色のシフォンがさりげなく入れており、お祖母様の雰囲気に良く似合っていた。
お祖父様はディラン同様に式典服の為、黒と白を基本としているがクラバットには黄色の細いラインが入れられ、カフスにお祖母様の目とよく似た青色のブルートパーズがチラリと見えた。
お祖父様の式典姿ととても素敵だし、お祖母様の落ち着いた蒲公英糸のドレスも式典様で膨らみも抑えられて入るが、瞳の空色と合いとても似合っている。
何より、二人の色を控えめながらも取り入れ仲の良さを主張しているのが心の中の中を打ち抜き、さらに横立っているだけで1枚の絵画の様に気品が立ち込めていた。
「エスメ様、洋服もですが髪型も化粧も自分の見せ方、雰囲気を変える武器なのですよ」
仲良くなったメイドさんの言葉に今なら理解でき頷ける。
まさしく言葉通りにお祖父様の素敵な雰囲気とカッコ良さを引き出し、お祖母様の凛とした雰囲気と気品がまし、神々しさが増している。
ディランだってそう。
昨日までのワンピース姿ではなく、お祖父様と同じ式典服に黄色のラインが刺繍された結ばれたタイは、ディランの気品さが増し、跡取りとしての表情を加えるとカッコよく見惚れてしまう。
ただ、ディラン特有の可愛さが隠れてしまい、そこが残念かな。
頭の中で考え事をしているが、案内されるままソファに腰掛け、談笑をしていると
ノックが聞こえお祖父様の入室を許可する言葉に全員がソファから立ち上がり、対応に出てくれたフレディの後に祭主様が姿を現し、温和な表情のまま告げられた言葉に、
「お待たせいたしました」
準備整ったといいうことで、お祖父様のお祖母様を見送る体制に入るも、ディランに手を差し伸べられたので首を傾げながらエスコートを受ける。
どこに行くのだろう?
心の中で首を傾げ、お祖父様とお祖母様の背中を眺めていると、ディランに手を引かれるまま式典会場に入り、祭壇に一礼をし、壁側へと控えた。
ますます解らなくなりディランに視線を向けると、目が合い
「姉様、練習した通りですよ」
自分にしか聞こえ無い程の小さな声で告げられた言葉に記憶を掘り起こす。
確かにあの日、ディランとこの場所でお祖父様とお祖母様の宣言する姿を見ていた。
「てっきり、将来、ディランが行うからその見学だと思っていたわ。ごめんなさい」
同じ様に声を顰めての謝罪の言葉に
「大丈夫です。この後はこの場でし宣言が終わるまで居るだけですし、帰りは僕がエスコートしますから」
小さな頷きと共に返してくれた頼もしい言葉に微笑み
「いつもありがとう。ディラン」
お礼と告げていると祭主様の言葉が始まり、お祖父様とお祖母様が入室され祭壇の前に立った。
先程見た時とは違い、神々しさが加わった為かお祖父様の大きく声と力強い言葉に、お祖母様の優しく柔らかい言葉と芯の通った声に神殿の部屋の雰囲気がガラリ変わるのを感じる。
日差しが強くなったのか、窓から入る太陽光が一段と明るくなった事で見学者からどよめきが起こるも、お祖父様もお祖母様の動揺することはなく、進行してゆく。
お祖父様もお祖母様も神様みたい。
降り注ぐ太陽光に照らされている2人を思わず見惚れているとディランから手を取られ、ゆっくりとエスコートされて再び案内された部屋に戻るも、先程の雰囲気から中々、心が帰らずぼんやりしていると、
「ディラン、エスメ、この後は街に行くのだろう?」
お祖父様の聞き慣れた声に意識が帰り、
「はい。一度、屋敷に戻り着替えてから街へ行く予定です」
ディランの言葉にこの後の予定を思い出し心が躍り出す。
念願の屋台回りができる!
感情が出ていたのかお祖母様から
「あまりはしゃぎすぎ無いようにね」
苦笑と共に告げられた言葉に
「気をつけます!」
大きく頷くと、
「目を離さ無いように気を付けます」
ディランの言葉が付け加えられた。
「だったら手を繋いで行きましょう。これなら大丈夫だわ」
横に座っているディランの手を取り握り伝えると
「そうだな。その方が良さそうだ」
お祖父様の同意の言葉に、頷きを貰えたので
「お祖父様、お祖母様。私達はこれで失礼いたします」
もう、帰っても大丈夫だと判断しディランの手を引き立ち上がり、言葉と共に一礼をするとお祖父様の
「気を付けて行っておいで」
の言葉の後に、お祖母様の
「あまり羽目を外さ無いように」
気配りの言葉を貰い。共に笑顔で頷きで返事を返し、行きとは逆にディランの手を引き教会を後にし馬車へ乗り込んだ。
第114話
3月に入りヤツが急に飛び始めましたね。今年も死闘を広げる日々がやって参ります。
ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。
ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
https://ncode.syosetu.com/n4082hc/




