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公爵令嬢様の独り言

22/05/23 誤字修正を行いました。

ご報告いただきありがとうございます。


薪の爆せる音と香り高い紅茶を楽しみながら、社交会で話題になっている新しいティーフードを一口いただく。


なんでも殿下が気に入っているティーフードだとまことしやかに広がった。


さすがご息女様。

相手を喜ばせることに長けてらっしゃる。


隣国から入ってきたクグロフは瞬く間に広がり、街にあるカフェでも手軽に食べれる様になった。


発信元のご息女様の領では新たにショートブレットという塩味を旨味に変えた焼き菓子が流行っていると報告も受けている。


ショートブレットも弟であるディラン様と、その親友となった従兄弟のザッカリーに喜んでもらう為にクグロフ同様に隣国のお菓子を取り入れもてなしているらしく。


ザッカリーからの手紙に軽く嫉妬し、思わず感情のままに返事を返したのも記憶に新しく、


私もまだまだね。


自分の失態に小さく笑い、紅茶を一口のみ気持ちを整え膝の上に置いていた報告書の続きに目を通す。


幼き日にお会いできたあの日は未だ鮮明に思い出される。


「お元気のようで安心したわ」


貴族籍が無いご息女様は、将来伯爵家を出てお一人で過ごすとの事で、陽も上がる前から起床し手に切り傷を作りながらキッチンに通い窯に火を入れ、井戸で水を汲み、ランドリーで自分の洋服を洗っている。


担当メイド達と和気藹々と楽しそうに作業をしていると報告書に書かれいる。


その反面、ディラン様が姉であるご息女様の手にできた切り傷のケアにヘアートリートメントなど気を配り手を出している事も書かれており、


ご息女様は自分の事を疎かにしすぎでは無いかしら。


贅沢品を禁止に近い状態で過ごすご息女様は街に買い物に行っても宝石やドレスなのには目もくれず、ご自身が考案された生活魔法道具や類似の生活魔法道具に目を輝かせらしく、


ご息女様らしい。


話したことも無ければ、顔通しもしたことが無い。


それでも、頼氏と思えるのは届けれる文書が毎回よく似ているから。


街で駆け回る子供達の様に、感情も考えも隠す事なく表に出すご息女様とディラン様の事が手に取るように分かる。


ご息女様は貴族では無いのでこのままでも生活に困りはしないでしょう。


ですが、ディラン様は公爵家の跡取りであり社交界を渡り歩く御身。

こんなに感情や考えが解りやすく貴族社会を過ごしていけるのか心配になってしまう。


殿下や側近の方々のお話を伺うと、ディラン様ご本人は貴族の微笑みで隠していると思っているのだが、物心がつく前から貴族社会を触れている私達には隠しれていないそうで、


「言い方は悪いのでディランに申し訳ないのだけど、会話に気を張らなくて良いし、ああも解りやすいと警戒心が薄れて逆に微笑ましくもある」


殿下の言葉に側近候補の方々が深く頷いており、心の中で驚きと疑いを持った。


が、報告書を読みすすんで行くと、姉であるご息女様に振り回されている弟という立ち位置以外見えず、


確かにあのご夫婦の御子息様ですからね。


「最初から最後まで妻を信じ愛する」


ご息女様がお生まれになりすぐの舞踏会で奥様であるリリー様の周りにやっかみを言うご親切なご婦人やお友達が集まり、またどう反応するのかを楽しみにしていた貴族達の中での、堂々とした発言。


そして、それを体で表すように日に日に仲を深めてゆくご夫婦。


そんな2人を見て羨ましく想うご婦人達と憧れる淑女達。


お二人の仲の良さは瞬く間に広がり、淑女達の憧れ理想のご夫婦像として今もお茶会などで話題に上がる。


公爵家の長女は難しいが、次女や侯爵家の長女達には


身分的に殿下には手が届かないが


公爵であるディラン様は手に入る、かも、しれないと思う立ち位置にいる。


今は姿を現さないディラン様の話は常にお茶会に上がり、


ご家族を大切にする伯爵様のお子様だもの、お嫁に行けば私の事も大切にしてくれるわ。


お好みの女性はどういう方かしら?


武道にたけたご一族様だもの、大きな体かもしれないわ。


ディラン様と仲を深めれば辺境伯家とも深いお付き合いができるはず。


皆が想像を膨らませ会える事を心待ちにしている。


それだけではな生活魔法道具を作り販売をしている家と言う事で貴族達も横に立ち仲を深める事を虎視眈々と狙っている。


今や生活に欠かせない魔法道具を取り扱う元締め。


少しでもおこぼれが貰えればと、親達が御子息に言いふくめている事だろう。


優良物件のディラン様は王都に来られたら大変そうね。


殿下に側近候補の方々が周りを固めると思うが、隙をつくものは必ず現れる。


どう対処するのか大変ですこと。


王都にいた頃はご息女様と同様に外へ出ることがなかった。


今はご自身の領に居て王都のご自身の立ち位置を把握しきれていない。


試練ですわね。


ディラン様を思えば思う程にご息女と一緒にいるのだと思い知らされ感情がかき乱される。


弟なので当たり前なのだが、貴族の常識としては当たり前ではないディラン様が羨ましくもある


八つ当たりも込め、


王都へ戻られた際のご武運お祈りしてますわ。


その際はご息女様をお連れくださいね。


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