表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

106/751

姉、お祭りの日を楽しみに待つ


ソーサーをティーカップの上に乗せたままディランの前に差し出すと、数度の瞬きをした後不思議そうに首を傾げ、


「姉様?」


ソーサーが乗っているティーカップから自分に視線を動かし説明を求められるので、ゆっくりとソーサーをずらし、


「コレはプリンと言ってね、本で船乗りさんが食べている物を材料を変えて作ってみたの」


食べてみて。


ディランにティースプーンを差し出し食べる様に促すと、躊躇うことも無く1口分をすくい取り口の中に入れた。


数回噛み、喉が上下に動き飲み込んだのを確認した後、


「どう?美味しい?」


早く感想が欲しくて急かしながら感想を求めると、


「ええ。甘くてとても美味しいです」


少し緩んだ頬とくれた感想に嬉しくなり、


「それだけでも美味しいんだけど、このカラメルをかけるともっと美味しくなるのよ」


カラメルの入ったカップを手に取り、ティースプーンに掬い取るとディランの前に置いてあるプリンにカラメルを掛け


「食べてみて」


カラメルと一緒に食べる様に促すと、恐る恐るスプーンで掬い口へと入れる姿を見守る。


フレディは美味しかったと言ってくれたけどディランはどうかしら?


じんわりと広がる緊張感にゆっくりと息を吸い、反応を見守ると目を見開きゆっくりと驚いた表情になり、


「苦味と甘味が口の中に広がるのですが、双方反発する事なくとても美味しいです」


口に合ったのか、感想をくれた後すぐさまプリンを口に運ぶ姿に安堵の息を出し、


「イルさんも食べて下さい」


ソファに座る様に様に促すと、少し困った表情をしながら、ディランに許可を求める様視線を向けると、ディランも頷き返したので、


「では、失礼致します」


ディランの下座正面のソファに腰を下ろした姿を見て、ワゴンからソーサーを取ったティーカップをイルの前に置き、


「食べてみてください」


言葉と共にティースプーンを差し出すと、


「ありがとうございます。頂戴いたします」


微笑み礼をくれた後、1歩後ろに下がり様子をプリンを食べる姿を見守ると、


「美味しゅうございます」


頷きと共に感想を貰えたので、ディランの時と同様カラメルをイルさんのプリンにかけ


「どうぞ」


再び食べるように促し、食べる姿を見つめると


「これは。ディラン様のおっしゃる通り、苦味と甘味が相待ってとても美味しゅうございますね」


イルの口にも合った様ですぐさまプリンを口に運んでくれる姿を見れ、嬉しくて思いながら、口直しの紅茶を入れて、ディランとイルの前に出し、


「フレディ、私達の分も入れたから座って飲みましょう」


2人分の紅茶を手に持ち一緒に飲もうと誘うと、ディランに視線を向けた後、少し居心地悪そうにイルの横に腰を下ろしのを見て、ディランの横に腰を下ろした。


自分で淹れた紅茶なので美味しい味は無く、飲めなくない紅茶の味に


もっと練習しないとダメね。


頭の隅に紅茶の練習をする事を刻み、正面に座るフレディの表情を伺うと


「お上手になりましたね」


微笑みながらの紅茶への褒め言葉に、


「そうやってすぐ甘やかす」


唇を尖らせ、少し拗ねたように返事を返すと、


「そんなことはございません。ハーブティーもですが日々美味しく淹れれるようになっております」


見守り、年下の妹を甘やかすような視線と雰囲気に


「もう」


気恥ずかしくなり、顔を横に勢い良く逸らすと


「姉様」


ディランからの呼びかけに顔を向けると、


「姉様とフレディのプリンはどうされたのですか?」


自分達が食べていない事を気にしての言葉に、


「私達は朝食の時間に味見で食べたから気にしないで」


微笑みながら告げると、


「そうでしたか」


少し寂しそうに返事を返してくれたディランに


「今度は味見なしで持ってくるから一緒に食べようね」


申し訳ない気持ちになり、次の約束を言葉にすると


「はい。お願いします」


すぐさま表情が変わり微笑み頷いてくれた事に息をつくと、


「朝食の時のお話は伺っております」


イルさんの言葉に、首を傾げると


「エスメ様のお願いもありましたか、フレディがエスメ様からプリンを食べさせていただいたとか」


告げられた言葉に


「はい。フレディに驚いて貰いたかったので目を瞑って口を開けて貰いました」


頷き返すと


「1度フレディの口に入れたスプーンをエスメ様がご使用になるのはいただけません」


普段より硬くなった声で告げられた言葉に


「ごめんなさい。気に留めてませんでした」


何が悪いのかいまいち分からないが、頭を下げ謝りの言葉を告げると


「ご理解いただければ良いのです」


イルさんからのお許しの言葉に顔を上げると目が合い、優しく見守る雰囲気に


「これはこれは。来週のお祭りにも同行させていただく許可をいただくしかありませんな」


どこか茶化した言葉に、


「お祭り!もうすぐですね」


イルさんの言葉にディランから教えて貰ったお祭りの言葉を思い出し隣にいるディランに話を振れば、


「そうですね。街も華やかに飾られている様ですし、姉様と僕の用意も準備ができていると聞いております」


後は、祭りの日を待つだけです。


ディランの言葉に、楽しみにする気持ちが湧き上がり


「楽しみね。絶対、一緒に回ろうね」


身を乗り出しながらディランに体を向け告げると、


「ええ。初日に街を回る準備をしておりますので、姉様には楽しんでいただけると思います」


同じく、嬉しそうに微笑みながらのディランの言葉に


「計画を立ててくれたのね。ありがとうディラン」


礼を告げると、


「いえ。僕も初めての事なのでどこか不備があるかもしれませんが楽しんでいただけるよう頑張ります」


ゆっくりと頷いて礼を受け取ってくれたが、告げられた言葉に


「それもお祭りの醍醐味よ。何かあったらその時に考えて対処すればいいわ」


ディランとフレディが居るから大丈夫よ。


両手を合わせると小さく空気が弾ける音がしたものの、嬉しさが溢れ出ていた為に気づく事が無く


「屋台あるかなぁ。楽しみだなぁ」


来週ある祭りに気持ちを馳せるも、ディランにハンドクリームを塗られ、手伝いを言う前にフレディにティーカップを片づけられ、


「では、エスメ様。昨日の復習を兼ねて足し算と引き算を混ぜた問題を次々に出してゆきますのでお答えください」


フレディの言葉に足し算と引き算のノックが始まった。




第106話


スコーンが食べたくてお取り寄せをしました。とても、とても美味しかったです。


ブッマークや評価。またいいねボタンを押していただきありがとうございます。

とても嬉しいです。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤のディランの心境と日々を書いております。

お時間ありましたらお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ