六十六 パーティの行方
公爵家のパーティは息子の名前どころか婚約の言葉も削除され、なんと、結婚披露パーティへと変更された。
遅れてやってきたデトゥーラとブランズウィック夫妻に公爵よりの感謝と祝辞で盛り上がり、私達の婚約披露が完全に流れてしまった。
いや、流してしまったというべきか。
涙が止まらない私は顔が二倍に膨れていたし、カーンだって泣いて真っ赤な顔をしていたのだ。
こんな二人が会場に出れば無意味な詮索がされてしまうだけの話である。
ただし、ハルベルトは私の不甲斐なさに微笑むだけである。
いや、微笑むだけどころか、積極的に私を褒めたたえ、明日からの大学生活について星に帰るギリギリまで私についてサポートしたいとまで約束してくれた。
「あなたは本当に優しいのね。私は何も返せないのに。」
「君が俺の愛する人でいてくれるだけで最高だからいいんだよ。」
私は彼の胸元にそっと入り込んだ。
彼の硬い胸は温かいだけでなく、私を迎えたことでドキドキと煩い位に鼓動を立てている。
彼に抱きしめられた体は彼の腕の温かさでほんのりと温まっていき、私は彼の腕の中はなんて素敵なんだろうとほうっと溜息をついた。
「ああ、今すぐにでもあなたのお嫁さんになりたい。それなのに、今日は風船みたいな顔だからあなたの顔も満足にみられない。あなたはあと二日くらいでグリロタルパに帰ってしまうのに。」
「その顔を俺に見せて。きれいな顔も、可愛い顔も、怒った顔も、その変な顔も、ぜーんぶ俺の大好きな顔で、俺は君のすべての表情を手にしたい。」
私はクスクス笑って顔を上げて、私の唇はハルベルトの柔らかく優しい唇で一瞬だけ塞がれた。
「わぉ、風船が真っ赤になった。」
私は彼の憎たらしい顔を両手で掴むと、彼よりももっと長いキスをした。




