三十八 公爵家は子供が多すぎる
「理解したかな。あの子は俺のもの。お前には渡せません。」
「それは本当にミモザか?彼女はキッチンで料理も出来ない位に機械音痴だぞ。電動カーを盗むなんて芸当は出来ないだろ。」
「できるよ。どこの配線を切って繋げればいいのか、教え込んでくれた人間がいるんだ。機械音痴でも記憶力のいいあの子ならできる行動だよ。」
俺は脳裏に浮かんだイアンとムスファーザに対して大きく舌打ちをした。
「それに、お前は深窓のお嬢様が好きなんだろ。あの子は深窓のお嬢様じゃないよ。森に住む悪戯な妖精さんだ。諦めろ。」
「ふざけんな!深窓のお嬢様より妖精の方がいいものだろうが!大体、ミモザはお前のことは何一つ知らないのと一緒なんだ。僕は実は君と遊んだぬいぐるみさんだったなんて告白なんてなあ、聞いた相手が変態だって脅えるだけだろうが。」
「あ、そうだね。よし、俺もここに滞在して、ミモザちゃんと分かり合う事にするよ。部屋はミモザちゃんの隣がいいね。」
俺は自分の先見の明を称賛していた。
ブランズウィック達を結婚させてデトゥーラが住んでいた館に住まわせることと一緒に、ミモザたちを元の迎賓館の方に移動させていたのである。
「残念でした。ミモザは別館にいます。」
「だと思った。それじゃあ、俺もその隣の家にしばらく住むから。大丈夫。俺は部下も召使も一個連隊連れてきた。高級食材も大量にね。だからさ、お前の手を借りずにミモザちゃんと交流できるから気にするな。それよりも余計な邪魔をするなよ。こういう事はフェアで行こう。フェアで。あ、そうだ。お前はソーンとちゃんとやり取りしているのか?あいつはいい奴だぞ。」
完全な勝利感丸出しの目で俺を小馬鹿にした男が俺に言いたいのは、三男の環境局局長の弟だって自分の手の中だということだ。
確実にミモザが環境局入局志望者だって事もつかんでいやがる。
ああ、畜生。
俺はどうして力のない四男なんだ。




